自宅を売却しませんかという一本の電話|#39(第2章)
ある日、一本の電話がかかってきました。
発信元の名前を見てみると、見覚えのある不動産会社。そして電話に出てみると、なんと自宅を購入したときの担当者の方でした。
時期は、投資用の不動産物件を増やしているのと並行していた、2024年の夏ごろのことです。
2012年、私は都内の湾岸エリアにある新築のタワーマンションを6,000万円で購入しています。この電話を受けた時点で、すでに13年が経っていました。
購入当時、都内でいくつか新築マンションを見て回っていました。
人形町周辺や浅草エリア、そしてタワーマンションが建ち始めていた武蔵小杉の物件なども実際に見に行きました。
その中で、最終的に選んだのが湾岸エリアのタワーマンションでした。
決め手は、私と妻の勤務先の両方に通いやすかったこと。
そして、一般的なマンションとは一線を画す、タワーマンション特有のエントランスの豪華さや、共用施設の充実度にも強く惹かれたことを覚えています。
ただ、今振り返ると、当時の湾岸エリアの評価は今とは大きく異なっていました。
2011年に発生した東日本大震災の影響もあり、湾岸エリアのタワーマンションに対しては、決してポジティブな印象ばかりではなかったように思います。
むしろ、「津波の影響を受けやすいのではないか」といった不安の声もあり、世の中的にはネガティブな印象を持たれていた側面もあったのではないかと記憶しています。
それでも、立地や利便性、そして住環境を総合的に判断し、この物件を購入することにしました。
それから13年。
携帯電話の番号を変えていなかったこともあり、こうして当時の担当者の方と再び話すことになりました。今思うと、少し不思議な縁のようにも感じます。
電話の内容はシンプルでした。
「物件の価格がかなり上がってきています。もしご希望があれば、売却のお手伝いもできます」
正直なところ、この時点ではすぐに売ろうとは思いませんでした。
不動産投資は順調に進んでいましたが、自宅については完全に別のものとして捉えており、そもそも考える対象にすらなっていなかったのだと思います。
「このままずっと住み続けるんだろうな」と、どこか無意識に思っていました。とにかく、自宅については何も意識していませんでした。
ただ、「価格が上がっている」という言葉は、強く印象に残りました。
それまでは、自宅はあくまで“住むための場所”として考えており、資産として意識することはあまりありませんでした。
そこで、当時の担当者の方と電話で昔話などもしながら、周辺の不動産市況について話を伺った記憶があります。
話の中で、周辺物件の中古価格が想像以上に高騰していることを教えていただき、徐々に関心が高まっていきました。
そして、「もし売却した場合、自分の自宅はいくらくらいになるのか」という点について、周辺の売却実績をもとにした価格の目安を出していただくことになりました。
電話でお願いし、予測が分かり次第、メールで連絡をいただく約束をして、その日のやり取りは終わりました。
しかし、この一本の電話をきっかけに、考え方が少し変わり始めます。
「もし売ったらどうなるのか」
「今の価格はどれくらいなのか」
「周辺の不動産はどのような状況なのか」
こうした疑問が次々と浮かび、自宅周辺の不動産事情について調べ始めることになりました。
ここから、想像していなかった大きな資産の動きへとつながっていきます。
次回(第40話)は、売却しても得にならない?住み替えの現実についてお話しします。
なぜ多くの人が自宅を売却できないのか、その構造について考えていきます。
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