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売れないはずの自宅を売却できた理由|#40(第2章)

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前回、自宅を売却しませんかという一本の電話をきっかけに、周辺の不動産事情を調べ始めたとお伝えしました。

2024年当時、実際に自分でもSUUMOなどの情報サイトを使って調べてみると、想像以上に価格が上がっていることが分かりました。

周辺の物件はほとんどがタワーマンション。どれも軒並み1億円以上。築10年以上の物件が多いにもかかわらず、1億円を下回る物件はほぼ見当たりませんでした。

ただ、その一方で、ある現実にも気づきます。

それは、「売却しても得にならない」という構造です。

自宅の価格が上がっているということは、当然ながら周辺の物件も同じように値上がりしています。

仮に今の自宅を高く売却できたとしても、同じエリアで、同じようなグレード、あるいはそれ以上の物件に住み替えようとすると、1億円台で探すのは難しく、ちょっと欲を出せばすぐに2億円台に突入していきます。

住宅ローンを組めば、毎月の支払いは50万円以上になります。

もっと安いエリアに引っ越すという選択肢も考えました。ただ、今の自宅は非常に利便性が高く、生活環境としても満足していました。

加えて、当時は子供もまだ小さく、環境を大きく変えることによる負担も無視できませんでした。

そうしたことを総合的に考えると、「同じエリアで生活を維持する」という前提は崩したくありませんでした。

一方で、同じエリアで賃貸物件を探してみると、家賃は30万円台から40万円台。購入した場合の支払いと比べると、負担は大きく抑えられることが分かりました。

ここで、これまでとは違う考え方に至ります。

「自宅をすぐに買わなくてもいいのではないか」

つまり、売却後に必ずしも同じような物件を購入する必要はなく、しばらく賃貸に住む、もし機会があれば改めて購入するという選択肢です。

そして、その家賃は不動産投資の収入から支払えばいい。ここで初めて、不動産収入を「使う」という発想が生まれました。

それまでは、不動産収入はすべて再投資に回すものとして考えていましたが、ある程度貯金のたまり、安定したインカムゲインが得られることも分かってきたため「生活のために使う」という選択肢が現実的なものとして見えてきたのです。

さらに、税務面でもメリットがあると感じました。

賃貸に住む場合、その家賃のすべてが経費になるわけではありませんが、契約の形や使い方によっては、一部を「経費として扱える」可能性があります。

個人名義で賃貸契約をする場合は、この場合は基本的には生活費としての支出になりますが、自宅の一部を仕事スペースとして使用している場合には、その使用割合に応じて家賃の一部を経費として計上できるケースがあります。

たとえば、部屋の一部を業務用として使っている場合、その面積や使用時間に応じて按分することで、一定割合を必要経費として扱うことが可能です。

法人名義で賃貸契約をする場合は、役員や従業員がそこに住む形を取ると、「社宅」として扱うことができます。

この場合、家賃の大部分を法人の経費として計上することが可能になり、個人側の負担は「社宅家賃」として一定の基準に基づいた金額のみになります。

結果として、個人で全額負担する場合と比べて、税務上のメリットが大きくなるケースもあります。

もちろん、いずれの場合も税務上のルールや条件がありますので、税理士などに相談しながら進めて頂くのが良いかと思いますが、同じ「住居費」であっても、その扱いによって実質的な負担は大きく変わってきます。

こうした点も踏まえると、「売却して賃貸に住む」という選択は、単なる住み替えではなく、資産・収入・税務を含めた全体最適の視点で見ても合理的な選択だと感じました。

この考えに至ったことで、状況は大きく変わりました。

多くの人は、「売る → 買う」という前提があるため、売却益がそのまま住み替え費用に消えてしまい、結果として売却に踏み切れません。

しかし私は、「売る → 借りる」という選択を取ることで、売却によって得られる資金をそのまま手元に残すことができる。

つまり、通常であれば「売っても意味がない」と判断される状況の中で、売却するメリットを作ることができたのです。

こうして、自宅の売却は現実的な選択肢へと変わっていきました。


次回(第41話)は、自宅を高額で売却したときの話です。実際にどのように売却が進み、どのような結果になったのかをお伝えします。

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