高齢者の降圧薬を見直すサイン
血圧が目標より高い。
それだけで、薬を増やすべきでしょうか。
反対に、正常値になったから薬を減らしてもよいのでしょうか。
高齢者の血圧管理では、数字と同じくらい、ふらつき、転倒、食事量、腎機能、生活のしやすさを見ることが大切です。
▼この記事で分かること
・高齢者の血圧目標を考える基本
・降圧薬の調整を相談したいサイン
・転倒に関係しやすい薬の考え方
・家庭で確認できる起立時の血圧
・受診時に伝えたい情報
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血圧の目標は130/80未満が基本
高血圧管理・治療ガイドライン2025では、年齢にかかわらず、診察室血圧130/80mmHg未満が基本的な降圧目標とされました。高血圧を治療することは、脳卒中や心臓病、腎臓病などの予防につながります。
ただし、目標値は全員に同じ強さで当てはめるものではありません。
要介護状態やフレイルがある人では、血圧値だけでなく、転倒予防、認知機能、生活の質を含めて治療を考える必要があります。
大切なのは、数字を諦めることではありません。
治療による利益と、下がりすぎによる負担を一緒に見ることです。

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ふらつきや転倒は薬を見直す手がかり
血圧が目標より高くても、次の変化がある場合は、単純な増量ではなく原因の確認が必要です。
・立ち上がったときのめまい、ふらつき
・失神や転倒、転びそうになった経験
・食後や入浴後に強くなるだるさ
・発熱、下痢、食事量低下による脱水
・薬を変更した後から始まった症状
高齢者では、複数の薬が重なって転倒リスクを高めることがあります。
STOPPFallでは、利尿薬、α遮断薬、抗精神病薬、抗うつ薬、睡眠薬、抗ヒスタミン薬などが、薬の見直しで確認する候補に含まれています。これは中止すべき薬の順位表ではなく、個別に確認するためのスクリーニングです。
2種類以上のSTOPPFall該当薬を使う人では、転倒や骨折との関連が強かったという観察研究もあります。ただし、薬の必要性や病状が異なるため、数だけで危険性を決めることはできません。
家庭でも確認できる起立時の血圧

立ち上がった直後にふらつく場合は、起立性低血圧が隠れていることがあります。
安全を確保したうえで、座位または横になった状態で血圧を測り、立った後も測定します。
起立後3分以内に、上の血圧が20mmHg以上、または下の血圧が10mmHg以上低下する場合は、起立性低血圧の基準に当てはまります。
ただし、家庭での測定だけで原因は決められません。
脱水、自律神経の変化、不整脈、貧血、降圧薬以外の薬なども関係します。転倒しそうな人が一人で立位測定を行うのは危険です。
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薬を減らすときも急がない
ふらつきがあるからといって、降圧薬を自己判断で中止するのは避けてください。
心不全や慢性腎臓病など、血圧以外の目的で処方されている場合があります。急な中止によって血圧が上がったり、病状が不安定になったりする薬もあります。
受診時には、次の情報が役立ちます。
・朝と夜の血圧
・ふらついた時間と、そのときの血圧
・食事、入浴、立ち上がりとの関係
・転倒や転びそうになった場面
・最近始まった薬や変更された薬
薬の見直しは、減らすこと自体が目的ではありません。
今の生活と治療目的に合う組み合わせへ整えることが目的です。

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数字と生活の両方を守る
高齢者の高血圧治療には、脳卒中や心臓病を防ぐ大切な役割があります。
同時に、ふらつきや転倒によって自立した生活が損なわれないことも重要です。
血圧の数字だけで薬を増減せず、症状、身体機能、持病、すべての薬を一緒に確認する。
その積み重ねが、その人に合った安全な血圧管理につながります。

