DAHONのミニベロに試乗する ― 徒歩を拡張する「遅さ」を探して
前回からの続き。
ブロンプトンとダホン
徒歩の延長として、気軽に乗れる「遅い」自転車を求め、ミニベロの試乗に行ってきた。選んだブランドはDAHON(ダホン)だ。
ミニベロといえば、英国の「ブロンプトン」と米国の「ダホン」が二大巨頭として挙げられる。
ブロンプトンは価格が20万円を優に超えるため、今回は候補から外した。高価すぎて盗難が心配になりそうだからだ。一方、ダホンもママチャリよりは高価だが、5万円台から選択肢があるのがありがたい。
今回は、ワイズロード上野本館が開催している、輪行体験を兼ねた試乗会に参加した。
本命のK3と、比較用のBoardwalk
私の本命は、14インチの極小径タイヤを履いた「K3」だ。ダホンのベストセラーと言っていいだろう。
今回の試乗会は店員さんがエスコートしてくれる形式で、「乗り比べたい車種があれば店員がそれに乗って同行します」という有り難い提案をいただいた。そこで、同じくベストセラーの20インチモデル「ボードウォーク」も選択し、比較させてもらうことにした。
K3 試乗インプレッション

試乗コースは、店舗の最寄駅から一駅分を走り、そこから電車で輪行して戻ってくるという行程だ。実際に乗って感じたポイントは以下の通り。
◎ 楽しさ: ハンドリングがクイックで、乗っていて純粋に楽しい。
◎ 軽さ: 8kg弱の車体は驚くほど軽く、輪行のしやすさは抜群。
〇 段差: 14インチゆえに気は使うが、恐れるほどではない。
〇 速度: 3速ギアがワイドで、重いギアなら25km/h以上は出せそう。
△ 姿勢: ハンドルが低く前傾姿勢になる(身長170cm後半の場合)。
前傾姿勢は「まったりサイクリング」には少し不向きかもしれないが、この圧倒的なコンパクトさを実現するためのトレードオフなのだろう。
また、後方確認で上半身を振ると少しふらつく場面があり、このあたりは14インチの宿命だと感じた。
しかし乗っているとなぜか自然と笑顔になってしまう。「童心に帰れる」ような魅力がある一台だった。
Boardwalk 試乗インプレッション

ボードウォークについては、数分間店員さんに借りて試乗した。
◎ 快適性: 普通の自転車と変わらないほど安定した乗り味。
◎ 姿勢: 運転姿勢も楽で、長距離も苦にならないだろう。
△ 輪行: 車体が重く、畳んでも大きい。成人男性でも持ち運びはしんどい。
ボードウォークは「輪行」よりも、駐輪場のない人が玄関先に置いて日常使いするのにベストな一台だと感じた。タイヤの大きさによる安定感はやはり偉大だ。
輪行の現実的なライン(いったんまとめ)
試乗の途中、駅での輪行を体験した。場所柄、人が非常に多く、駅構内での移動や展開にはかなり気を使った。
実際に体験して分かったのは、電車内での輪行袋の存在感は車種によって大きく異なるということだ。周囲への配慮を考えると、16インチまでが現実的なサイズ感という印象を受けた。

また、重量についても、8kgのK3はヒョイと持ち上げられるが、12kgのボードウォークを担ぐのはもはや「軽い罰ゲーム」に近い。輪行を前提とするなら、成人男性であっても10kgが限界ラインではないだろうか。
ミニベロにおける「輪行」と「走り」のベストバランスは、16インチホイールで車重10kgあたりにあるのかもしれない。
(番外編)K9X試乗インプレッション
試乗から戻ると、店員さんから「他に気になるモデルはありますか?」と声をかけられた。そこで、K3の「兄貴分」とも言える16インチモデル、K9X(ケーナインエックス)にも10分ほど試乗させてもらった。

K9Xは、ダホンのKシリーズにおけるフラッグシップといえるモデルだ。16インチのホイールに9段変速、さらには機械式ディスクブレーキまで装備した戦闘力の高い一台だ。
跨った瞬間に、170cm後半の私の体格にはこちらの方が合っていると直感した。K3で感じた窮屈な前傾姿勢による辛さは、この車体にはない。
そして、驚くほどよく走り、よく止まる。ディスクブレーキの制動力は強烈で、その気になれば街中を走る並の自転車を容易に「カモれる」ほどの実力を持っている。ミニベロという乗り物が、これほどまでに高性能になり得るのかと衝撃を受けた。
結論:等身大で優しい「K3」という選択
しかし、私がミニベロに求めているのは、あくまで「遅い」自転車であることだ。徒歩の延長として、気になる路地や店があれば、迷わず気軽に足を止められる。そんな等身大で優しい自転車を求めていたはずだ。
K9Xの高性能は衝撃的だった。しかし、あのクイックで少し不自由なK3の乗り味こそが、私を「速さ」の呪縛から解き放ち、自転車で散策する楽しさをもたらしてくれるのではないだろうか。
前傾姿勢の短所はあるものの、やはり私の本命はK3なのだと確信した。しいて言えば、1段のギアしか持たないK3の弟分「K1」が気になるところだ。
変速機すら持たないそのシンプルさは、私が求める「究極の徒歩の拡張装置」に近いのかもしれない。私のミニベロ探しは、まだ続きそうだ。
※ミニベロに興味のある方へおすすめしたい一冊。写真とイラストが織りなす、優しく旅情あふれる世界観が魅力。
