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まっしぐらで行ってほしい、と彼女は言った 伊藤うらら

はじめに

宇宙メルマガTHE VOYAGE 7周年企画のために集まった女性の中に、おがさわら なおこさんがいました。
彼女は、先日、宇宙へと旅立ちました。
なおこさんの旦那様のSNS投稿には、 「直子の蒔いた種は、これからきっと、いろいろな場所で芽吹いていくと思います。」 と綴られていました。
なおこさんが、私たちに蒔いてくれた種。 それは「宇宙なんてきっかけにすぎない!」という言葉でした。
その言葉を胸に、互いにインタビューを重ねる中で、 私たちは改めて、自分自身の歩んでいる道を見つめ直しています。そして本企画で、なおこさんがインタビューしてくださったのが、私でした。

本来であれば、彼女自身の言葉で記事になるはずだったもの。 それは、もう叶いません。けれど、あのとき交わされた言葉たちを、このまま閉じてしまいたくはありませんでした。
文字起こしをもとに、 彼女がどのように感じていたのかを辿りながら、 ひとつの記事として編み直しました。
私のことを知っていただくきっかけとして。 そして、彼女が生きた証のひとつとして。このインタビューを、追悼として捧げます。

小笠原直子さん お気に入りのプロフィール画像(ご家族より提供)

以下、インタビュー記事


その人は、線で生きている

「こんなに自分の話をしたいと思ったのは久しぶりです」
インタビューの終盤、そうこぼした伊藤うららさんの言葉が、どこか印象に残っている。話しやすさ、というよりも、言葉を引き出されていくような時間だったのではないかと思う。実際、対話はとても自然で、それでいて奥行きがあった。

話を聞きながら感じていたのは、この人は「」で生きていない、ということだった。過去の経験も、今取り組んでいることも、そしてこれから向かおうとしている未来も、すべてが一本の線でつながっている。
偶然のように見える出会いや出来事も、どこか必然のように配置されているように見えるのだ。
星空案内人としての活動、会社での仕事、AIを使った試行錯誤。それぞれは一見別々の領域に見えるが、うららさんの中では分断されていない。
むしろすべてが連動し、循環している。話を聞いているうちに、「環境がすべてつながっている」という言葉がしっくりくるようになった。

コルキットスピカ望遠鏡を作ろう ワークショップの様子(スクリーン前:伊藤うらら さん)

探究する人、引き寄せる人

では、その中心にあるものは何か。
おそらくそれは、徹底した「探究心」だと思う。興味を持ったものに対しては、とことん調べ、試し、検証する。その量が圧倒的に多い。ブログで収益を上げるために文章を研究し尽くした話や、手帳術にハマったときに何冊も本を読み込んだ話を聞きながら、表面的なスキルではなく「構造」を掴もうとする人なのだと感じた。

主催している観望会での様子

同時に、その姿勢はとても正直でもある。できないことは「できない」と認める柔軟さがあり、年齢を重ねる中でその力がより自然に身についてきたと語っていた。その在り方は、無理に自分を大きく見せるのではなく、むしろ等身大のままで前に進んでいく強さのようにも思える。

もうひとつ印象的だったのは、人との関係性に対する感覚だ。
オンラインが当たり前になった今でも、「リアルで会うこと」の価値を大切にしている。画面越しでは伝わらない空気や、場のエネルギーのようなものがあると、うららさんは言う。その感覚には深く頷かされる部分があった。便利さと引き換えに失われがちなものを、きちんと自覚している人なのだと思う。

こうべ山の小学校のワークショップの様子

託された言葉、その先へ

また、環境や仲間の大切さについての話も印象に残っている。たとえ自分が満点を出せていない状態でも、それを認め、支えてくれる人がいる場所に身を置くこと。その積み重ねが、人を前に進ませるのだという実感が言葉の端々から伝わってきた。

植松電機 UEマイスター講習会の様子

そして、話は「宇宙」と「教育」、その先を目指す「ビジネス」の話へ移っていく。
宇宙という分野で収益を上げていく難しさ。教育という領域に対して無意識にかかる制限。それでもなお、その領域で価値を届け続けたいという想い。その葛藤は決して軽いものではない。それでも、だからこそ、この道を進む意味があるのだとも感じているようだった。

まっしぐらで行ってほしい

そう伝えたのは、単なる応援ではない。同じように葛藤を抱えながら進んできたからこそ、託すような気持ちがあったのだと思う。
うららさんの話を聞きながら感じたのは、この人はこれからも変化し続けるのだろうということだった。何かひとつの肩書きに収まるのではなく、興味と探究の延長線上で、自分の在り方を更新し続けていく。
その過程で出会う人や出来事もまた、新しい線としてつながっていくのだろう。
今回の対話は、その一端に触れさせてもらったような時間だった。
そしてきっと、この先もその線は、さらに遠くへと伸びていく。

星空案内 in 西宮ガーデンズでの様子

おわりに

おがさわら なおこさんに出会ったのは、コロナ禍でした。
当時の私は、宇宙という分野をどうビジネスにしていくのか、模索し始めたばかり。すでに宇宙教育の会社を立ち上げていた彼女に、 羨望と、ほんの少しの嫉妬を抱いていたことを覚えています。
けれど、交流を重ね、言葉を交わすうちに、 その感情は静かに形を変えていきました。

前向きで、優しくて、強い人。
彼女の存在は、確かに私の中に残っています。
インタビューを受けたのは昨年の秋。 あらためて言葉を読み返したとき、ひとつの言葉が胸に残りました。
まっしぐらで行ってほしい
今の私は、迷いながらも、揺れながらも、前に進もうとしています。そのすべてを肯定するように、 この言葉が、そっと背中を押してくれるのです。

まっしぐらでいい。

まっしぐらで進んだ道を、正解にしていけばいい。
そう思えるのは、きっと彼女自身が、 本当にまっしぐらに生きた人だったから。
その生き様は、今もなお、私の中で静かに息づいています。
彼女から受け取った種を、 これから、ゆっくりと育てていきたいと思います。

ひがしまつやま宇宙科学ルーム

おがさわら なおこさん。
本当にありがとうございました。
どうか安らかに。 そして、宇宙遊泳を楽しんでください。

伊藤うらら(WhitePiece代表/星空準案内人)
誰かの好奇心を刺激する」をコンセプトに、子育てとメーカー勤務を両立しながら、天体観望会や工作ワークショップなどを多数企画・運営し、これまでに延べ2,000人以上の子どもたちに星や宇宙の魅力を届けている。
また、星空ガイドのスキルアップを目的としたオンラインコミュニティ「#StarGuideLabo」の主宰、神戸市中学部活の地域団体移行(コベカツ)に伴い宇宙天文部(ホシアソビの学校)を設立するなど、“学びが未来へつながる場”を地域・オンライン問わず創出している。


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