二次元の水平線 四
記憶を失った主人公は、河川敷で刃物を持ち立ち尽くしていた。目の前には倒れた人間がーーー。混乱の末、逃げ出し後に戻ると刃物もし帯も消えていた。周囲の反応に自分は存在していないと疑念を抱くがこちらを見つめる謎の人物がーーそんな乃木の久しぶりの作品を編集者の藤原に原稿を送るが、藤原の酷評に苛立ちと焦燥を募らせ、電話をかけたーーー
乃木は鼓動が早くなるのを感じながら煙草をもみ消した。
プルルルルー
プルルルルー
プルルルルー
いつもの藤原ならばスリーコールまでには必ずと言っていいほど出るのだが、今日に限って出ない。イライラが増幅し、無意識のうちにくしゃくしゃの煙草に火をつけた。
十まで数えたところで、乃木は電話を切った。酸欠になりそうなほど立て続けに煙草を吹かしもみ消したが、くしゃくしゃの煙草が残り1本ということに苛立ちながら最後の煙草に火をつけた。丁度そのタイミングで電話が鳴り始め、ザワザワするのを感じながらスマートホンを手に取り電話に出た。
「乃木先生すみません。会議中だったもんで…メール読んでいただけましたか?」
「読んだよ。こちらこそ、早速読んでくれてありがとう」
心臓の音が藤原に聞こえてしまうのではないかと思いながらも冷静を装いながらこたえた。
「先生の着想はいいと思うんで、練り直して進めましょう」
苛立ちを感じたができる限り冷静でいることを心掛けた。
「久しぶりに書けそうな気がするんで、相談にのってよ、藤原さん」
「もちろんですよ」
「早速だけど、ロケハンしながら一緒にアイデアだしてほしいんだけど…」
「…わかりました。明日の午後3時以降だったらおうかがいできると思いますが…」
「じゃあ、明日の3時にうちのマンションから見える河川敷の土手で。何度か来てるからわかるよね、そこで待ってるから」
「いや~時間通りにうかがえないかもしれないので、ご自宅でお待ちいただければ」
「最近外出もしてないから 気分転換がてら土手で待ってるよ」
煙草をもみ消しながら押し切るように言い放った。
「えっと…わかりました。遅れそうな時はお電話しますね」
「ああ、よろしく頼むよ」
「では、明日の午後3時以降ということで。失礼いたします」
「はい、はい」
藤原との電話を終えた乃木は煙草を吸おうとしたが、最後の1本を吸ってしまったことに苛立ちながら空の箱を丸めてゴミ箱に投げた。放物線を描いたゴミ屑はゴミ箱の縁に当たり床に転がった。
チッ!
舌打ちをした乃木はゴミ屑を拾い上げゴミ箱にたたき入れた。

では 素敵な1日を✨
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