【多言語読書】英・仏・独の原書で楽しむ文学:カミュ『異邦人』 ヘッセ『車輪の下』 シャーロック・ホームズなど
2016年に私が読んだ本リストです。
この年、日本語で一番印象に残っているのは、奥田英朗さんの『サウスバウンド』です。
私が読んだのは文庫版で、600ページ以上あったのですが、面白くて一気に読んでしまったのを覚えています。
主人公の少年と、国家権力が大嫌いなお父さんを主軸とした物語で、前半は、少年の学校生活、そして後半は、お父さん大暴れ!笑、という構成でした。
「バウンド」は、日本でも、もうお馴染み?でしょうか?
「This train is bound for」という車内アナウンスの「bound」と同じ、
「〜に向かう」という意味で、「サウスバウンド」は「南に向かって」という意味です。
前半は重いシーンもありますが、後半はとにかく痛快で、夏にぴったりのスカッとする物語です!
あと、夢野久作『ドグラ・マグラ』も、強烈に印象に残っています!
『ドグラ・マグラ』『黒死館殺人事件』『虚無への供物』は日本三大奇書と呼ばれているらしく、私は、全部読了済みですが、ダントツでこの『ドグラ・マグラ』が好きです!
この年は、英語の小説は名作揃いで、読んだ本は全部傑作だったのですが、中でも『To Kill a Mockingbird』は素晴らしかったです!
日本では『アラバマ物語』というタイトルで知られています。
メインストーリーも素晴らしいのですが、私は個人的には、雪のシーンと、ある人物がなぜ引きこもっているか子供たちが理解し始めるシーンが印象的でした。
フランス語では、カミュの『L’étranger』が印象に残っています。
夏の話で、長編というよりは中編くらいの長さですので、この夏に読むのにもぴったりではないでしょうか?
世間一般的には「不条理」と呼ばれますが、そしてカミュ自身も『シーシュポスの神話』において「l’absurde」を考察していますので、それが正当な読み方なのかもしれませんが、私は個人的には、ムルソーは、不確実性の象徴で、それこそが人間、また人生だということを、カミュは言いたかったのではないか、という気がしました。
読んでいると、ムルソーは「世間の人たちが、擬似絶対的な概念で不確実性を固定化した気になりたければ、勝手にそうすればいいが、俺は違うぜ」と言っているのではないか、という気がしてなりません。(私の記憶が正しければ、ムルソー本人がこのように言っていたわけではなかったと思います。私の勝手な考察です)
ドイツ語は、この年から学び始めたので、もう10年も経ってしまったことになります。
勉強できなかった年も多く、英語ほど本格的にしてこなかったので、まだまだ初級〜中級レベルなのですが、カフカの『Die Verwandlung:変身』は、初めてドイツ語の本を原書で読み切った作品だったので、印象に残っています。
またなんと言っても、私の大好きな作品『Unterm Rad:車輪の下』を最初に原書で読んだ年でもありました。
初読時は、日本語の翻訳版で、秋の公園で読んだからか、秋になると読みたくなる小説です。
釣りのシーンの風景描写が非常に美しく、社会システムという車輪に個人が轢かれるのを当然だと思っている時代も、もうそろそろAIと共に終わっていくのかも?しれませんね。(もちろん、別の車輪が回り始めるのかもしれませんが)
◆ 初読
01月06日 The Sound and the Fury ― William Faulkner
01月22日 Arsene Lupin, Gentleman-cambrioleur ― Maurice Leblanc
01月23日 白痴 ― 坂口安吾
01月29日 高野聖 ― 泉鏡花
02月02日 行人 ― 夏目漱石
02月08日 En attendant Godot ― Samuel Beckett
02月10日 少女地獄 ― 夢野久作
02月20日 The Diary of a Madman and Other Stories ― Nikolai Gogol
02月23日 静かな生活 ― 大江健三郎
04月02日 The Possessed ― Fyodor Dostoyevsky
04月06日 三島由紀夫レター教室 ― 三島由紀夫
04月24日 The Hitchhiker's Guide to the Galaxy ― Douglas Adams
05月05日 La Nausée ― Jean-Paul Sartre
05月29日 Flowers for Algernon ― Daniel Keyes
06月01日 吾輩は猫である ― 夏目漱石
06月05日 Of Mice and Men ― John Steinbeck
06月05日 観画談 ― 幸田露伴
06月08日 人間椅子 ― 江戸川乱歩
06月11日 La Symphonie Pastorale ― André Gide
06月16日 The Loneliness of the Long Distance Runner ― Alan Sillitoe
06月19日 サウスバウンド ― 奥田英朗
07月23日 瓶詰地獄 ― 夢野久作
07月24日 二,三羽 ―― 十二,三羽 ― 泉鏡花
08月06日 Le Tour du monde en quatre-vingts jours ― Jules Verne
08月12日 ドグラ・マグラ ― 夢野久作
08月14日 The Idiot ― Fyodor Dostoyevsky
08月17日 銀河鉄道の夜 ― 宮沢賢治
09月22日 L'étranger ― Albert Camus
09月24日 Siddhartha ― Hermann Hesse
09月24日 To Kill a Mockingbird ― Harper Lee
09月28日 「雨の木」を聴く女たち ― 大江健三郎
10月09日 Die Verwandlung ― Franz Kafka
10月14日 三四郎 ― 夏目漱石
10月29日 Le Diable au corps ― Raymond Radiguet
11月04日 それから ― 夏目漱石
11月06日 門 ― 夏目漱石
11月08日 幻談 ― 幸田露伴
11月10日 舞姫 ― 森鴎外
11月15日 叫び声 ― 大江健三郎
11月16日 飢餓同盟 ― 安部公房
11月28日 個人的な体験 ― 大江健三郎
11月28日 Le Petit Prince ― Antoine de Saint-Exupéry
12月10日 Unterm Rad ― Hermann Hesse
12月27日 Cat's Cradle ― Kurt Vonnegut
◇ 再読
04月09日 桜の樹の下には ― 梶井基次郎
04月09日 桜の森の満開の下 ― 坂口安吾
08月27日 砂の女 ― 安部公房
11月20日 His Last Bow ― Arthur Conan Doyle
11月30日 密会 ― 安部公房
12月16日 The Case-Book of Sherlock Holmes ― Arthur Conan Doyle
12月20日 春の雪 ― 三島由紀夫
12月29日 草枕 ― 夏目漱石
12月30日 奔馬 ― 三島由紀夫
◆ 漫画
12月13日 DRAGON BALL カラー版 魔人ブウ編 1 ― 鳥山明
12月13日 DRAGON BALL カラー版 魔人ブウ編 2 ― 鳥山明
12月13日 DRAGON BALL カラー版 魔人ブウ編 3 ― 鳥山明
12月14日 DRAGON BALL カラー版 魔人ブウ編 4 ― 鳥山明
12月14日 DRAGON BALL カラー版 魔人ブウ編 5 ― 鳥山明
12月14日 DRAGON BALL カラー版 魔人ブウ編 6 ― 鳥山明
12月14日 DRAGON BALL カラー版 魔人ブウ編 7 ― 鳥山明
◆ 最後に
以上、2016年に読んだ本リストでした。
振り返ってみてみると、シャーロック・ホームズを読み返していますね。
『His Last Bow』では、
『The Adventure of the Dying Detective:瀕死の探偵』
『The Case-Book of Sherlock Holmes』では、
『The Adventure of the Sussex Vampire:サセックスの吸血鬼』
が特にお気に入りです!
短編なのでそんなに読むのに時間もかかりませんので、この二作は特におすすめです!(もちろん、これは私の主観に過ぎず、好みは人それぞれでしょうが)
シャーロック・ホームズは、多少の流れはありますが、基本的には短編のどこから読んでも楽しめるので、ぜひ!
ワトソンとホームズの出会いから始まり(長編第一作『A Study in Scarlet』)、モリアーティ教授との決闘(短編集第二作『The Memoirs of Sherlock Holmes』収録の『The Final Problem:最後の事件』)などの流れは、最初の方です。
もちろん順番に読むに越したことはないのですが、そして、シャーロック・ホームズ入門として、初めに何を読むべきかと聞かれると、
長編第一作『A Study in Scarlet』か、
短編集第一作『The Adventures of Sherlock Holmes』(アイリーン・アドラーや『赤毛連盟』のエピソードあり)ですが、
必ずしも全部順番に読んでいないからダメということもなく、時系列をそんなに気にしないと言う方であれば、それぞれ四作目の短編集・五作目の短編集である、
『His Last Bow』
『The Case-Book of Sherlock Holmes』
は、どこから読んでも楽しめると思います!
それでは、最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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