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piccolotakamura
連載小説 | 蛍光女③
前話はこちら(↓)
「お母さん、何かお医者さんか言ったことで思い当たることがあったの?」
お医者さんが『蛍の子』と言ったとき、私はたしかに母の顔色が変わったのを見た。
「何にも思い当たることはないわ。ただお医者さんが『蛍の子』なんて、変なことを言ったから」
私は母が何か私に隠し事があることを確信した。
「ねぇ、あなた。今日ね、病院に蛍子を連れていったとき、医者から蛍子は『蛍の子』なんじゃないか、って言われたの。やっぱりあの日、紫陽花の沢で一緒に水を飲んだからかしらね」
「あれはただの伝説だろ?蛍子の顔が光るのと、僕たちがあそこの水を飲んだのは関係ないさ」
「そうかしら。思い当たる原因ってそれしか思い付かなくて。もし、私たちが水を飲んだのが蛍子の顔が光る原因だとしたら、蛍子に申し訳なくて」
昭吾は黙りこんだ。実際のところ、昭吾も心の中では、蛍子が光を放つのは、二人が沢の水を一緒に飲んだあと結ばれたからだと思っていた。だが、そんな非科学的なことなど起こるはずがない、と自らに言い聞かせていた。
「やっぱり、蛍子には本当のことを言ったほうがいいかしら?」
「本当のことって?沢の水を飲んだあと、僕たちが結ばれたとでも言うつもりかい?」
「そんなにハッキリとは言えません。ただ、蛍子が悪いのではなく、お母さんとお父さんが悪いのよ、と伝えたい。蛍子が自分のことを責めたら申し訳ないから」
「そんなことを言ったら、余計に心配させるだけなんじゃないか?今のところ、なんの実害もないだろ?そのうち自然に治るかもしれないし。万が一治らなくても、健康面で何か問題があるわけでもない。もう少し様子を見よう」
詩織は昭吾の言うとおりだということは理解している。しかし、自責の念から逃れることはできなかった。
…つづく
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