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hidemaro2005
ペールギュント殺人事件⑦
前話はこちら(↓)
椎名の言う通りだろうな。有名なバイオリニストである氷室に摂津さんを殺害する動機があったとしても、のこのこコンサート会場に来ることはないだろう。氷室と摂津さんとの関係を洗うよりも先に、氷室の交遊関係を洗うことが先だろう。
資産家の夫を持っていた摂津綾子。世界的に有名になったバイオリニスト、氷室奏一。おそらく、摂津綾子は氷室奏一のパトロンだろう。1年前に夫を亡くしたのを機に、氷室に返済を迫ったのかもしれない。もしそうなら、氷室には摂津を殺害する動機がある。
ただ、不可解なのは、顔を知られた氷室がわざわざこれから殺害しようとする摂津の前に姿を現したのはなぜか?ということだ。二人の間の金銭の授受を知る氷室の取り巻きが一枚かんでいる可能性が高い。
そのような状況から判断すると、氷室自体も殺害計画に関与していたことは間違いないだろう。しかし、直接的に摂津さんに近づいた形跡がない。おそらく共犯者の何らかの補助的な役割を担うために、コンサート会場にやってきたということだろう。
「土居ちゃん、どうした?考え事か?」
「ああ、ちょっと頭の中を整理していたんだ」
「思うに、氷室奏一は直接的にマルガイに手を下していない。だが、コンサート会場に来る必要があったのは、殺害に必要な補助的な役割があったからだろうな」
「土居ちゃん、そこまでは確実に言えるだろうな。氷室の取り巻きを洗ってみる必要があるな」
それにしても、世界的なバイオリニスト・氷室が、彼自身の母親くらいに年の離れた老婆を殺害しなくてはならないとはな。土居はせつない気持ちになった。
…つづく
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