公正世界 | 心のクセに気づくには ~社会心理学から考える~

村山綾(著)
『「心のクセ」に気づくには~社会心理学から考える~』
ちくまプリマー新書
この本を手に取ったのは、「公正世界仮説」に関心を持ったからです。
簡単におさらいすると、「公正世界仮説」とは、心のクセ、つまり、バイアスがかかっているときに起こりやすいということでした。
「努力をすれば報われる」という思いが強くなると、失敗した人のことを「努力が足りないからだ!」と短絡的に結びつけてしまう危険があります。物事は環境や運にも左右されることを忘れてはいけませんね。
原因帰属 (内的帰属と外的帰属)
では、「心のクセ」はどうして形成されるのでしょう?
ひとことで言うと「原因帰属」です。原因帰属とは、自分や他人が経験した出来事や、他人の行動の背景にある原因を推測したり判断したりするプロセスのこと。簡単に言えば、今までの、自分や他人の経験に基づいて「こういうときはこれが原因だ!」という無意識的な思い込みのことです。
「原因帰属」は大別すると、「内的帰属」と「外的帰属」の2つです。内的帰属は「自身の性質や特徴」、外的帰属は「環境や偶然性」のこと。
たとえば、「テストでいい点数が取れた」場合を考えます。
テストの前に一生懸命に勉強して頑張ったならば、「努力したからだ」と思うでしょう。これは自分自身の「内」のことなので「内的帰属」です。
もしも、自分は努力しておらず、他のみんなも同じように良い点数だったならば、「テストの問題が簡単だったからだ」と思うことでしょう。これは自分自身の「外」のことなので「外的帰属」です。
共変動理論
いま、「原因帰属」には、「内的帰属」と「外的帰属」の2つがあることを書きました。
では、私たちが原因を「内的帰属」と捉えたり、「外的帰属」と捉えたりする基準はなんでしょう?
共変動理論は、3つの側面に注目します。
①「一貫性」。
②「弁別性」。
③「合意性」。
たとえば、先ほどのテストの例で考えます。
毎回、あなたが数学のテストで悪い点数をとるならば、私は、「あなたの努力が足りないからだ」と判断するでしょう。あなたの数学のテストの結果には「一貫性」があります。つまり、私は、あなたの数学のテストの出来が良くないのは、あなたの「内的要因」だと判断したということです。
もし、あなたの他の科目の成績が良くて、数学だけが悪かったとしたら、あなたの努力不足だとは私は考えません。数学という科目自体に原因があると判断します。このようなことを「弁別性が高い」と言います。換言すれば「外的要因」だと判断します。
もし、クラス全員の数学の点数が良かったならば、その問題がやさしかったと判断するでしょう。「みんな」「全員」という場合、「合意性が高い」と言います。しかし、合意性が高い中で、あなた1人の点数が低かったならば、私は、あなたの数学の点数が良くないのは、あなたの「内的要因」だと考えます。
2つ公正世界信念
「公正世界信念」には2つあります。
ひとつ目は「内在的公正世界信念」です。簡単に言えば、良い行いをすれば良い結果が、悪い行いをすれば悪い結果がもたらされるという「因果応報」的な考え方です。「頑張って勉強すれば、必ずテストで良い点数を取れる」と信じたり、「道端にゴミを捨てれば、誰も見ていなくてもやがてバチが当たる」と信じたりする類いのことです。
ふたつ目は、「究極的公正世界信念」です (名付け方がスゴい!、と思う)。
たとえば、今、何かしらの不公正に巻き込まれて被害を負っても、将来必ず、何らかの形で埋め合わされると信じる傾向のことです。「この人生で善行を積めば、来世で報われる」と信じたり、「悪行を積めば、来世は地獄に行く」と信じたりする類いです。究極的公正世界信念は、宗教的な信念と言い換えても良いかもしれません。
結び
この記事では、私が「この本のエッセンスだ」と思うところを要約してみました。
どんなに気をつけても、私たちは「思い込み」から完全に逃れることはできません。けれども、自分がどのようなバイアスを持っているのかという「思考のクセ」を知っておくことが大切なんだろうと思います。
多かれ少なかれ、私たちは因果応報という観念で判断を下す傾向があります。また、ある出来事の原因を、直近の流れの中に探してしまい、その根本的な原因には思いが至らないことがありますね。
あるいは、「原因帰属」に基づいて、「私たち vs あの人たち(アイツら、奴ら)」という構図で、自分の都合の良いように人を区別して攻撃を加えてしまったり。
完全な解決法はないかもしれませんが、根本的な原因を探ったり、根拠の薄弱な類型化をしないように気をつけながら、未来について深く考えることが大切なのだろうと思いました。

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記事を読んで頂き、ありがとうございます。お気持ちにお応えられるように、つとめて参ります。今後ともよろしくお願いいたします