海外旅行は、老後の夢じゃない
私の同級生に、「海外旅行は定年後の楽しみにとってある」と話していた友人がいる。
私は、逆だ。海外旅行は老後の楽しみにとっておこうと思わない。
老後の楽しみにするなら、むしろ国内旅行だ。
そして、海外には“老後になる前”に行きたいと思っている。
健康で足腰が達者なうちに。
日本国内にだって良いところはたくさんある。見たい景色もある。
それでも私が今、海外に夢を描くのは、日本国内なら、高齢になってからでも安心して旅行できる(と思っている)からだ。
日本なら言葉も通じる。
万が一、ケガや病気に見舞われても、国民皆保険制度のおかげで、何十万円も一度に医療費がかかることはない(個人の保険にも入っているし)。
でも海外で同じように医療を受けられるとは限らない。
2019年にニューヨークに行く前、「念のため」と思って、医療費について調べた時は震えあがった。
救急車はタダではないし、診察だけで数百ドル、急性虫垂炎で入院・手術を受けたら1万ドル以上請求の可能性もある。
年齢が上がると、海外旅行保険に入るハードルも上がる。
日本にいれば、食事も安心だ。
日本各地のご当地料理は、知らないものばかりだろうが、たぶんみんな美味しい(笑)。
レストランに入れば、水はタダで出てくる。
お腹を壊すこともない。
インドに引っ越した時には、家族全員がお腹を壊した。
日本から遊びに来てくれた友人もお腹を壊した。彼女は、わりと海外旅行によく行く人だったが
「海外でお腹を壊したの初めて!さすがインド!」
と妙な感心の仕方をしていた。
(おかしなもので、インドに慣れると、日本に帰ってきた時にもお腹を壊すが…)
日本国内なら、電車の乗り継ぎも難しくない。
料金は固定されているから、あらかじめ交通費もわかる。
2025年にヨーロッパを旅した時は、列車の運賃が、旅客機の運賃と同様、変動することに戸惑った。
つまり、海外旅行・海外に住むことは、日本国内にいるよりハードルが高いのだ。
だから、海外に行くなら、健康で体力のあるうちがいい。
私が2025年に旅した場所で言うと、グラナダやベルンは、坂道や階段が多かった。
フィレンツェでは、大聖堂のクーポラに上るため、463段の階段を上った。
バチカン市国のサン・ピエトロ大聖堂は、途中までエレベーターを使っても、残り320段は自力で上らなくてはならなかった。
そもそもヨーロッパは、ホテルでさえ建物が古いゆえにエレベーターがないこともある。
(そして今年の熱波で話題になったとおり、エアコン普及率が低いため、気温にも要注意だ)
私が世界でこれから行きたいと思っている場所は、体力勝負になりそうなところがいくつもある。
例えば、オーロラ鑑賞やウユニ塩湖。
健康であることに加えて、体に負荷がかかっても耐えられる状態でなくてはいけない。
暑さ寒さや、トイレになかなか行けないなど…。
そしてなんだかんだ言って、やっぱり日本にいれば(海外より)安全・安心だと、心のどこかで思っている。
オンラインで買い物をしても、翌日には商品が到着する。
急病になれば救急車を呼べるし、高水準の医療も受けられる。
落とし物をしても、高い確率で戻ってくる。
海外に比べると、接客サービスの質はたいてい、はるかに良い。
日本は、文字通り「ホーム」なのだ。「アウェイ」ではない。
極端かもしれないが、例えるなら国内旅行は「自宅にいる安心感」。
海外旅行は「外界への冒険」。
だから、今のうちはまだ、夢を海外に描いている。
日本の田園地帯や、北海道、沖縄などの自然の美しさももちろん見たい。
行きたい場所はたくさんある。
でも、年齢とともに心身が衰えることを考えると、私にとっては「行きたい場所リスト」の上位に今あるのは、やっぱり海外なのだ。
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