年金の運用益が24兆円で過去最高!私たちの年金は?
8月7日、こんな発表がありました。
公的年金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の4〜6月の運用益が、24兆円のプラス。四半期として過去最高です。
「すごい数字だけど……それで、年金は増えるの?」
真っ先に浮かぶのは、これだと思います。
結論から言うと——今回24兆円増えたからといって、私たちの年金額がその分増えるわけではありません。ただ、将来の年金を支えるうえではプラスです。
どういうことか、順番に整理します。
年金は、運用益だけで払われているわけじゃない
年金は、GPIFの運用益だけで払われているわけではありません。
長期的には、財源の約9割を保険料と国のお金、約1割を積立金でまかなう想定です。
GPIFが運用しているのは、この「約1割」を支える積立金。だから、ある四半期の成績が、そのまま翌月の年金額に反映される仕組みにはなっていないんです。
24兆円の中身は、「全部が確定した利益」ではない
そもそも、なぜ3か月で24兆円も増えたのか。
積立金は、国内外の株式と債券に約4分の1ずつ分けて、長期・分散で運用されています。この4〜6月は国内外の株価が好調で、その追い風を受けた形です。
ただ、24兆円がすべて現金として確定したわけではありません。利子や配当による収入が約2兆円あり、残りには売買による損益と、6月末時点の値上がり・値下がりによる評価損益が含まれています。
つまり、株価が下がれば数字も減ります。実際、コロナ禍の2020年1〜3月には、四半期で17兆円を超えるマイナスになりました。
+24兆円で急に安心になるわけでも、−17兆円の四半期が来たら急に危なくなるわけでもない。
短期の数字はそれくらい動くものなので、GPIF自身も「長期で見てほしい」と繰り返し説明しています。
この「短期では大きく動くけれど、長期では積み上がっている」様子は、
グラフで見るのが早いです。

毎年の年金額は、どう決まる?
毎年の年金額は、GPIFの運用成績ではなく、主に賃金や物価の動きをもとに決まります。そこに、年金制度を長く続けるための調整も入ります。
「今年もうかったから、来年は増額」という直結の仕組みではないんです。
じゃあ、24兆円は何に効く?
ただ、この数字を「じゃあ自分には関係ない」と流してしまうのも、少し違います。
積立金が増えることは、将来の年金給付を支える余力が増えるということ。運用を始めた2001年度からの累計では収益が221兆円を超え、6月末の資産は約318兆円になりました。
「年金が24兆円増えた」というより、「将来の年金を支える資産が24兆円増えた」。
そう考えると、少し分かりやすい気がします。
数字に振り回されないために
+24兆円 → 来月の年金は増えない
マイナスの四半期が来ても → 年金がすぐ減るわけでもない
見るなら四半期より、長期の累計
GPIFを見るなら、「今期いくらもうかった?」より「長期で運用成果を積み上げられているか」。
将来の年金がどうなるかは、人口や賃金などいろいろな条件で変わるので、「絶対に大丈夫」とは言えません。
だからといって「年金なんてどうせもらえない」と、必要以上に悲観するのは少し違う気がします。
まずは、自分がどれくらい受け取れそうかを知る。
そのうえで、足りなさそうな分を、自分のできる範囲で備えていく。
先のことをずっと不安に思うより、自分の年金が今どうなっているのかを知って、できる備えを考える。
私は、そっちに時間を使うほうがいいと思っています。
自分がどれくらい年金を受け取れそうか知りたいなら、「ねんきん定期便」を確認しましょう。
見方は以前、こちらにまとめています。
自分の年金額は5分でわかる!?「ねんきん定期便」の見方【連載第3回】
出典
GPIF「2026年度第1四半期運用状況(速報)」(収益額24兆895億円・収益率8.20%・運用資産額317兆7,596億円・累積収益221兆201億円)
GPIF「年金財政における積立金の役割」/厚生労働省「年金額の改定の仕組み」
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