綺麗役と汚れ役の2馬力選挙。兵庫県・斎藤知事が頑なに「ノーコメント」を貫く本当の理由
こんにちは、カネさんです。
兵庫県知事選挙から1年という節目を迎え、あるニュースが再び世間を賑わせています。「他を見る余裕はなかった」——そう語る斎藤元彦知事の言葉、みなさんはどう感じましたか?
あの激動の選挙戦から1年、朝日新聞などのインタビューに応じた斎藤知事は、物議を醸した「2馬力選挙」について「当時は必死で、他を見る余裕はなかった」と、従来通りのゼロ回答、いわゆる「のれんに腕押し」な態度を貫きました。しかし、客観的なファクトを並べていくと、この「余裕がなかった」という言い訳には、あまりにも不自然な論理的矛盾が浮かび上がってくるのです。
今回は、斎藤知事の「言い訳」と、彼が過去に自ら明かしていた立花孝志氏(現在は名誉毀損容疑などで逮捕)への「共感」という動かぬファクトを徹底検証します。大人の事情や綺麗事で煙に巻こうとする政治の舞台裏を、ロジカルにズバッと切り込んでいきましょう!
斎藤知事が貫く「他を見る余裕はなかった」という無理筋な言い訳
そもそも「2馬力選挙」とは何だったのか?
1年前の兵庫県知事選挙を思い返してみてください。前代未聞の展開でしたよね。 独自の選挙戦を展開する一方で、NHKから国民を守る党の立花孝志氏がわざわざ兵庫県知事選に立候補しました。普通、選挙というのは自分が当選するために戦うものです。しかし立花氏は「自分の当選は目指さない。合法的に斎藤氏をサポートする」と公言し、斎藤氏の街頭演説の前後や同じ場所でマイクを握り、斎藤氏を擁護し続けました。
綺麗役の斎藤氏が爽やかに政策を訴える
その直後に汚れ役(失礼!)の立花氏が登場し、ゴシップやスキャンダル、陰謀論を交えて対立候補や県議会を徹底的に叩く
この見事なまでの「役割分担」によって、斎藤氏は約111万票を獲得して再選を果たしました。客観的に見て、これが「2馬力選挙(実質的な共同選挙運動)」でなくて何だと言うのでしょうか。
「認識していなかった」は通用するのか?
斎藤知事はインタビューや議会答弁で一貫して「自分自身の選挙運動に集中していたため、他の候補者がどういう行動をしていたかは認識していない」という趣旨の回答を繰り返しています。
ですが、ちょっと待ってください。いくら自分の選挙に集中していたとはいえ、あれだけ大規模に、しかも自分のすぐ近くでマイクを握って応援されていたわけです。それを「全く気づかなかった」とするならば、兵庫県のトップとしての情報収集能力や危機管理能力に致命的な問題がある(よっぽど無能である)か、あるいは「気づかないフリ」をしているかのどちらかしかありませんよね。それはおかしいと思いませんか?
過去の発言というファクト:テレビ番組で明かした立花氏への「強い共感」
「他を見る余裕はなかった」「認識していなかった」という斎藤知事の主張ですが、実は選挙直後の彼自身の発言と真っ向から矛盾しています。
開票特番で見せた「満面の笑みと共感」
選挙の投開票日当日、動画番組『日本ニュース』の開票特番に中継で出演した斎藤知事は、スタジオにいた立花氏について司会者から問われた際、はっきりとこう答えているのです。
「ネットメディア『ReHacQ(リハック)』での討論会を契機に、公益通報の問題や内部通報の問題で、問題点の本質を捉えておられるなと。私が思っていたことと同じことを立花さんがおっしゃっていたので、すごく共感していた」
「すごく共感していた」——。 余裕がなくて認識していなかったはずの相手に対して、ピンポイントで「自分が思っていたことと同じことを言っていた」「本質を捉えている」と大絶賛しているわけです。
ちなみに、立花氏が討論会で主張していたのは「元局長の告発文に対する斎藤知事側の対応は、公益通報者保護法に明確に違反しているとは言えない」という、斎藤知事を100%擁護する内容でした。自分を擁護してくれる発言をしっかりチェックし、内実に深く共感し、選挙後に「ありがたい、感謝している」という趣旨の受け答えまでしていた。この過去の事実(ファクト)がある以上、「他を見る余裕がなかったから2馬力選挙の是非についてはノーコメント」という言い訳は、完全に論理破綻していると言わざるを得ません。
ここで、選挙のあり方や情報不信の構造について深く考えさせられる良書をご紹介しておきます。現代のメディアと政治の歪みを読み解くために、ぜひ手にとってみてください。
兵庫県知事問題 失敗の本質 ――情報不信はなぜ生まれたか (ちくま新書 1920) 小林 和樹
周囲の対応との決定的な差:他県知事や県議会からの厳しい視線
この「2馬力選挙」という手法は、日本の選挙制度における「法の抜け穴」を突いたものとして、多方面から極めて厳しく問題視されています。
毅然と拒絶した千葉県・熊谷知事のケース
この手法の危うさを証明するのが、千葉県の熊谷俊人知事の対応です。 今年2月、立花氏が千葉県知事選において「現職の熊谷知事を応援する形で2馬力選挙を行う」と表明した際、熊谷知事は記者会見で即座にこう放ちました。
「やめろ。明確に拒絶する」
「候補者が自らの当選を目的とせず、他の候補者の応援をするというのは、選挙のあり方として望ましいことではない」
ピシャリと門前払いした熊谷知事と、止めもせず、のちに「すごく共感した」とリップサービスまで送った斎藤知事。この2人のリーダーとしての姿勢の差はあまりにも歴然としています。
歪められる民主主義と「ご飯論法」
兵庫県議会でも、百条委員会の委員長を務めた自民党の奥谷謙一県議らが「このような選挙手法を許せば民主主義が歪められる。行政の長として、明確に否定するメッセージを発してほしい」と何度も迫っています。
それに対する斎藤知事の答えはいつもこうです。 「国や選挙管理委員会で議論し、必要があれば立法措置などを図っていくことが大事」
一見、もっともらしい正論に見えますが、これはいわゆる「ご飯論法」であり、論点のすり替えです。「制度の問題」に話をすり替えることで、「自分自身がその歪んだ選挙手法の恩恵を受けた当事者である」という道義的責任から巧妙に逃げ続けているのです。本会議の休憩中に記者から「なぜ質問に答えないんですか!」と詰め寄られるのも当然ですよね。
現代の地方政治がいかに混迷を極めているか、その最前線を追ったこちらの書籍も非常に参考になります。
限界地方政治 選挙ウォッチャーちだい (著), 菅野完 (著), 清義明 (著), 畠山理仁 (著), 松本創 (著)
まとめ
斎藤元彦知事の「他を見る余裕はなかった」という言葉は、過去の「立花氏への共感発言」というファクトの前には、あまりにも苦しい、中身のない引き伸ばし戦略に見えてしまいます。
立花氏自身はその後、対立候補の応援をしていた元県議のプライベートな情報をSNSで拡散して名誉を傷つけたとして、名誉毀損容疑で兵庫県警に逮捕されました(本人は「真実と信じるに足りる理由があった」として罪を否認していますが)。
片や逮捕され、片やその恩恵を受けて知事の椅子に座り続ける。 制度の隙間を突いた選挙戦で勝利したとしても、そのプロセスに対する不信感が消えない限り、真の信頼回復は訪れないのではないでしょうか。私たちは政治家の耳障りの良い言葉だけでなく、過去の発言と現在の行動の「矛盾」というファクトを、これからも冷静に見極めていく必要がありますね。
初出動画:http://www.youtube.com/watch?v=gSMVO9SQwGI
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この記事は、政経プラスチャンネルの動画・ライブをベースに、Geminiを利用して文章化したものです。内容については、アップロード日をベースに書き起こしていますので、その点ご理解ください。
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