声かけの正解は“ことば”じゃない。元教員がたどり着いた答え
結論:声かけの正解は「共感」です。
「なんて声をかければよかったんだろう」
子どもが落ち込んでいるとき。
挑戦する前に、不安そうな顔をしているとき。
私は何度も、正解の言葉を探してきました。
元小学校教員として、たくさんの子どもたちと向き合ってきました。
その中で、今でも忘れられない出来事があります。
小学6年生を担任したときのことです。
クラスのリーダー的存在で、野球部のキャプテン。
元気でちょっとお調子者。
みんなの中心にいるような男の子がいました。
でもあるとき、その子が同じクラスの子に嫌がらせをしていることがわかりました。
いくつもの聞き取りを重ね、事実だと確信したとき、
正直、とてもショックでした。
けれど同時に、
嫌がらせを受けている子が安心して登校できるクラスにしなければならない。
担任としての責任もありました。
話をしようとすると、
彼はそれまでの姿とはまるで別人のように、反抗的な態度をとりました。
「別に」「知らないし」
目も合わせない。
でも私は、なんとなくわかっていたのです。
みんなから期待されることのつらさ。
「いい子」「頼れる子」でい続けるプレッシャー。
本当はそんな自分じゃないのに、という気持ち。
だから私は、すぐに正論をぶつけることをやめました。
どれだけ反抗的な態度を取られても、
「モヤモヤしているのは、成長の証だよ」
「今まで、いろいろきつい思いをしてきたんだよね」
そう伝え続けました。
【行動は認めない。でも、気持ちは否定しない。】
ただ、共感に徹しました。
すると――
その男の子が、少しずつ自分の気持ちを話してくれるようになりました。
最初はぽつり、ぽつりと。
やがて、自分の弱さや本音をまっすぐに。
そして最後に、こう言ってくれたのです。
「先生、ありがとう」
もちろん、嫌がらせをした相手にもきちんと謝りました。
それからは、時に反抗的な態度を見せながらも、
少しずついつもの彼に戻っていきました。
私は、その反抗的な態度を見るたびに、
なぜかうれしくなったのです。
ああ、この子はちゃんと揺れながら成長しているんだ、と。
そして思い出すのです。
「先生、ありがとう」
もう二十歳を超えて、大人になった彼。
どのように成長しているのかはわかりません。
けれどきっと、
誰かの気持ちを想像できる、素敵な男性へと育っている。
そう願っています。
子どもは、
正しい言葉で変わるのではありません。
“わかろうとしてもらえた”と感じたときに、はじめて心を開きます。
【挑戦できる子は、安心できる子。】
だから私は、
声かけの正解を探すのをやめました。
うまい言葉が見つからなくてもいい。
完璧なフレーズじゃなくていい。
ただ、
「そう思ったんだね」
と受け止める。
それだけで、
子どもはまた一歩踏み出す力を持っています。
声かけの正解は言葉じゃない!!!
共感すること、ただそれだけです。
ここでは、家庭で育つ「学ぶ土台」について綴っています。
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