AI推進担当が見てきた「AIに仕事を奪われる」の実態
お疲れ様です、ぽんずです。
「AIに仕事を奪われる職業ランキング」みたいな記事、最近やたら目に入りませんか?
別に自分から探しているわけじゃないんです。ニュースアプリを開けば出てくるし、Xを眺めていても流れてくる。
事務職は危ない
経理はなくなる
管理職も不要になる
そんな見出しが、意図しなくても飛び込んでくる状況です。ワイは上場企業でAI推進担当をやっています。社内にAIを導入する側の人間です。
だからこそ、あのランキング系の記事を見るたびに思うことがあります。「いや、現場はそんな単純じゃないんだけどな」と。
今日は、AI推進担当として実際に見てきた「AIに仕事を奪われる」のリアルを、正直に書いてみます。
AIに仕事を奪われる不安だけが、現場より先に広がっている
正直に言うと、ワイの会社ではAIの導入は全体的に薄く進んでいる段階です。
環境は整えました。使っている人は使っています。でも、環境があっても触らない人もまだまだいます。全社的に業務がガラッと変わったかというと、そこまでではないんですよね。
でも、「AIに仕事が奪われる不安」だけは先に広がっているんです。
「AIで仕事がなくなるらしいよ」「うちの部署、大丈夫かな」。そんな声がちらほら聞こえてきます。実際にAIを触ったことがない人ほど、漠然とした不安を抱えている印象です。
これ、たぶん多くの会社で同じ状況なんじゃないかと思います。
AIの導入はまだ途中。でもネットには「仕事がなくなる」という情報があふれている。触ったことがないから、どこまで本当かもわからない。結果、不安だけが一人歩きしている。
以前、AIを使うのは「ずるい」と感じていた頃の話を書きました。あの罪悪感も、結局は「よくわからないもの」への不安が正体だった気がします。
経理担当者が「AIの精度はイマイチ」と言い続けていた理由
AI推進をやっていて、面白い場面がありました。
経理担当者にAI活用の提案をしたときのことです。何を提案しても、返ってくるのは「AIの精度ってイマイチなんですよね」という一言。仕訳の自動化も、レポート作成の効率化も、全部その一言で終わりました。
最初は「慎重な人なんだな」くらいに思っていました。でも、何度やっても同じ反応が返ってくるので、途中から気づいたんです。
たぶん、精度の問題じゃない。
経理って、ネットの「AIに奪われる仕事ランキング」で常に上位に入る職種です。本人もそれを知っているはずなんですよね。だからこそ、AIを受け入れることが自分の仕事の否定につながると感じていたんじゃないかと思います。
「精度がイマイチ」は、理由じゃなくて防御だったんです。
これはワイの推測ですが、同じような反応を見せる人は他の部署にもいました。自分の仕事に近いところにAIが入ってくると、人は抵抗する。当たり前の反応だと思います。
以前、AIに副業を奪われた話を書きましたが、ワイ自身もパワポ副業がAIで消えたとき、最初は受け入れられませんでした。立場は違っても、感情は同じなんですよね。
AIを使い始めた人が最初にやらかすこと
抵抗する人がいる一方で、少しリテラシーのある人はAIを触り始めます。
ただ、ここでも別の問題が出てくるんですよね。使い方がズレるんです。
よく見かけるのが、資料を丸ごとAIに作らせるパターン。企画書でも報告書でも、最初から最後まで全部AIに任せてしまう。出てきたものをそのまま提出する人が、実際にいます。
あとは、メールや文章を自分で書かなくなる人。AIに下書きさせて、そのまま送る。最初は効率化に見えるんですが、だんだん「この人の言葉」が消えていくんですよね。
以前、AIに丸投げしたら「自分の言葉」が消えた話を書きましたが、まさにあれが社内でも起きています。
問題は、最終確認を人がやらないことなんですよね。
AIの出力って、パッと見はきれいに整っています。でも、文脈がズレていたり、微妙にニュアンスが違ったりすることがある。そこを人がチェックしないまま出してしまうと、「なんか違うな」という成果物が量産されるんです。
AIに仕事を奪われる前に、AIに仕事の質を奪われている。推進担当としては、こっちの方がリアルな課題だと感じています。
AIに奪われないのは「正しさ」より「根回し」で動かす仕事
じゃあ、AIに奪われない仕事って何なのか。
推進担当として1年以上AIと向き合ってきて、ワイなりに見えてきたことがあります。それは「人と人の調整」です。
AIは正しい答えを出すのが得意です。データを分析して、論理的に整理して、きれいな資料にまとめる。そこは正直、人間より速いし正確です。
でも、正しいだけでは物事は動かないんですよね。
会社で何かを進めようとしたら、忖度や根回しが絶対に必要です。「あの部長には先に話を通しておこう」「この件は○○さんの顔を立てた方がいい」。そういう、理屈じゃない部分が仕事の半分くらいを占めている気がします。
AIに「部長への根回しをお願い」と頼んでも、たぶん無理です。相手の機嫌や、過去の経緯や、社内の力関係を読んで動くのは、人にしかできない。
以前、AI推進をやってみて結局「段取り力」と「調整力」が最強だった話を書きました。あの結論は、今も変わっていません。
「AIに仕事を奪われる」と不安になったら、自分の仕事の中で「人を動かしている部分」を見てみてください。そこは、たぶん当分なくなりません。
AIに一番「奪われた」と感じたのは、推進担当のワイ自身だった
偉そうに書いてきましたが、実は「奪われる」を一番リアルに感じているのはワイ自身かもしれません。
仕事でClaudeを使っていたときのことです。Excelの分析データをもとに、ダッシュボードをグラフィックレコードで作ってもらったんですよね。ダイナミック(動きがあって)で、色分けもされていて、そのまま報告資料に使えるクオリティ。しかも、所要時間は1〜2分です。
ワイがExcelで同じものを作ったら、たぶん1時間はかかります。
その瞬間、「あ、これは、もうおしまいだな…」と素直に思いました。自分が時間をかけて積み上げてきたスキルが、AIの前では数分の作業に変わる。これが「仕事を奪われる」の正体なんだと、体感として理解しました。
でも、冷静に考えると気づいたんです。
ワイの仕事を奪ったのは、AIそのものじゃない。AIを使いこなしているワイ自身なんですよね。
つまり、本当の脅威はAIじゃなくて、AIをゴリゴリに使い倒している隣の席の人間です。同じ仕事を半分の時間で終わらせて、余った時間で別の仕事も巻き取っていく。
以前、AIで仕事が速くなったら、もっと仕事が増えた話を書きました。あれもまさに、AIを使う人間に仕事が集まっていく現象でした。
「AIに仕事を奪われる」んじゃなくて、「AIを使っている人に仕事を奪われる」。これが、推進担当として現場を見てきたワイの結論です。
「AIに仕事を奪われる」と不安なら、まずAIを触ってみてほしい
ここまで読んで、「じゃあどうすればいいの」と思った方もいるかもしれません。
ワイの答えはシンプルです。まず、AIを触ってみてください。
不安の正体って、ほとんどが「わからない」から来ています。AIが何をできて、何ができないのか。それを自分の目で確かめるだけで、漠然とした不安はかなり減ると思います。
ChatGPT、Gemini、Claude。どれも無料で試せます。自分で書いたメールを貼り付けて「このメール、わかりにくいところある?」と聞いてみるくらいでいいんです。一度でも使ってみると、「あ、こういうものなのか」という感覚がつかめます。
そのうえで、「AIにできること」と「自分にしかできないこと」を分けてみてください。データ整理や文章の下書きはAIが得意です。でも、上司への根回しや、部下のモチベーション管理は、たぶんあなたにしかできない。
以前、AIが奪ったのは「仕事」じゃなくてパパの「役割」と「尊厳」だった話を書きました。奪われるものの正体を知ると、守るべきものも見えてくるんですよね。
「AIに仕事を奪われる」と検索している時間があるなら、その時間でAIを1回触ってみる。それが、たぶん一番の対策です。
「AIに仕事を奪われる」のまとめ
現場にAIが浸透するより先に、「奪われる」という不安の方が広がっています。でも、推進担当として見てきた実態は、ネットのランキング記事とはだいぶ違いました。
奪われそうな人ほど抵抗し、使い始めた人は使い方をミスし、本当に奪われないのは人と人の調整でした。
そして、AIが仕事を奪うんじゃなくて、AIを使い倒している人間が仕事を奪っていく。これが、ワイが現場で感じた結論です。
不安なら、まず触ってみてください。触れば、不安の正体がわかります。
それでは、お先に失礼します。
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