37歳独身休職中、仕事を探して神社に行ったら結婚した話【前編】
主人との出会いは、転職エージェントの紹介です。そう言うと大概の方にきょとんとされます。
私は38歳で結婚したのですが、主人と出会ったのは37歳、休職中のときでした。転職活動をする中で、導かれたとしか言いようのない経緯で主人と仕事に出会いました。そこにはとある神社の力が働いていて…
これは、実際に私の身に起こったちょっと不思議なお話。(※会社や人の名前は仮名にしています)

ソーシャルリンクス登録
仕事と主人に出会う前、私はまさに人生どん詰まりでした。
33歳で彼氏と別れてから、結婚相談所・婚活パーティ・婚活サイトとがむしゃらに婚活しましたが、成果なし。仕事にのめり込むも、35歳のときにオーバーワークで会社で倒れました。適応障害と診断されて、そこから休職に。
プライベートも仕事も、頑張れば頑張るほどうまくいかない。なんかもう、疲れちゃったな。
もういいや、やーめた。
仕事も婚活もいったん全部忘れることにして、旅をしたり、本を読んだり、ひたすら気の向くままに過ごしました。
気づけば2年。そろそろ働こうかな。でも、元いた場所に戻るのはやめよう。そう思って、ようやく転職活動を始めました。
そこで、小さな転職エージェント『ソーシャルリンクス』社長の小渕さんと出会います。
ソーシャルリンクスは社員4名のとても小さな会社で、最初のクライアント面談はもちろんのこと、企業紹介や面接対策、面接アポ取りに採用後のフォローまですべて小渕さん自ら行っていました。紹介先は、小渕さんが個人的に面識のある中小企業が中心です。
大概の転職エージェントでのクライアント面談って、履歴書をさらっと確認して希望業種のヒアリングをする程度かと思うのですが、小渕さんは違いました。
革ジャン姿で会議室に現れて、「あなたという人を知りたい。これまでの人生で印象的だったこと全部聞かせて」と言ってニコニコするのです。聞き上手な小渕さんにつられて、気づけば仕事以外のことまであれこれすべて話していました。
ひとしきり話し終えたところでふと、小渕さんが言いました。
「あなたさぁ、独身なんだね」
不意を突かれた私、とっさのことで開き直って言いました。
「いやぁ、そうなんですよ。誰かいい人、いませんかね?」
「そうねぇ、うーん……いいなと思うヤツはいるよ。でも、全員結婚してるなぁ」
でーすーよーねー!!
ここで「あ、いるよ」となれば話は早い。転職がきっかけで彼氏ができたりなんて、まさかそんなことあるわけない。
そのまさかが、1週間後に起こりました。
神社参拝した後に。
東国三社参拝
この頃ちょうど、節分を迎えました。新たなステージに行きたい新たな年。もともと神社が好きな私は、ここは正念場、と思ってちょっと特別な神社にお参りに行くことにしました。
行先は東国三社。
東国三社を教えてくれたのは、10年来お世話になっているメンターです。いわゆる「視える」人なのですが、その人はこんな風に言いました。
東国三社参りは、的に向かって弓を引き絞るようなもの。お願いしたらものすごい力で矢が放たれる。威力抜群だけど、覚悟を持っていくこと。
このときは、あまり言葉の意味がわかっていませんでした。どのみちアラフォー独身1人暮らし、職が見つからなければ食いっぱぐれるのみ。失うものは何もなしとばかりに、意気揚々と出かけました。
と言ってもペーパードライバーなので電車とバスを駆使しての日帰り旅となり、このとき行けたのは三社のうち二社のみ。
香取神宮



鹿島神宮


写真の通りの快晴で、スッキリと心地良いお参りでした。特に、香取神宮の奥宮が気持ちよかった!
帰ってきてから本格的に転職活動を始めた私は、ようやくメンターの言葉の意味を理解しました。矢って、ぐるぐる回りながら飛んでいくんですよね。目的地に向かう力が強ければ強いほど、その回転も速い。私は予想もしなかった怒涛の展開に翻弄されることになります。
ピュアフーズ1次
小渕さんがアレンジしてくれた、私の人生初の転職面接。
『ピュアフーズ』という家族経営の小さな会社で、面接相手は社長と専務です(おそらくともに70代オーバー)。
1社目ということで、小渕さんが昔から懇意にしている会社をご紹介いただき、面接にはなんと小渕さんも同席してくださいました。それなのに、あまりにもあまりな展開が起こりました。
まず、面接冒頭50分間、社長の独演会。
自分がいかに戦火を潜り抜けたか。
どうやって会社を大きくしたか。
いかに自分がすごい人物であるか。
え。。
今日、私の採用面接ですよね?
戸惑いながら必死に相槌を打つも、気づけば残り10分。せめて自己紹介しようと口を開きかけたとき、社長の隣でずっと黙りこくっていた専務がおもむろに言いました。
「あなた、ご立派な経歴みたいだけど、本当にこの仕事が務まるの?」
蛇のようなまなざし。

えっと…私、まだ一言もしゃべってないんですけどね…。ちょっと待って、どういうこと?
完全に動転しつつ、とりあえず職歴と用意した志望動機をざっと話したところでタイムオーバー。ああ、こりゃだめだと席を立とうとしたところで、社長がおもむろに紙袋を取り出しました。
「これ、持って帰ってください」
開けてみると、ケーキ4つ(生菓子)とカタログギフトが入っていました。

なにこれ。
なんなのこれ。
どういうこと?
手土産用意してたってことは、面接の前から私を採用するつもりだったの?でも専務は明らかに私をよく思ってなかったよ?てかケーキって。カタログギフトって引き出物かよ!
恐る恐る小渕さんの顔を見ると、彼も青ざめて固まっていました。少しの沈黙の後、ゆっくりと口を開きました。
「この会社を求職者に紹介したのは今日が初めてじゃない。でも、こんな面接は初めて。本当に申し訳ないけど、私も驚いてる。すぐ次の会社探すわ。
…で、もう、
ちょっととりあえずさ、
時間大丈夫なら飲み行かない?」
今のご時世ならありえない展開ですが、コロナ前のこと。モヤモヤしたまま一人帰る気にもなれなかった私は、一も二もなく賛成しました。
***
乾杯した後も、小渕さんは私に平謝りしつつ、「あの会社は昔からよく知ってるし、信じてもらえないかもしれないけど、こんなおかしな採用面接は初めて」としきりに不思議がっていました。
飲みながらしばらく話すうち、次第に私の気持ちもほぐれてきました。まあ過ぎ去ったことは仕方ない、次に向けて気持ちを切り替えよう!と思えた頃。何か閃いたように、小渕さんが言いました。
「あのさぁ、話変わるんだけど。前に、誰かいい男の人いない?って聞いてくれたじゃない?
…今思い出した。いるわ、一人」
え?
「いるんだよ、一人いい感じのヤツ。昔のクライアントさんなんだけどさ、あいつ多分まだ独身だと思うんだよねー。ちょっと変わってるけど性格もいいし、結婚してないの不思議なくらい。いや~忘れてた。今思い出したわ。連絡先教えていいか、本人に確認しとくね」

この席ではこの会話のみで終わり、本人の連絡先を知るのはまだ先のことです。まさか、この話が結婚にまで繋がるとは。この時の私は、知る由もありませんでした。
フューチャーベース1次
怒涛の流れはまだまだ続きます。
帰宅すると、ソーシャルリンクスと並行して登録していた大手転職エージェントから、『フューチャーベース』という会社で書類選考に通過したという連絡が入っていました。心機一転、すぐに日程を調整し、早速1次面接に挑みました。
フューチャーベースは大手メーカーの子会社。小綺麗に整えられた中規模のビルに、スーツ姿のちょっと疲れたおじさんたちが行きかいます。
それまで別業界の大手メーカーに約10年勤めていた私にとって、その雰囲気は馴染み深いものでした。
会社と業務の説明を受けて、自己アピールをし、お互いにマッチングの可能性を探る。独演会も圧迫質問もなし。ケーキもギフトもなし。そうそう、転職活動ってこういう感じだよね。
言い方は悪いですがソツなくやり取りを終え、無事に2次面接へと進むことになりました。
業界は違えど、今まで培ったノウハウが活かせそう。これまで働いてきた会社と雰囲気がかけ離れていない。なんとなく、ここでなら私は働けるだろうという感覚がありました。
ただそれは、新しい仕事という意味ではあまりワクワクするものではありません。もうちょっと他も見てみたいな〜、というのが正直な気持ちでした。
ザイン1次
そこへ小渕さんから連絡が入ります。『ザイン』という会社の面接を受けてみないか?というのです。
フューチャーベースとザイン、二社の業界は全く異なります。
高齢のワンマンCEOが率いるザインは、フューチャーベースの10分の1程度の規模ながら、競合のいない個性的な会社です。バリバリのベンチャーではないけれど若手に大きな裁量が任されており、小渕さんの紹介した中途社員も多数大活躍中とのこと。
興味を持った私は、ザインの1次面接を受けてみることにしました。
これが、新たな波乱の幕開けでした。
ザインは、フューチャーベースとはあらゆる意味で対照的でした。
フューチャーベースが伝統なら、ザインは革新。
フューチャーベースが平穏なら、ザインは波乱。
業務内容も、フューチャーベースは私の経験の延長線上にある一方、ザインはその斜め上にあるイメージ。前例がないものを自分で作り出す感じです。
私の目には、ザインがかなり魅力的に映りました。幸いザインの方でも私の経歴に興味を持ってくださったようで、こちらも2次面接に進むことに。
フューチャーベース2次
ここでフューチャーベースの2次面接が入りました。COOが対応されたので、実質最終面接です。

これが、すこぶる印象が悪かった!
重厚なしつらえの特別室で50代と思しきフューチャーベースのCOOは、ふかふかのソファにふんぞりかえって短い手足(あら失礼)を投げ出していました。言葉遣いは乱暴ではないけれど、機嫌悪いのかな?という顔つき。終始ふんぞりかえり体勢のままで質疑応答が続きました。なんとなく居心地が悪い…。
さらにその帰り、社員さんと思われる方々とエレベーターホールですれ違います。揃いも揃ってみんな猫背で、視線が下。なんだか疲れている様子で、纏っている空気がじと〜っとしています。
うーん…
面接でどう評価されたかわからないけど、これはちょっと、嫌かも。私の中で、ザインへの興味がますます膨らみました。
ザイン2次
そして迎えたザインの2次面接。
かなり気合いを入れた私は、入社したらどんなことをやりたいかプレゼンを用意して臨みました。
ご対応くださった取締役と事業本部長は、40代の溌剌とした男女ペア。美男美女で、ちょっと見惚れてしまいました。終始にこやかにお話しされて、プレゼンも興味深そうに聞いてくださいました。
聞きたいことと話したいこと、バランスよく全て押さえて無事終了。手応えはまあまああったんじゃない?と思いながら部屋を出たところで、
CEOにバッタリ出くわしました。
ザインの下調べをする中、ネットで顔写真を見ていたので気づきました。
こんなタイミング、ある?!
これはチャンス!と思い切って挨拶。するとCEOはにっこり笑って、
「ああ、話は聞いてるよ、〇〇事業部の面接に来てくれたんでしょう?それはありがたいな。ぜひよろしくね」
とおっしゃるではありませんか。これは、ミラクル来たんじゃない?!
***
その後。
フューチャーベースからは内定通知があり、改めて業務内容や給与について詳細を説明する場を設けたい、とのことでした。あれ、COOは顔相が悪かっただけ?
そしてザインも、CEOの最終面接に進むことになりました。
さらにこの頃、小渕さんに紹介された男性とも直接やり取りが始まり、初デートが決まりました。
さて、どうなる?
後編に続きます。
