[組織ブログ Ver.83]リーダーシップの土台の1つは“自己認識力”だと感じた話
「皆さんにとって"リーダーシップ"とはなんですか?」
と言う問いに対して、きちんと回答できる方はほぼいらっしゃらないのではないでしょうか?かく言う僕もその1人で、これまでの人生で「リーダー」になる事は、各グループや組織やコミュニティーで多かったのですが、それは自然と自分なりのリーダー像が出来上がったきただけで、「リーダーとは?」という哲学的とも言える問いに対して、個人的にしっかりとした回答を出ていたかというと微妙でした。
とは言いつつ、ミスリードをしないように本ブログの執筆を進めていきたいと思うのですが、本ブログの結論は、
「リーダーをする際に最も土台となるスキルが明瞭になった」
こちらを皆さんにお伝えする内容となります。
あくまでも個人的な意見となりますが、僕が今後人生をかけて、これらを皆さんに広めていきたいとそう思える内容でしたので、ぜひ参考までにご覧いただければと思います。
0. 簡単に僕の自己紹介から
僕個人のご紹介を長文でするつもりはないのですが、そもそもどのような人生だったのか?簡単なハイライトを記載したいと思います。
小学校の頃から (少し遅めに)サッカーを始め、キャプテンはしておりませんでした。ただ、自然と周りに慕ってくれるメンバーはいた記憶があります。
中学校の頃は、学級委員に自分から立候補するようになったり、地域のサッカーのクラブチームで副キャプテンになったりしました。
高校になると、100名以上からなるサッカー部のキャプテンをさせてもらいました。
大学の頃は、特にリーダーという立場ではなかったものの、各チームやコミュニティーにおいてリーダーっぽい立ち位置で振る舞うことが多くなりました。
社会人になると3年目からマネージャーの役職を拝命いただき、社会人4年目には独立。それ以降、 取締役に就任させていただき、現場のリーダーを取り組み続けてきました。
社会人1年目から競技系フットサルを開始しており、そのキャプテンを10年ほどしておりました。
当社を設立してからは、約8年間半会社の代表を務めています。
この事実を伝えたいというよりは、様々なコミュニティーの中で酸いも甘いも、 リーダーのエキサイティングな経験も、目を覆いたくなるような辛い経験もしてきたつもりです。
その中で、僕がリーダーとして同じようなエラーをし続けていると感じることがあったのが、30代中盤の頃でした。
0-1. リーダーとして真摯に対応してるのに人が離れていく
僕と関わってくださったことがある方は、なんとなくご認識いただいてるかもしれないのですが、僕は割と真正面からコミニケーションをとっていくタイプです、また、相手を自分の色に染めたいと無意識的に思っているタイプでもありました (過去形)。
少し具体的に記載をすると、僕は社会において、ビジネスにおいて、HR パーソンとしての一定の成功体験があります。そのため、自分の成功体験を自分の部下たちにインストールしてもらえれば、成果が出ると10年ほど思い込んでいる時期がありました。これは一定の成果を発揮しており、前職においてはたくさんの方の育成に携わらさせていただいたのですが、人材紹介というドメインにおいてのトッププレイヤーを10〜20名程度生み出せた気がしています。
そのやり方自体は方向性としては間違えていなかったなと振り返る事はあるのですが、当社ポテンシャライトを設立してから同じようなスタンスで仕事 (育成)をして、高い成長角度を担保できていると同時に、「長続きしない」という事象が頻発していました。自分が大好きであり真摯にコミュニケーションを取らせてもらっていた信頼しているメンバーであっても、突然糸が切れたように退職をしてしまうという経験もありました。
これは何が根本的な要因なのか?と悩むこともありましたし、もちろん人間は弱い生き物ですから「退職した人がやる気を失ってしまったので、仕方ない」という諦め方をしてしまったこともありました。
ただ、それから様々な勉強して気づくことがありました。
0-2. 一般的なマネジメント・リーダーシップ研修を学んでみての気づき
まず、誤解がないように申し上げると、一般的なマネジメント・リーダーシップ研修が優れていないと言いたいわけではありません。ただ、 様々なマネージメントやリーダーシップの書籍、またセミナーに多数参加させていただいて、しっくりこないのが本音でした。なぜならば、マネージメントやリーダーシップを科学していらっしゃる企業さまは、多数存在するのですが、「ノーハウ」に当てはめて実践をしていくことがほとんどでした。
おそらくマネジメントやリーダーシップを学ばれたことがある方はご理解いただけるかと思うのですが、そのインプットしたノーハウを現場で使ったとしても「上手くいかない」ことが発生します。そして自分自身の「教科書の範囲外」の事象が発生すると、対応しきれなくなり、頭がオーバーヒートしてしまう。そして、マネージャーやリーダーとなっている方は、メンバーレイヤーで実績を残したことがある方がほとんどでしょうから、メンバーレイヤーとして「業務」において上手くいった自分自身のアルゴリズムを、マネジメントやリーダーシップに適応してトライをする。ただ、上手くいかない。そのような経験を皆様もお持ちなのではないでしょうか?なぜ「マネジメントやリーダー」は「ノウハウ論」で通用しなくなるのか?
その答えの本質は、
「自分に確証バイアスがあるから」
が1つの僕なりの回答です。
この「確証バイアス」については後述するとして、マネージャーやリーダーになった方は、就任直後に「自分の景色を絶対視してしまう」傾向が非常に強いと思っています。つまり、自分が見えている景色と同じ景色を相手は見えていると思い込んでしまう節です。この話をし始めるとものすごく長文になるので一旦割愛するのですが、ここまでをインプットいただいた上で次の話に移りたいと思います。
0-3. これまでの成功体験・成功要因が通用しなくなってる時代について
この類の話は別のブログでも何度も記載してるのですが、とにかく今は「時代の変動」がとにかく早いです。コロナウィルスを発端としたリモート勤務、AIの影響が記憶に新しいかと思うのですが、とにかく大きなパラダイムシフトを迎えました。これまで対面での仕事が当たり前であった中で、そしてAIという武器がなかった中で、僕らは仕事をしていたわけですから、とてつもなく大きな変化を求められていたりします。もちろん変化をしなくて生きていくこともできます。
そんな時代や環境が大きく異なる中で、これまでの成功体験で何かと振る舞ったり、取り組んだりすること自体が危険であることをご理解いただけますでしょうか?過去の体験から意固地になったり、リーダー自身が過去の栄光にしがみつき、会社自体が過去の成功体験の模倣のような戦略を立て続けているというのは、かなり危険なことであると個人的には思っています。
これまで記載した内容が、本ブログの「背景」です。他にも記載したい背景がたくさんあるのですが、このあたりにしておきます。次に話を進めましょう。
1.LDMAについて
僕自身がリーダーシップを考える上で、大きな示唆を受けたのが
LDMA (Leadership Decision-Making Assessment)
というアセスメントです。これはアメリカのLectica社が開発したもので、リーダーやマネージャーがどのように「意思決定」を行っているかを測定する仕組みです。単なるスキルやノウハウのチェックではなく、意思決定のプロセスそのものに注目し、どのくらい多角的に物事を捉え、どの程度の複雑性に対応できているのかを可視化してくれる点が特徴です。
特に面白いのは、この評価が「成人発達理論」の段階モデルと結びついていることです。つまり、自分がどの発達段階でリーダーシップを発揮しているのかが明らかになり、その結果、「次にどのような経験や学習を積めば、 より高いレベルの意思決定ができるようになるのか?」という問いにつながります。
※発達指向型組織や成人発達理論について説明してるブログがありますので、 下記をご覧ください。(やや古い内容になる+僕の解釈が多分に含まれております、 ご了承ください)
僕自身もLDMAを学んだことで、従来の「成功体験に頼ったリーダーシップ」から1歩抜け出し、自分の思考や意思決定の土台を見直すきっかけを得ました。これはまさに、今の時代のリーダーにとって避けて通れないテーマだと強く感じています。
1-1. LDMAの構成

👆こちらはLDMAが提唱している「優れたリーダー」がどのような構成要素で成り立っているのか?について記載されたものです。1つずつ触れていきましょう。
2. コンプレキシティ (Complex Thinker)
リーダーにとって避けて通れないのが「複雑性」とどう向き合うか、というテーマだと思います。Lecticaの定義でも、コンプレキシティとは「物事を単純化しすぎず、複雑さを複雑なまま扱える力」とされています。これは僕自身がリーダー経験を重ねる中で、最も痛感した要素の1つでもあります。
3. クラリティ (Thinks & Communicates Clearly)
複雑性を抱えたままでも、相手に伝えるときは明快でなければなりません。ここで重要になるのがクラリティです。僕が整理した内容でも、クラリティは大きく「明快な伝達」「論理的一貫性」「枠組みの操作」「説得力」という4つの領域に分かれていました、つまり、クラリティとは、単なる”わかりやすさ”ではなく、論理の筋を通し、場のフレームを意識しながら、相手に納得感を与えるプロセスそのものだと捉えています。

4. VUCAスキル (Has Excellent VUCA Skills)
最後に触れたいのがVUCAスキルです。僕がLDMAを学んだ中で「実装フェーズの総合力」として位置づけられているもので、協働性 (Collaborative Capacity)、視点の調整 (Perspective Coordination)、文脈的思考 (Contextual Thinking)、意思決定プロセス (Decision-making Process)の4つに整理されています。リーダーとして日々直面する「対立」「複雑さ」「不確実性」に対してどう関与し、どう前進させるかを支える具体的な筋力だと強く感じています。
4-1. Collaborative Capacity (協働能力)
協働能力とは、まず自分自身のバイアスに気づき、それを外すことから始まると思います。特に、自分の枠組みに合わない意見や情報を無意識に否定してしまうことはよくありますよね。僕自身もそうでしたし、これは誰にでもあることだと思います。そこに気づいて「観察的な質問」に切り替えることができると、相手の前提や定義が自然と浮かび上がってきます。結果として、対話や議論の質がぐっと高まります。協働性というのは、単に仲良くすることではなく、異なる視点を取り込みながら建設的に前進する力なのだと感じています。
また、LDMAを開発したLecticaさまが素晴らしいスライドを公開くださっています。👇こちらを参照しておりますので下記をご覧ください (小項目/中項目は45程度あります)

4-2. Perspective Coordination (視点の調整・統合)
視点の調整は、まさにリーダーが避けて通れないスキルだと思います。プロジェクトや会議の中で、意見がぶつかるのは当然のことです。そのときに「共通の目標」を明確に掲げることができれば、対立が協働へと変わっていきます。さらに重要なのは、ステークホルダーの反応を事前に予測し、橋渡し役を担うことです。単に理解するだけではなく、場そのものをデザインしていく感覚が大事だと思います。僕自身も「翻訳者」や「橋渡し」として振る舞うことで、場が動き出す経験を何度もしてきました。視点の調整は、関係性そのものを編み直す力なのではないでしょうか。
👇 Lecticaさまが公開している内容 (小項目/中項目は50程度あります)

4-3. Contextual Thinking (文脈思考)
文脈思考は、相手の行動や意思決定を単純に「性格だから」「価値観だから」と片付けない力だと思っています。その背後には、個人の経験や関係性、組織の状態。文化的な背景など、いくつもの層が存在しますよね。僕自身、これを意識するようになってから、短絡的な判断を避けられるようになりました。さらに面白いのは、文脈には単一のものだけでなく、複合的なものや時間軸を跨ぐものがあるという点です。過去と現在をつなぎながら未来を考える。そうすることで、意思決定に持続可能性が生まれるのではないかと思います。
👇Lecticaさまが公開している内容 (小項目/中項目は50程度あります)

4-4. Decision-making process (意思決定プロセス)
意思決定プロセスでは、「誰をどの深さで巻き込むのか」を意識的に選ぶことが非常に重要だと感じています。僕自身、以前は「全部1人で決める」か「全員を巻き込む」かの両極端に振れがちでしたが、学びを通じて「深さを調整する」という発想を持てるようになりました。また、観察者としてプロセスを見守る姿勢も大事で、その中でどんな問いを投げるかが質を決めます。最終的には「どのように関与するか」を柔軟に選び分けられることが、優れた意思決定につながるのではないでしょうか。
Lecticaさまが公開している内容👇(小項目/ 中項目は70 程度あります)

4-5. (補足)Self-mastery (自己統御)
最後に補足として触れたいのが、セルフマスタリーです。これは自分の思考や感情、行動を俯瞰し、整えていく力だと捉えています。たとえば、自分の感情をラベル付けして言語化することや、無意識のシャドウに気づくこと。あるいは、過去の成功体験を一度手放す「アンラーニング」も含まれます。僕自身も、弱さを責めずに受け入れる自己受容の感覚を持てるようになってから、対話の質が変わった実感があります。結局、リーダーが他者を導く前に、自分自身をどう扱えるかが問われているのだと思います。
👇Lecticaさまが公開している内容 (小項目/中項目は60 程度あります)

5. LDMAの全項目に触れてみての気づき
LDMAのクラリティーやVUCAスキルなどに触れていて感じることがありました。これらの各項目の名称の意味はなんとなく理解できているつもりだったのですが、そもそもこの全項目に対しての説明文章は僕が探した限りでは見当たりませんでした。むしろ、これらの各項目について、自分なりに頭の整理をする必要性を感じておりました。なぜならば、自分自身で言語化しなければ絵に描いた餅と言いますか、 ただ非常に有能な各項目における分類がなされているだけで、自分なりに活用することが難しいと思ったからです。そのため、各項目を下記のように整理しておりました。
冷静に観察する (Observe dispassionately)
先入観や感情に巻き込まれずに、状況をメタ認知的に観察する力のことです(成人発達でいう、自己と対象を分けて見る姿勢)。これはまさに観察そのものであり、自分の評価や解釈を入れずに、その事実をきちんと見極める力なのだろうなと思っています。 しかし、これが本当に難しいです。たとえば、人間が朝に目をこすっていたら眠いんだろうなと解釈をしてしまうのと同時に、冷静に観察するということ自体のハードルは非常に高いですよね。 また、観察をする対象となる人や事象、そして自分の状況や状態、その日の天気、特定のチームや組織。1人であれば冷静に対話できるけれども、2人を相手にして、その2人が集まったときには観察ができなくなったり、その人の表情だったり、そういったところで観察ができたりできなかったりするのは、僕自身もよく体験をします。なので、これは非常に難しいと同時に、根本的に必要な能力だと思っています。
未解決の傷 (Unhealed wounds)
自分自身の未解決の傷もありますが、チームや組織、そして会社レベルでも存在します。さらに上のレベルで見ると、日本や業界、世界や地球規模の未解決の傷もあると思います。たとえば、戦争や地球温暖化、コロナウイルスなどは「解決済み」とされているかもしれませんが、実際には未解決のまま根深く残っていますと思っており、当社の社内でも関係性の課題は未解決の傷として残っているのではないかと考えています。時間が解決することはほぼなく、根っこの部分で残り続けているように思える。それを蓋をして人生を過ごすことはできますが、誰しもが未解決の傷をコンテキストとして抱えているはずです。未解決の傷が全くないということはほぼあり得ません。幼少期や学生時代における未解決の傷は本当にたくさんあると思います。大人になるとそれを解決するような動きをするかもしれませんが、残るものも多いです。僕の場合は、社会人1社目と2社目における未解決の傷を放置しているつもりはないものの、解決できる場面がない、そんな感覚があります。
上記はあくまで1部の項目に過ぎませんが、こちらをクラリティーやVUCAスキルにおける300程度の「小項目」に適当して取り組んでみました。そこで大きな気づきが個人的にありました。
5-1. VUCAスキルを分解して気づいたこと
LDMAのVUCAスキルを勉強すればするほど、それぞれの項目が単体で存在しているのではなく、相互に強い関連性を持っていると感じるようになりました。そして同時に、「根本的に必要なマイクロスキル (小項目)」があるのではないか、という問いに行き着きました。
これまで僕は、複数のVUCAスキルをまとめて振り返れるような枠組みを設定していましたが、今通っているリーダーシップセミナーの方から「マイクロスキル (小項目)に分解して、その粒度で焦点を当てて振り返りを行うこと」が重要だというアドバイスをいただきました。実際に取り組んでみると、その効果は非常に大きく、学びの密度も格段に高まりました。
一方で、マイクロスキル (小項目)を振り返っていく中で、「さらに前提となるスキルが存在するのではないか?」という感覚が強まってきました。具体的には、「確証バイアスを避ける」というスキルです。これはほぼすべての項目の基盤につながると思っています。確証バイアスが強いと、相手のコンテキストを深く言語化できませんし、相手のパースペクティブ (視点)に立つことも、協働の最適な形をつくることも難しくなってしまいます。
僕自身、メンタルモデルやシャドウが強く出る場面では確証バイアスが増幅され、理想的な反応ができないことがあります。また、相手やイベントのコンテキストによって、自分を補うような言動を取ってしまうケースもありました。これらを踏まえると、マイクロスキル (小項目)には階層性があり、全てが1本の線につながっているように思えます。
5-2. 意思決定プロセスの特異性
さらに強く感じるのは、4つのVUCAスキルの中でも「意思決定プロセス」が最も複雑性が高いということです。なぜなら、意思決定は、他のスキルを前提として成立しているからです。
意思決定プロセスを踏むためにパースペクティブコーディネーションをする必要がある
意思決定プロセスを踏むためにコラボレイティブキャパシティが必要である
意思決定プロセスを踏むために、 コンテクシャルシンキングが必要である
このように、意思決定は他の3つのスキルの力を統合する形で初めて成立します。もちろん人間の行動すべてに意思決定が伴うわけではありませんが、リーダーシップの現場では、大なり小なり必ず意思決定が存在しており、その度にこれらのスキル群を動員している感覚があります。だからこそ、意思決定プロセスはVUCAスキル群の中でも統合的であり、最も難易度が高い領域だと感じています。
5-3. マイクロスキル (小項目)の階層性
一方で、パースペクティブコーディネーション、コラボレイティブキャパシティ、コンテクシャルシンキングの3つについては、どれが「最も土台」と言い切るのは難しいと思っています。結局は、その内部にあるミニスキルやマイクロスキル (小項目)次第だからです。
ただ、僕が整理してきたリストを見ても、やはり「土台スキル」には自己認識に関するものが多く含まれているのは納得感があります。反芻を避ける、感情をラベル化する、防衛的反応を認識する…こうしたスキルが機能しなければ、理想的な対話や協働は崩れやすいです。逆にここを整えていけば、自然と上位のスキルも機能してきます。
つまりVUCAスキルは、直線的に積み上がる1本の線ではなく、土台から統合まで階層的につながっている「スキル群」として理解する方が、本質に近いのではないかと思います。
6.全VUCAスキルを土台⇒根幹⇒発展と階層別にまとめてみる
前項目で記載した通り、クラリティーやすべてのVUCAスキルのマイクロスキル (小項目)を階層別にまとめてみることにしました。個人的にはこのアクションがものすごく大きな気づきとなりました。まず見てまいりましょう (数が非常に多いです。)
土台スキル (自分を整え、 事実を捉える)
反芻を避ける / 認識する
反芻を認識する / Recognize rumination — Self-mastery
反芻を避ける / Avoid rumination — Self-mastery
感情のラベリング / Label emotions — Self-mastery / CC
仮定を認識する / Recognize assumptions — Self-mastery / CT
注意再配分 / Reframe & redirect attention — CC / Self-mastery
バイアスを避ける / Avoid bias — CT
メタ認知モニタリング / Metacognitive monitoring — Self-mastery / CT
防衛的反応を認識する
防衛的反応を認識する / Recognize defensive responses — Self-mastery
一呼吸置く / Pause before acting — CC / Self-mastery
自己観察者を育む / Cultivate a healthy active observer — Self-mastery
敬意ある関わりを育む / Cultivate respectful interactions — CC
感情を選ぶ / Choose emotions — Self-mastery
データと解釈の分離 / Separate data from interpretation — CT
感情を認識する (一次 / 二次)
感情を認識する / Recognize emotions — Self-mastery
一次・二次の識別 / Differentiate primary/secondary emotions — Self-mastery
感情を選ぶ / Choose emotions — Self-mastery
感情を活用する / Leverage emotions — Self-mastery / CC
感情を反映する / Reflect feelings — CC
仮定を認識する
仮定を認識する / Recognize assumptions — Self-mastery
仮定を問い直す / Question assumptions — PC / CT
反証探索 / Seek counter-evidence — CT / DM
データと解釈の分離 / Separate data from interpretation — CT
バイアス点検 / Avoid bias — CT / Self-mastery
状況を説明する
状況を説明する / Describe — CT
状況を解釈する / Explain (※区別を意識) — CT
二重質問を避ける / Avoid double-barreled questions — CC
明確化の質問 / Clarifying questions — CC
要約・言い換え→確認 / Summarize/paraphrase → check-back — CC
外部参照で検証 / Triangulate with external sources — CT
根幹スキル(他者・文脈を理解する)
状況を解釈する
状況を解釈する / Explain — CT
関係性を説明する / Explain relationships — CT / PC
事実と解釈を区別 / Separate fact & interpretation — CT
制約とアフォーダンスを理解する
制約とアフォーダンス / Constraints & affordances — CT
内的・外的目的を理解 / Internal & external objectives — CT
資源を特定する / Identify resources — CT / DM
探究的質問・明確化質問
探究的質問 / Exploratory questions — CC / PC
明確化の質問 / Clarifying questions — CC
二重質問を避ける / Avoid double-barreled questions — CC
傾聴 (相づち・姿勢・視線)
相づちを打つ / Use backchannels — CC
身体を傾ける / Lean in — CC
アイコンタクト / Maintain eye contact — CC
非言語的手がかりを読む
声のトーンを読む / Notice tone of voice — CC
表情を読む / Read facial expressions — CC
ボディランゲージ / Read body language — CC
バイアスを避ける / 原因帰属エラーを避ける
バイアスを避ける / Avoid bias — CT / Self-mastery
原因帰属エラーを避ける / Avoid fundamental attribution error — CT / PC
複数視点を考慮 / Consider multiple perspectives — PC / CT
外部参照を利用 / Use external reference points — CT
統合スキル(視点を合わせ、 構造を描く)
情報を整理する (アウトライン / 図式化 / タイムライン / 地図化)
アウトラインを作る / Create outlines — PC / DM
図式化する / Diagram — PC / CT
タイムラインをつくる / Timeline — PC / CT
地図化する / Mapping — PC / CT
重なりを評価する
重なりを評価する / Evaluate overlap — PC / CC
共有された価値を特定 / Identify shared values — PC / CT
共通目標を見つける / Find shared goals — PC / DM
システムをマッピングする
システムをマッピングする / Map systems — PC / CT
因果ループを描く / Causal loop diagram — CT / DM
緊張の位置を可視化する / Map tensions — PC
アポフェニアを避ける (誤ったパターン認知を回避)
アポフェニアを避ける / Combat apophenia — PC / Self-mastery
データと解釈を区別する / Separate data from interpretation — CT
外部参照で検証 / Validate with external sources — CT / DM
共通基盤を見つける (価値 / 目標 / 信念 / 課題)
共有された信念を特定 / Identify shared beliefs — PC / CT
共有された課題を特定 / Identify shared problems — PC / CC
価値マッピング / Values mapping — PC
アイディアを共有・乗る
他者のアイディアに乗る / Join others’ ideas — CC / PC
インプットを求める / Request input — CC
遊び心を持って共有する / Share playfully — CC
明確に伝える / Communicate clearly — CC / Clarity
緊張・葛藤の活用スキル
緊張を察知する / 明確化する / 評価する
緊張を察知する / Notice tensions — PC / CC
緊張を明確化する / Clarify tensions — PC
緊張を評価する / Evaluate tensions — PC / DM
葛藤解決ツールを使う
価値マッピング / Values mapping — PC
反対意見を議論する / Argue opposing views — PC / CC
リバース・ブレインストーミング / Reverse brainstorming — PC / DM
ブレインライティング / Brainwriting — PC / CC
感情を選び活用する
感情を選ぶ / Choose emotions — Self-mastery
感情を活用する / Leverage emotions — Self-mastery / CC
感情を反映する / Reflect feelings — CC
明晰かつ倫理的に伝える
明晰に伝える / Communicate clearly — CC / Clarity
倫理的に伝える / Communicate ethically — CC / Clarity
透明性を保つ / Maintain transparency — CC / DM
発展スキル (協働の深化・合意形成)
生産的な相互作用を支える
アジェンダを設定する / Set agenda — PC / CC
生成的対話を促す / Foster generative dialogue — PC / CC
脱線を防ぐ / Prevent derailment — PC / CC
集団意思決定を支援する
意思決定プロセスを明示する / Clarify decision process — DM / PC
オプションを比較する / Compare options — DM / CT
優先順位を設定する / Prioritize — DM
協働学習を支援する
フィードバックループを設計する / Design feedback loops — PC / DM
リフレクションを促す / Encourage reflection — CC / PC
学習成果を共有する / Share learnings — CC / PC
歴史・伝統・未解決の傷・階層的文脈を扱う
歴史的要因を考慮する / Consider history — CT
伝統を考慮する / Consider traditions — CT
未解決の傷を扱う / Address unresolved wounds — CT / Self-mastery
階層的文脈を捉える / Recognize hierarchical contexts — CT
隠れた動機や暗黙のバイアスを扱う
隠れた動機を認識する / Recognize hidden motives — Self-mastery / CT
暗黙のバイアスを扱う / Address implicit bias — Self-mastery / CT
透明性を高める / Increase transparency — CC / DM
いかがでしたでしょうか?
こちらを見て感じることとしては、やはり土台となるスキルに「自己認識力」が非常に多いということこれはすごく納得感がありました。なぜならば、やはり自分自身にバイアスがかかってしまうと、理想の流れが崩れるというか、 専門用語を使うと、 自己Aではなくなってしまうことが非常に多いと言う事実があるからです。それは自分にとって闘争・逃走の自分が出た上での意見なのか、自分を補うような意見なのか、つまりメンタルモデルが出てしまった上での意見なのか?と言う話になるかと思います。
これまでに自分の補い、メンタルモデル、シャドウ、投影などを学んでみて感じたのは、
自分自身を補うような、目の前で発生した事象に対して「闘争」をするような「逃走」をするような意見が出ると、それは限りなく「補いの自分」が前面に出てしまう
ということです。
つまり、それは相手と接する際に理想ではなくなってしまうということです。リーダーシップをするときに自分の補いを出すのは良いのか悪いかで言うと、一概に何とも言えませんが、ただ、1つ言えることとしては、自分の景色を絶対視してしまうような傾向が非常に強くなるということがよくわかります。
そして、土台となるリーダーシップスキルを保つためには、自分の状態も良くしておく必要があると思っています。そこで、「水になる」という行為における希少価値が上がるんだろうなぁと思っています。自分自身の確証バイアスが少なくなってくると、自然と土台となるスキルは解消できるはずです。
※「水になる」については、また別のブログで説明したいと思います。
1つ感じたのは、「未解の傷」を解除していかないとならないと思ったことです。そうしなければ、メンタルモデルに入りやすくなってしまうと思っています。これをどのように開放するのか?がキーポイントだなぁと。
ただ、上述した内容は少し数が多すぎるので、個人的に改めてまとめてみることにしました。こちらの方が少し現実味があるというか、理解していただきやすいかと思います (次項目へ続く)。
7. VUCAスキルを土台⇒根幹⇒発展と階層別にまとめてみる (山根整理版)
では、早速見てまいりましょう。個人的に重要だと思う項目を挙げていきます。
7-1. パースペクティブ・コーディネーション
重なりを評価する
異なる意見の共通項を見つける
└ 議論の中で違って見える意見も、 根底には同じ価値や目標がある場合が多い。 共通項の特定が合意形成の基盤になる
共有された価値・目標・信念・課題を特定する
異なる意見の共通項を見つけてから、 それらを価値 / 目標 / 信念 / 課題へ整理する
価値:何を大事にしたいのか、 譲れないものは何かを言語化する
目標:どこに向かっているのか、 成果のイメージを揃える
信念:どうあるべきかという根本的な考え方や哲学を明確にする
課題:共に解決すべき問題を特定し、 共通の挑戦として捉える
緊張を特定・定義・評価する
特定:声に出せない違和感や摩擦を早期に察知する
定義:緊張に名前や比喩を与え、 共通認識として扱えるようにする
評価:その緊張が前進を促すポジティブなものか、 停滞を生むネガティブなものかを見極める
7-2. コンテクシャル・シンキング (文脈思考)
自分 (個人内の文脈)
未解決の傷:過去の経験から残っている心の痛み。 現在の行動や判断に無意識に影響する
伝統:組織や社会で受け継がれてきた慣習や価値観 (良い面もあれば変化を阻む面もある)
歴史的模範:過去の人物や出来事を模範にすることで、 価値観や行動が形づくられる
コミットメント:組織や個人が守るべき約束や目標 (時に変化に追いつかず障壁になる)
失敗:
失敗を避けるやり方:リスクを過度に避ける
失敗をしない根回し:挑戦より安全策を優先する
失敗に過度反応:小さな失敗が大きな恐怖につながる
成功:
成功パターンへの過度な意識:過去の成功に縛られる
成功への安堵:安心感が挑戦を妨げる
因果の捉え方:
原因として:過去の出来事が現在に直接影響する
媒介として:過去の経験が間接的に現在の意思決定を左右する
コンテキストの種類:
内面:個人の心や価値観
外面:社会や市場環境
近接:目の前の直接的要因
遠方:長期的・間接的な要因
明瞭さ:
暗黙的:言語化されていないルールや前提
明示的:制度や規則として明文化されているもの
考慮すること (他者・状況)
特徴:各人の個性や性格が意思決定にどう作用するか
視点:その人が持つ立場や見え方を理解する
思考様式:論理的か直感的か等、 思考の癖を把握する
価値観:何を優先するかで動機が変わる
歴史:過去の経験や背景が現在の反応に影響する
引き金:感情や反応を引き起こす要因を理解する
現実状態:直面している制約や条件を把握する
心的状態:心理状態が判断に与える影響を意識する
バイアス:認知の偏りが意思決定にどう影響するか
原因帰属エラー:他者の行動を性格だけで説明せず、 状況要因も考慮する
7-3. コラボレイティブ・キャパシティ (協働能力)
感情
察知する:感情の変化を自他で認識する
選ぶ:状況に適した感情状態を意識的に選択する
活用する:感情を動機づけや共感形成に活かす
一次感情 / 二次感情:表層 (怒りなど)と奥にある感情 (寂しさなど)を区別する
探求的な質問・対話・確認
深掘り質問:表面的な回答の奥にある本質を探る
声のトーン:発話の抑揚から感情や意図を読み取る
ボディランゲージ:身体の動きや姿勢から心理状態を把握する
表情:微細な表情から感情の変化を読み取る
7-4. 意思決定プロセス
情報の基盤を整える
正確性 (Accuracy):情報が誤っていれば統合に意味がないため、 まず正確性を確保する
妥当性・客観性 (Validity / Objectivity):情報の偏りや判断のバイアスを点検する
統計的信頼性 (Statistical reliability):データや分析の安定性を担保する
議論の前提条件を整える
明確なアジェンダを設定 (Set a clear agenda):目的と範囲を定め、 焦点を明確化して迷走を防ぐ
ルールを徹底 (Enforce rules of engagement):公平性と安全性を担保する
規範を明示し、 発言の土台をつくる
対話と協働を深める
効果的な傾聴を支援 (Support effective listening):相互理解を深め、 合意形成につなげる
関連する視点が聞かれることを保証 (Ensure relevant perspectives are heard):多様な視点を偏りなく取り入れる仕組みを整える
統合と選択に進む
重なりを評価 (Evaluate overlap):異なる情報や視点の共通性を見出し、 合意形成の基盤にする
共通基盤を特定 (Shared values / goals / beliefs / problems):価値・目標・信念・課題を特定し、 協働の方向性を明示する
優先順位を設定 (Prioritize):選択肢を比較・評価し、 最終的に優先順位を決めて意思決定を出口へ導く
8. で、 結局何が言いたかったのか?
アジェンダ6番と7番で記載をした通り「土台となるリーダーシップスキル」は、「自己認識力」だと思っています。
いくつかの項目をピックアップすると、たとえば、 反芻を避けるについて。
反芻とは、 心理学で過去の失敗や辛い出来事などネガティブな事柄について、過度に繰り返し考えてしまう思考パターンことで、 ネガティブ思考の反復に陥らず、注意を建設的に向け直す力です。自分が反芻していることに気づける自己認識力、気づきが調整の第一歩となる力だと僕は認識しています。
たとえば、感情のラベリングについて。その感情が動いたのは、どのような自分のメンタルモデルにそれが触れたのか?自分を正当化させるための意見を出すために、感情を打ち出したまでに過ぎないのではないか?など、これらが該当すると思っています。これらが整わない限り、おそらく僕らは本物のリーダーにはなりにくいのかなと。
ただ、ここで言う (「リーダー」と表現していますが)リーダーのみならず、「1人の人間」としても、すごく必要な素養だと思っています。たとえば、
夫婦関係
親子関係
同僚との関係性
友人関係
近所付き合い
保育園や学校の先生との付き合い
PTAでの振る舞い
その他コミュニティーでの振る舞い
全てを通じて、「あると人生が豊かになる力」であると強く思っています。
下記をご覧ください。
相手の反応に過剰に揺さぶられたが、冷静に観察すると「自分の未解決の傷」が刺激されただけであり、相手は自分の鏡となっていたに過ぎないと気づけた。
家族との衝突で怒りを出してしまったが、その背後にある「理解されたい / 孤独を感じている自分」をラベル化することで、関係性を修復する回路を持てた。
子どもに注意され、防衛的に「親だから正しい」と反応したが、それは「権威性を失う恐怖」に結びついたサブパーソナリティの声だったと識別できた。
同僚との議論で論破に走りそうになった瞬間、「勝ちたい自分」が前面に出ているだけであり、全体の自分ではないと気づき、関係性を優先できた。
友人からの返信が遅れたとき、「嫌われた」と解釈したが、それは投影であり、事実ではない。自分の心の構造を理解することで他者に押し付けずに済んだ。
PTAの意見対立では「自分の正しさ」を主張していたが、それは過去の成功体験に縛られたメンタルモデルである。 意識化することで「場の文脈」に耳を傾けられた。
近所付き合いでの小さな違和感を「相手が悪い」と決めつけそうになったが、事実と解釈を分けることで、自分のシャドウが反応しているだけと理解できた。
職場での評価に不満を感じたが、感情を丁寧にラベル化することで「正当に認められたい欲求」が明確になり、対話のテーマを建設的に切り替えられた。
地域活動で摩擦が生じたが、相手の態度は自分の承認欲求を映す投影だった。これを手放すことで、相手の視点に立てるようになった。
夫婦間の意見の食い違いを「どちらが正しいか」の争いにせず、「それぞれの文脈を持つ存在」として敬意を払い、むしろ関係性は深まった。
色々と活かせそうですね。
最後に
いかがでしたでしょうか。
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