[採用ブランディング・採用マーケティング]合理的な効果測定手法の公開
「採用ブランディング、すごく良いと思うのです。すごく良いと思うのですが、これって何のどの数値が向上するイメージなのでしょうか?」
そんな問いを頂戴したのは最近のことでした。
昨今の採用市場において、ただスカウトメールを送信する、ただエージェントさんに求人を依頼するだけでは、なかなか採用活動が前に進まないような時代に入ってきています。
AIの影響を差し引いたとしても、ただ採用のリズムを数字目標を立てて取り組み続けること自体が、採用成功の最も近道であるかというと、そこには疑問符がつきます。
そんな中で、昨今さらに注目が集まっている採用ブランディング、採用マーケティング、採用広報、採用動画、そして採用ホームページ。これらを作ること自体は皆さんポジティブだと思うのですが、どのようなインパクトがあるのかについて、きちんと説明をしたことがなかったので、このブログを執筆させていただいています。ではご覧ください。
0. 採用マーケティングと採用実務の違い
採用マーケティングとは
応募を頂戴するまでの業務
採用実務とは
応募を頂戴した後から内定承諾を頂戴するまでの業務
本ブログではこのように定義させてください。つまり、応募という進捗の前が採用マーケティング。応募という進捗の後が採用実務という観点において、本ブログをお読みいただけるとわかりやすいと思います。
採用の実務は非常にわかりやすいですよね。たとえば、求人媒体に掲載をする、エージェントさんにご依頼をして応募をいただいた後に書類選考して、面接をして、内定を出して、内定承諾をいただくというフローです。一方で採用マーケティングとは何なのかについてもう少し細かく見てまいりましょう。
0-1. 無知から認知
採用候補者が御社のことをご存じではない、つまり無知な状態から認知をしてもらうための活動を指します。意外と知られていませんが、スカウトメールもこの一種です。エージェントさんに求人募集の依頼をかけて、キャリアカウンセラーから求職者様にご紹介をいただくというアクションも、このフェーズのアクションの一つです。
また、昨今ではSNS広告に求人募集を出したり、XやLinkedInなどを使って自社のことをご存じではない方に対して、自社を認知してもらうための活動もここに該当します。
0-2. 認知から興味
前項目が認知をしていただくまでのステップである一方で、本ステップは認知をいただいてからどのように興味を促進するのかです。
誤解がないように申し上げると、無知から認知、そして認知から興味というステップは同等のステップであることもあります。
たとえば、SNS広告でその企業を認知して、その広告をクリックして中身を見たら興味を持ったなど。スカウトメールもそうですよね。見知らぬ企業からスカウトを受信して、そのスカウトメールを開いたらその内容に興味を持った。これは無知から認知、そして認知から興味の2つのステップが連続して起こっているパターンです。
一方で「この広告いつも見るな」と、別に興味があるわけではないけれども、いつも目に入る広告が出てくることもあります。これは興味を持っているわけではなく、前項目の“認知”に該当します。
0-3. 興味から応募
本ステップは認知をしており、そして興味を持っている上で応募に促進するステップになります。
カジュアル面談も新卒採用における採用説明会もこちらのステップに該当します。
また、WantedlyやGreenやビズリーチに求人を掲載している内容も、こちらのステップの一部になります。
ただ、誤解がないように申し上げると、求人媒体に掲載されている企業を皆さんが求職者としてご覧いただく際に、その企業をご存じではなかったのであれば無知から認知ですし、その企業の求人ページを閲覧して興味を持ったら認知から興味です。さらには応募してみようかなと思ったら興味から応募のステップになるわけです。
繰り返しになりますが、無知から認知、そして認知から興味、そして興味から応募というステップは、一気に起こるパターンもありますし、1つずつゆっくり時間をかけて起こるパターンもあります。
1. 採用マーケティングの各ステップにおける施策
過去にこんなブログを執筆しました。
こちらに記載してあるのですが、採用マーケティングにおいて、特に重要な認知活動をするために必要な施策一覧がこちらになります。
0章で記載した通り、採用マーケティングの各ステップにおいて無知から認知、認知から興味、興味から応募というステップがある中で、前述したこちらの内容において、この3つのステップのどのステップの数字を改善するための施策なのかと言われると、混在してしまうのではないかと思っています。
たとえば、採用媒体上のスカウトという項目があるのですが、このスカウトというのは、受け取った求職者がその企業名を認知だけしていただけたのであれば、無知から認知というステップですし、その求職者様がその企業を認知した上で興味を持っていただいたら認知から興味ですし、スカウトの返信をして選考に進もうかなと思ったら興味から応募というステップになります。
皆さんいかがでしょうか。たとえば、テレビCMを出している企業があったとしましょう。そこで初めて社名を知る方もいると思います。初めて社名を知るというのは、無知から認知のステップですよね。そして、CMを見てそこに興味を持てば、認知から興味になるわけです。
ただ、CMを見てそこで採用活動における応募をしようと思われる方は、そこまで多くないかもしれません。もちろん、CMを見終わった後にホームページを調べて応募される方も存在するかと思いますが、上記の施策一覧でいう交通広告やマス広告、またプレスリリースなどは一気に応募に至ることはそこまで多くはないかもしれませんよね。そのため、こちらの3つのステップにおいて各施策における強弱を表形式で表現してみました。
1-1. 認知施策ごとの3つのステップ比較
無知から認知、認知から興味、興味から応募のこの3つのステップにおいて、各認知施策ごとの効果を表形式にしてみました。


あくまでもこれは僕の主観で作っているのですが、こんな感じになるのではないかと思っています。皆さんも①から⑤までの施策を大体打ち切ってしまい、さてどうしようかということはよくあるのではないかと思っています。
1-2. 採用広報がなぜ含まれていないのか?
もしかしたら「採用広報はなぜ含まれていないのか?」と感じられた方もいらっしゃるかもしれません。これには理由があります。
まさに前述したブログがあるかと思うのですが、採用広報というのは認知度の向上を得るための施策ではないと僕は思っています。上記の表でいうと①から⑦の効果を最大化させるためのエッセンスであると思っています。
採用広報は広報施策です。マーケティング施策の中に内包してもいいのですが、どんなに良い記事であったとしても、それを見ていただく、つまり拡散をしなければ宝の持ち腐れになります。
イメージしてみてください。たとえば、ソフトバンクの孫さんがAI時代に対するものすごく貴重なブログを執筆したとします。ただ、孫さんのブログはフォロワーが0名。そのため、世界中の人々が誰も認識していません。ただ、内容はものすごく良いです。その内容を拡散していなければ、それは宝の持ち腐れになるような、そんなイメージです。
つまり、採用広報や採用ピッチ資料というのは、無知から認知、認知から興味、興味から応募の施策におけるエッセンスだと僕は理解しており、そして採用マーケティングのみならず採用実務、つまり選考中にさらに効果を発揮する施策であると考えています。
1-3. 認知施策で「何」を打ち出していくのか?
さて、前述した14の認知施策があったかと思うのですが、それらを実施していくこと自体はもちろん素晴らしいことだと思います。
ただ、皆さんイメージしてみてください。いざスカウトメールを配信しよう、いざエージェントに求人をご依頼しよう、いざWeb広告をしよう、いざNewsPicksに自社を取り上げてもらおうとなった際に、
「何」を打ち出しますか?
という課題に直面します。これは冷静に考えるとそうですよね。この認知活動の効果を最大化させるための材料を御社がお持ちでなければ、おそらく効果は出ないかと思います。
施策の数はたくさん打てます。ただ、その内容のカードや引き出しが多くなければ、認知の活動をしたところでうまく物事が前に進まないということは十分に発生し得ることだと思います。
そのため、これらの14の認知施策を実行すること自体はもちろん皆さんやった方が良いですし、アグレッシブに攻めるべきではあるかと思うのですが、採用人数が少なかったり、むしろ御社が採用市場においてものすごく魅力あふれる企業様であるのであれば、すぐにこの認知活動に飛びついていいかと思うのですが、実際に取り組んでみて半年や1年かけて効果検証しつつ、「あれ、思った以上にうまくいかないな」と後から感じることも十分に想定できますよね。
その上で非常に重要になるのが当社のサービスでいうと採用ブランディングやTIM設計というサービスになります。
2. 採用ブランディングとTIM設計とリクルートバリュープロポジションについて
採用ブランディングとは
採用活動における魅力を発掘・言語化・整理すること
TIM設計とは
(※内容省略)
リクルートバリュープロポジションとは
(※内容省略)
これら3つのサービスについては当社の中でも割と根幹のサービスで、これに取り組まなくては採用実務に入れないというわけでは一切ないのですが、実行しておくとかなりレバレッジが効くサービスとなっています。
とは言いつつも、皆さんが採用活動を強化されたいタイミングは、1日でも早く人材を採用したいという場合が多くあるのではないでしょうか。僕は大げさな言い方をすると、おそらく1000回程度この課題に直面したのですが、
採用ブランディングやTIM設計、リクルートバリュープロポジションを作らずにとにかく採用実務を早期に取り組む方が良いのか
採用実務に入る前にきちんと魅力の設計をした方が良いのか
どちらが正解かというと、その企業さまの状況次第かと思います。
前述した通り、本項目で記載している3つの取り組みをせずに、採用活動をまずはアグレッシブに進めてみるというのは良いかと思います。
一方で、皆さんにとって非常に重要度が高い採用活動が遅れてしまうことは本末転倒ですよね。そのため、すぐに実務に入って半年間程度経過して結局採用ができなかったという場合、それはかなり痛いのではないかなと思います。
3. 魅力設計におけるインパクトについて
ここでいう「魅力設計」というのは、採用ブランディングやTIM設計、リクルートバリュープロポジションなど、自社の“採用における魅力”を発掘・言語化・構造化する取り組みのことです。
これらは直接応募数を増やすものではありませんが、採用活動全体の歩留まりを底上げする「レバレッジ施策」として非常に大きな意味を持ちます。
言い換えると、「採用をどう進めるか」ではなく、「採用の前提をどれだけ整えられるか」。ここに成功の分岐点があると感じています。
3-1. スカウトメールの返信率へのインパクト
魅力設計によって、「どんな候補者に」「どんな言葉で」「どんな世界観を伝えるのか」が整理できます。
その結果、スカウト文が単なる“情報連絡”ではなく、“共感を生むメッセージ”に変わります。
定量イメージ:
Before:返信率 7.5%
After:返信率 9.5%(+2ポイント改善)
想定される変化:
スカウト送信数:1,000通
改善により、約20件の返信増加
一人の入社決定に必要な返信数を25件とすると、約0.8名分の入社決定インパクト
結果として、“スカウトを送っても反応がない”状態から、“候補者の心が動くメッセージ”へ転換できます。
3-2. カジュアル面談での訴求力向上
魅力を明文化することで、面談担当者が「自社の魅力」を一貫した言葉で伝えられるようになります。
この一貫性が、候補者の共感度や選考意欲を高め、一次面接への進行率を押し上げます。
定量イメージ:
Before:カジュアル面談 → 一次面接移行率 40%
After:45%(+5ポイント改善)
想定される変化:
面談件数:150件
改善により、約7.5件の一次面接増加
1名採用に必要な一次面接数を10件とすると、約0.75名分の入社決定インパクト
結果として、“何となく印象が良かった面談”から、“自社の意義や魅力に惹かれる面談”へ変化します。
3-3. 一次・二次面接の通過率へのインパクト
面接の通過率を上げるというのは、採用施策の中でも最も難易度が高い領域です。
なぜなら、通過率というのは採用企業側のジャッジ(評価基準)に強く依存するもので、単純に「通過率を上げよう」と意図的に操作してしまうと、基準を下げるリスクが発生してしまうからです。
ただし、魅力設計を行うことで変わるのは“評価の基準”ではなく、“候補者の心理とパフォーマンス”です。
つまり、魅力が整理されていて、候補者が「なぜこの会社にいきたいのか」を自分の言葉で語れるようになると、面接準備や志望動機の明確さが上がり、結果的に面接通過率が自然に向上していきます。
この変化は“基準を下げる”のではなく、“候補者のレベルを引き上げる”方向で生まれる改善です。
定量イメージ:
Before:一次面接通過率 30%/二次面接通過率 50%
After:一次面接通過率 40%(+10pt)/二次面接通過率 60%(+10pt)
想定される変化:
一次面接数:60件 → 改善により+6件の通過増(約0.6名分)
二次面接数:30件 → 改善により+3件の通過増(約0.75名分)
合計:約1.35名分の入社決定インパクト
なぜ上がるのか(心理的・構造的な背景):
候補者の志望意欲が上がることで、面接準備がより丁寧になる。
会社の魅力や方向性を理解したうえで面接に臨むため、回答に一貫性と説得力が生まれる。
自社理解が深まることで、面接時のコミュニケーションがスムーズになり、評価者の印象が向上する。
結果として、同じスキルレベルでも「この会社にマッチしている」と判断される確率が上がる。
このように、魅力設計は「通過率を操作する施策」ではなく、候補者の意欲とパフォーマンスを自然に底上げする“心理的ブースター”として働くんですよね。
3-4. 内定承諾率へのインパクト
魅力設計の最終的な効果が現れるのが内定承諾率です。
候補者が複数社の内定を持っている中で、「この会社で働きたい」と選ばれるための決め手が“魅力の言語化”です。
定量イメージ:
Before:内定承諾率 50%
After:60%(+10ポイント改善)
想定される変化:
内定数:15件
改善により、約1.5名分の入社決定インパクト
結果として、“比較で選ばれる採用”から、“共感で選ばれる採用”へ変化していきます。
3-5. 総合インパクト(4項目の合算)

つまり、「魅力設計」は“採用活動を始める前の準備”ではなく、全ステップの生産性を高めるエンジンそのものなんです。
表面的な改善施策よりも、“心が動くメッセージ”を整えること。
それが、採用を最短距離で前進させる最も確実な一手だと僕は思っています。
4. さまざまなシミュレーション
ここまでの章では、魅力設計によってスカウト返信率や面談移行率、面接通過率、内定承諾率などが改善するという話をしてきました。
では、実際にスカウト送信数が異なるケース(500通・1,000通・2,000通)でどのような成果インパクトが生まれるのか。具体的な数値で見ていきたいと思います。
シミュレーション①:スカウト500通の場合(少人数採用モデル)
定量イメージ:
Before:返信率7.5%/面談移行率40%/一次30%・二次50%/承諾率50%
After :返信率9.5%(+2pt)/移行率45%(+5pt)/一次40%・二次60%(+10pt)/承諾率60%(+10pt)
想定される変化:
スカウト500通 × +2pt → 約10件の返信増加
カジュアル面談(約75件想定)× +5pt → 約3〜4件の一次面接増加
面接通過率改善 → 約0.7名分の入社決定インパクト
内定承諾率改善 → 約0.7名分の入社決定インパクト
総合:約1.5名分の入社決定インパクト
少人数採用の場合、1名の上積みでも非常に大きな意味を持ちます。
魅力設計を行うことで、“スカウトの質”と“面談・面接での訴求力”が明確に変化し、限られた母数でも確実に成果を伸ばせる状態をつくることができます。
シミュレーション②:スカウト1,000通の場合(標準的な採用規模)
※Before/After設定は上記と同様
総合:約4.4〜5.0名分の入社決定インパクト
1,000通規模では、わずか数ポイントの改善が“数名分の入社成果”を生む現実的なラインです。
これは、採用担当者の工数や媒体費用に対して非常に高いROI(費用対効果)をもたらす取り組みといえます。
シミュレーション③:スカウト2,000通の場合(中〜大規模採用モデル)
総合:約8〜9名分の入社決定インパクト
この規模になると、魅力設計の影響はもはや“点の改善”ではなく、“線での効率化”として現れます。
各段階の歩留まりが一貫して改善することで、採用プロセス全体のスループット(流量)が増し、採用コストの削減と質の両立が実現できます。
5. 総括

魅力設計は「採用活動の最初の一手」に見えて、実はすべての数字を動かす“仕組み設計”なんですよね。
スカウト通数が増えるほど、その改善幅は掛け算的に効いてくる。
つまり、“いま行う1%の言語化”が、半年後には“数名分の採用成果”として返ってくる。
それが、この取り組みの本質だと思っています。
最後に
いかがでしたでしょうか。
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