人材業界×AIのニーズ5分類 〜1500名のウェビナー参加、100名以上の方と話してわかった本質的なAIニーズ〜
AI研修やAIウェビナーを通じて、これまで数多くの人材紹介会社や人事の方々とお話しをしてまいりました。その中で強く感じるのは、「顧客自身がまだ言語化できていないAIニーズ」が想像以上に多いということ。
顕在化したニーズ、たとえば「AI研修を受けたい」や「プロンプトを学びたい」は、もちろん会話の中でもすぐに出てきます。ただ、実際には、その裏側に「本人も気づいていないけれども確かに存在している」ニーズが眠っているケースが少なくありません。
この“潜在ニーズ”は、日々の業務や経営判断の中に埋もれ、本人も無意識のうちに後回しにしてしまっていることが多いです。
当社では、AI研修後のヒアリングや商談の中で、この潜在ニーズを丁寧に掘り起こしてきました。その結果、業種や企業規模を問わず、不思議なほど共通して現れる5つのパターンが見えてきたのです。
この記事では、「この5つのパターンがある」と断定的に伝えるのではなく、むしろ読んでくださる方が、
「あぁ、自分は確かにこのパターンに近いかもしれない」
「そうか、他の会社はこんなニーズも持っているのか」
と感じていただけるような視点をご提供したいと思っています。
日々の業務に追われる中では気づきにくい、自社のAI活用の立ち位置。それを改めて捉え直すきっかけになれば嬉しく思います。
1. 潜在ニーズが浮かび上がった背景
AI研修を提供していると、表面的な要望は比較的シンプルに見えます。「AIを学びたい」「プロンプトを書けるようになりたい」といった、分かりやすく言語化されたニーズです。
しかし、実際に研修を終え、参加者や経営層と深く対話を重ねていくと、その裏側に別の風景が見えてきます。
たとえば、研修後のフォロー面談や商談の場で、こんな言葉を耳にすることがあります。
「実は、役員の自分だけAIを理解していればいいと思っていた」
「社員全員にやらせる余裕はないけど、一部のメンバーだけ育成したい」
「本当はAIを推進する役割を誰かに担ってほしい」
これらは、事前のヒアリングでは出てこなかった“本音”です。
研修やウェビナーという接点を通じて、初めて顕在化するケースも多く、当事者自身がその重要性に気づいていなかったりします。
背景には、大きく2つの要因があります。
1つ目は、日々の業務や目の前の課題に追われていること。
人材紹介や人事の現場は、採用目標やクライアント対応に時間を取られがちです。AIの活用や研修は「重要だが緊急ではない」領域になりやすく、深く考える余裕が持てません。
2つ目は、AI活用の全体像がまだ掴めていないこと。
AIを導入する目的や範囲が曖昧なままでは、「どこから着手すべきか」も見えにくく、結果として本人もニーズを言語化できない状態に陥ります。
このような背景を踏まえ、「顕在化していないニーズ」も含めて把握することが、AI活用の第一歩だと考えています。そして、この掘り起こしを続けた結果、多様に見えていた声が、不思議と5つのパターンに収束していきました。
今回は、その5つのパターンについて、実際の事例を交えながらご紹介していきます。読んでいただく中で、「あ、これは自分の会社も当てはまるかもしれない」と思う瞬間があるかもしれません。
1-1. 自社でAIプロンプト・エージェントを開発したい
最も多く見られたのは、「自社でAIプロンプトやAIエージェントを開発できるようになりたい」というニーズです。一見するとシンプルですが、その内訳を深掘りしていくと、企業規模や経営スタイルによっていくつかのパターンに分かれます。
パターン1:経営層だけがスキルを身につけたいケース
これは役員クラスや経営者の方からよく聞くパターンです。
「マネージャー以下は現場を回してくれればいい」
「AIスキルは自分だけ持っていれば十分」
という暗黙の考えがあり、経営層だけ研修を受ける形です。
表向きは「戦略判断に必要だから」という理由ですが、裏を返せば“現場へのAI教育の優先度が低い”という価値観が背景にあります。
パターン2:少人数・お一人運営の人材紹介会社
この層は、驚くほど強い危機感を持っています。
「自分が動かなければ会社が立ち行かない」という責任感から、学びへの投資に非常に前向きです。
当初は「高額研修は発注されにくい」と想定していましたが、実際には複数社が導入を決定しています。
規模が小さいほど意思決定が速く、学んだことをすぐに事業に反映できるのが特徴です。
パターン3:一部メンバーのみ育成したい中規模企業
10〜20名規模の企業で、「AIに明るい数名だけを育てたい」という考え方です。
経営者が戦略的に人を選び、主力メンバーの定着や成長を目的に投資する傾向があります。
たとえば、月間アベレージが高いトップメンバーに対しては、研修費を躊躇なく出す企業もあります。
パターン4:大人数参加を前提にした若手経営層の企業
15〜30名規模で、10名以上が参加するケースです。
経営者が20〜30代で、ROI(投資対効果)に敏感な層に多く見られます。
助成金を活用すれば、数名分の採用コストで社内のプロフェッショナルを一気に育成できると判断しています。
パターン5:既に高いスキルを持つ少数精鋭層
数は少ないですが、My GPTなどの開発経験がある企業や個人です。
基礎から学ぶ必要はないため、後半の応用セッションだけを求めるケースもあります。
こうした層には、標準カリキュラムに加えて高度なテーマを扱う特別セッションを提案することで、強い関心を引き出せます。
共通して言えるのは、このカテゴリのニーズは
「AIスキルを社内に内製化したい」
という方向性で一致していることです。
ただし、その温度感や投資規模、対象範囲は企業によって大きく異なります。
もし自社がどのパターンに近いのかを把握できれば、AI活用のロードマップをより明確に描けるのではないでしょうか。
1-2. 開発済みAIプロンプトの利用ニーズ
もうひとつ見られるのが、「自社でゼロから開発するのではなく、すでに開発済みのAIプロンプトを利用したい」というニーズです。
これはまさに、当社が構想しているPotentialight aiの方向性そのものです。
すでに複数の企業様からご依頼をいただいていますが、現段階ではまだ構想段階にあります。
価格感としては、月額10万円程度での提供が現実的ではないかと考えています。
現在のPotentialight aiには、当社がこれまでに開発してきた約80件のAIプロンプトが実装済みです。
さらに、付加価値として「HR Q&Aアシスタント」というシステムも存在します。これはGoogle AI Studioをベースに構築しており、当社のHR・採用領域のノウハウを反映したものです。もしこの機能も利用できる形にすれば、月額10万円を支払う価値があると感じていただける企業も少なくないと考えています。
一方で、運用面では課題もあります。
AWSをベースに構築し、OpenAIのAPI連携で動作しているため、ユーザーが利用すればするほど変動費(重量課金)が発生します。
一般的なSaaSと比較すると、この部分のコスト構造はやや重くなります。
また、カスタマーサクセス面では、僕自身がすべてのサポートに直接入るのは現実的ではありません。そのため、社内の他メンバーやサポート担当が片手間で支援できる体制を検討しています。収益性が見込める前提があるため、一定の体制構築に踏み切る価値はあると考えています。
1-3. AIプロンプトやエージェントの開発代行ニーズ
当社のAI研修は、受講者自身が自由自在にAIプロンプトを書けるようになることを基本思想としています。
しかし、実際には「自社で作るのではなく、代わりに開発してほしい」という依頼も一定数存在します。このパターンでは、まず顧客の要望をヒアリングし、その内容に基づいて当社側でプロンプトを開発します。価格の目安は1本あたり20万円〜で、求めるアウトカムや難易度によって変動します。予算に応じて分割や調整に対応することも可能です。
特に、社員数70名以上の大手エージェント企業さまでは、AI研修の導入障壁が高い傾向があります。
理由の一つが、社内セキュリティやガバナンスの複雑さです。
たとえば、
社内SEが存在し、利用可能なAIツールが厳しく制限されている
My GPTやCopilot StudioがNG、Gemも利用不可
アデコでは共通アカウントの申請制になっており、個人利用は原則不可
僕自身、AI時代においては組織構造やカルチャーの変革が必要だと感じていますが、現実的にはAI活用を現場に許可していない企業も多く存在します。こういった環境では、研修が刺さらないという構造的な壁が生まれます。
一方で、同じ大手企業に所属している「個人」には非常に強いニーズがあるケースも少なくありません。「このままAIスキルを身につけずにいていいのか?」というキャリアやスキルへの不安から、個人でスキルアップを志向する動きです。人事部門でも同様の傾向が見られ、会社が制度的に支援しない分、自己投資を決断する方もいます。
実績としては、法人経由で助成金を活用しての受注が3件、個人支払いで受講意思を示した方が約10名という結果になっています。
法人ニーズは存在しますが、導入までのプロセスが重く、慎重な対応が求められる領域です。
1-4. AI推進の旗振り役を依頼するニーズ(AIコンサルティング)
ある程度の規模を持つ企業さまからは、「AI推進の旗振り役を担ってほしい」というご相談をいただくことがあります。
多くの場合、既に事業推進やマーケティング担当がAI活用を進めようとしているものの、実態としては「見よう見まね」で進んでいるケースが多いです。または、マネージャーが現場業務と並行してAI推進を兼務していることもあります。
社内推進が機能しない理由現場業務とAI推進を両立するのは想像以上に難しいものです。土日や早朝・夜間の時間を使ってキャッチアップしなければ十分なスキル習得は困難で、合宿レベルの学びをしない限り深い活用まで辿り着けないこともあります。
その結果、現場兼務によるAI推進はほとんど機能していないケースが目立ちます。社内推進の限界例事業推進やマーケターが中心となってAI導入を試みても、現場から離れていることが多く、精度が伴わないことが多いです。
たとえば、「現場のプロンプトニーズをアンケートで収集する」という方法では、実態を十分に捉えられず、結果的にプロンプトの質が上がらないという事例もあります。システム担当や推進担当が開発を担うと、構造としては受託開発に近くなり、現場との間に手戻りや認識のズレが生じやすくなります。
ポテンシャライトが入る意義
当社のように「現場と接しているAIプロフェッショナル」がコンサルティングに入ることで、現場と経営の橋渡しが可能になります。
必要に応じてプロンプトの代行開発にも対応できるため、導入後のスピード感と精度が大きく向上します。特にHR × AIという専門領域での知見は、現場に直接的な効果をもたらすと感じています。
心理的なハードル
ただし、社内でAI推進の権限を持つ方は「自分の裁量で何とかしたい」という思いが強く、外部に依頼する発想に至らない場合もあります。
一方で、視野や視座が高い方は、早い段階で「一緒にやってもらえませんか?」と相談してくる傾向があります。このパターンは、単なる外部委託ではなく、社内に埋もれているAI活用の可能性を引き出すための伴走型支援と言えます。現場と経営の両方を理解できる外部パートナーが入ることが、結果として最も短い距離で成果につながるのではないでしょうか。
1-5. 全般的なAIアドバイスを求める顧問契約ニーズ
中には、「AI活用に関する全般的なアドバイスを継続的に受けたい」という顧問契約型のニーズもあります。
この場合は、研修や開発のように明確なアウトプットがあるわけではなく、必要なときに相談できる関係性を求める傾向が強いです。
提供形態と特徴
月に1回程度、山根が顧問として定期的に関与
SlackやMessengerなどのチャットツールで随時相談可能
大きなレバレッジは効きにくいものの、一定の需要は安定して存在
単価の目安は月額15万〜20万円程度で、相談内容は戦略的なものから現場の細かな活用方法まで幅広く及びます。
発展性と位置づけ
この顧問契約は、単体で大きな収益を狙うというよりも、他サービスへの入口としての意味合いが大きいと考えています。
実際、顧問契約をきっかけに研修やプロンプト開発に発展するケースもあります。
クライアントとの関係を深めながら、タイミングを見て他の施策に移行できる点が、このモデルの魅力です。このパターンは、「常にそばにいてくれるAIの専門家」という安心感を提供できる点が特徴です。短期的な成果だけでなく、中長期的な関係性構築を見据えた施策として有効ではないでしょうか。
まとめとサービスの整理
今回ご紹介したのは、AI研修をきっかけに接点を持った企業さまとの対話の中で浮かび上がった、顧客自身も気づいていなかった5つのニーズです。
これらは企業規模や業種を問わず見られるものであり、今後AI活用を検討するうえでのヒントになると感じています。そして、この整理を進める中で、当社が提供しているAI関連サービスも、自然と次のような形に分かれてきました。
それぞれの企業が持つ状況や課題に応じて、必要な領域から選び取れるようになっています。
自社でAIプロンプト・エージェントを開発したい
→ AI研修(基礎編〜応用編)開発済みAIプロンプトを利用したい
→ Potentialight ai(約80種のプロンプト+HR Q&Aアシスタント)AIプロンプトやエージェントの開発代行を依頼したい
→ オーダーメイドAIプロンプト開発AI推進の旗振り役を依頼したい
→ AI活用コンサルティング(現場伴走型)全般的なAIアドバイスが欲しい
→ 顧問契約(月1回ミーティング+随時相談)
もちろん、この分類はあくまで「型」です。
実際には複数のニーズが重なったり、途中で方向性が変わることもあります。
大切なのは、自社が今どの位置にいて、どの領域を優先して取り組むべきかを明確にすることです。
今回の5つのパターンを、自社の現状と照らし合わせることで、AI活用の次の一歩がより具体的になるのではないでしょうか。
最後に
皆さんいかがでしたでしょうか。
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