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スマートメーターは2台必要だった──再エネ時代のエネルギー設計ミスと、その再定義


「なぜ誰も聞こうとしなかったのか?」
いま、再エネやEV、蓄電池が街に浸透し始めている。 人々の暮らしは電気で動き、家そのものが発電所となり、蓄電池をもち、EVとつながる。
そんな中、私は5年以上前から、こう言い続けてきた。
「スマートメーターは2台必要です」
だが、そのとき誰も理解しようとはしなかった。
その理由はシンプルだ。 「メーターは“電力会社のもの”」という固定観念が、あまりにも強かったからだ。
しかし、いま改めて問いたい。 あなたの家の電力制御を、本当に電力会社がやるべきなのか?


第1章:制御と売買は別物である
家庭に入ってくる電気は、売り手である小売電力会社が届けている。 この関係では、「電気を買うか・売るか」だけで話が済む。 だからこそ、今のスマートメーターは「計量」だけを主眼にしている。
ところが、いまの住宅はどうだろうか?

  • 屋根には太陽光

  • 壁には蓄電池

  • 駐車場にはEV

  • 室内にはV2H機器

これらはすべて個人所有の設備であり、 その“動かし方”は、「どのタイミングで、どれだけ、どう運転するか?」という リアルタイムな判断=制御が必要になる。
それは果たして、電力会社の役目だろうか? いや、違う。 制御は“自分のもの”を動かすための知恵であり、 電力の売買とはまったく違うレイヤーの話なのだ。


第2章:なぜ公的(電力会社)スマートメーターでは限界なのか?
現在、日本の住宅や事業所には必ずスマートメーターが設置されている。 これは電力送配電会社が設置し、主に「電力の使用量を測定する」ことを目的としている。
しかし、このスマートメーターには限界がある。
▽ 公的(託送)スマートメーターの限界

  1. リアルタイム性がない  → 30分単位の使用量データを送るだけ。瞬時制御は不可能。

  2. 制御権限がない  → 電力会社が家庭内機器を勝手に動かすことは、法律的にも倫理的にもアウト。

  3. 通信性能が貧弱  → BルートでHEMSに情報を渡すだけ。OCPPやMODBUS、MQTTなどは使えない。

つまり今のスマートメーターは、 「計るだけ」で「考えず」「動かせない」存在なのだ。


第3章:もう1台の“賢い”メーターという発想
ではどうするか? もう1台、“賢い”メーターを持てばいい。
この「2台目」のメーターは、こんな構成になる。

この“もう1台”のメーターが果たすべき役割はこうだ:

  • PVの出力を予測し、蓄電池を効率よく充電

  • EVからの給電(V2H)を家庭に最適化

  • 小売電力単価を見て充電時間を判断

  • 異常をエッジで検知して自律制御

  • クラウドと連携してAIが学び続ける

それはもう、ただのメーターではない。 “分散型電力の頭脳”そのものだ。
どうしてメーターなのか、それは簡単である、取引をしているので全世界、計量法というオープンは取引法律に基づいて商売をしないといけないし、検定をうけて承認をもらわないといけない。


【構想の源流 20年前の話 ── USB的な“つなぐ思想”から生まれた設計】
今では当たり前になった「USBで何でもつなぐ」という考え方。 この発想を、実は早くから住宅設備に応用しようと考えていたのが、濱口秀司さんだった。
彼は当時、あらゆる機器やサービスが「差し込むだけでつながる」 ──そんな拡張性ある生活インフラの未来を描いていた。
私はその発想に大いに共鳴しつつも、次のように考えた。
“つなぐべきは、ガジェットではなくインフラのほうだ”
つまり、家電ではなく「分電盤」そのものにUSB的な思想を埋め込むべきだということ。
分電盤に通信、制御、認識機能を仕込めば、 太陽光も蓄電池もEVも「つなぐだけ」で認識・制御できる。 ユーザーが意識しなくても、エネルギーが“自動で最適に流れる”仕組みが作れる。
それは、HEMSのように「画面をつける」世界ではない。 最初から電気の“神経系”を持った盤を作る、という設計思想だ。
華やかではない。UIもない。だけどそこには確実に、エネルギーの未来を支える論理があった。
そして私は、その思想を信じてずっと、この企画を設計し実行続けている。


第4章:私は5年前に言っていた──だが、誰も耳を貸さなかった
私はずっとこう言ってきた。
「制御用に、もう1台のメーターが必要だ」と。
しかし、その当時は誰も真剣に耳を傾けなかった。

  • 「そんな高機能メーター、誰が買うんだ」

  • 「電力会社がそんなことやるはずない」

  • 「メーターは1台で十分でしょ」

そんな言葉に囲まれながらも、 私は信じていた。「いつか、これが必要になる」と。
そして今、OCPP、DER、VPP、EVの波がやってきている。 ようやく社会がその必要性に追いつきつつあるのを感じている。


第5章:これからの設計思想──重ねる、という考え方
これからの時代、既存のメーターを無理に拡張するのではなく、 「重ねる」発想が重要になる。

  • 公的スマメ → 計量に徹する

  • 私的スマメ → 制御を司る“頭脳”として、上からかぶせる

誰がこの「2台目」を持つべきか?

  • 電力会社ではない。制御したくないから。

  • 一般家庭でもない。難易度が高い。

それは、エネルギーを“サービスとして届けるプレイヤー”の役割だ。 地域エネルギー会社、ESCO、テック系VPPプレイヤー──。発想が活きるタイミングだ。


結語:未来の設計者たちへ
設計の失敗とは、見えていないことに気づかないことではない。 見えていたのに、無視されたことが本当の問題だ。
エネルギーはこれから「所有から制御」へと価値の軸を移していく。 そのとき、私たちはもう一度こう考えなければならない。
「エネルギーを制御する権利は、エネルギーを使う人にある」 だから、スマートメーターは2台必要なのだ。

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