逃げていると言われた日
保留は逃げではなく自分自身を見つめ直す時間だ。
そう自分では分かっていても、「まだ決めてないの?」と言われた瞬間、急に自分が情けなく思えてくることがある。
友人に相談したはずなのに、返ってきたのは「早く決めた方がいいよ」という一言だった。
悪気はない。
むしろ心配してくれているのだと分かる。
それでも、その一言で、自分がただ問題から逃げている人間のように感じてしまう。
多くの人は、こう言われたら「指摘は正しいはずだ」と受け止める。
自分より外から見ている人の方が、状況を正確に把握しているはずだと思うからだ。
でも本当にそうだろうか。
心理学には「帰属の誤り」という言葉がある。
人は他人の行動を説明するとき、状況ではなく、その人の性格や意思のせいにしやすい。
そしてもう一つ見落とされがちなのが、指摘してくる側が、自分自身の焦りをそのまま相手に投影してしまうことがあるという点だ。
「早く決めた方がいい」と言う人は、実は自分が不確実な状態に耐えられないだけかもしれない。
その耐えられなさを、あなたの「先延ばし」という言葉に変換して、あなたに返しているだけのことがある。
つまり、その指摘はあなたの状態を正確に描写したものではなく、相手自身の落ち着かなさが漏れ出たものである可能性がある。
実際、誰かに急かされて、まだ確信が持てないまま結論を出してしまった経験がある人は多いはずだ。
後になって「あのとき、もう少し自分のペースで考えればよかった」と思う。
急かした側は、もうその場にはいない。
残るのは、自分だけだ。
もちろん、指摘がすべて的外れというわけではない。
本当にただ決めることが怖くて、考えることそのものから逃げているケースも、当然ある。
指摘した相手が正しいのか、それとも相手の焦りが漏れ出ただけなのか、その場では判断がつかないことも多いだろう。
どちらとも言い切れないまま、しばらく分からなくてもいい。
それでも、と思う人もいるかもしれない。
「実際に先延ばしにしているだけの人もいるのでは」という声もあるだろう。
たしかに、いる。
ただそれを判断できるのは、外から急かす人ではなく、自分自身だけだ。
その件についてまだ考え続けているなら、それは保留だ。
もう考えることすらやめてしまっているなら、それは逃げかもしれない。
どちらであるかを一番よく知っているのは、あなた自身だ。
考え続けているだけでも、それは十分に保留と呼んでいい。
もちろん、同じ保留でも、ただ考えているだけの状態と、確認したいことまで言葉にできている状態とでは、後々の納得感が変わってくることもある。
それでも、それは保留の質を上げるための話であって、保留かどうかを決める最低条件ではない。
考え続けている時点で、あなたはすでに逃げてはいない。
次に誰かから「まだ決めてないの?」と言われたときは、その言葉をそのまま受け取る前に、少しだけ立ち止まってみてほしい。
それはあなたの状態そのものなのか、それとも相手の焦りが言葉になっただけなのか。
自分の状態を、自分で判断していい。
このシリーズの続きは、LINEで先にお知らせしています。
あわせて、noteでは公開していない
「違和感チェックリスト15」を無料でお渡ししています。
https://lin.ee/xcje6LD
次の記事はこちら↓
前の記事はこちら↓
違和感シリーズはこちら↓
