見えないからできない?! 視覚障害の2人が語る ChatGPTとアクセシビリティが広げる創作の可能性
見えないと、何もできない。
皆さん、そんなふうに思いますか?
私は見えなくなった当初、そう思っていました。
見えない自分は、もう何もできない。
自由に歩くこともできない。
スマホも使えない。
文字の読み書きもできない。
化粧もできない。
お金の管理さえできない。
買い物もできない。
もちろん、仕事もできない。
できない。
できない。
できない。
できない。
できない。
できない。
できない。
できない。
できない。
できない。
もう何もできない。
そう思っていました。
そして社会の中でも、
「見えない=何もできない」と思われていると感じる場面は、今でもまだたくさんあります。
例えば、就職の面接。
あるいは福祉の就労継続支援A型やB型でさえも、
「視覚障害の人に何ができるかわからない」
「どんな仕事をお願いしていいかわからない」
「だから視覚障害者は難しいですね」
そんな言葉を、まるでデフォルトのように言われることも少なくありません。
でも本当に、
見えないと何もできないのでしょうか?
今の私を見てもらえば、
見えないから何もできないとは、きっと思われないんじゃないかなと思います。
ただ、知らないだけ。
見えないからできないのではなく、
知られていないだけの「できる」がたくさんある。
今日はそんな、
見えない私たちの可能性や、
見えない私たちの「できる」を
少しでも感じてもらえたら、
そして知ってもらえたらうれしいなと思っています。

みなさん、いつも私とお嬢のnoteを読んでくださりありがとうございます。
ナツコ@視覚障害の相談支援専門員です。
今日は、ちょっといつもと違った特別な記事を書いていこうと思います。
実は少し前に、noteに一通のメッセージが届きました。
送り主は、ジャリバん先生。
同じ視覚障害の当事者として、AIやプログラミング、音楽制作など、さまざまな活動を発信されている方です。
メッセージの内容は、とても面白い提案でした。
「ChatGPTのグループチャットを使って、対談のような形で記事を作ってみませんか?」
ひとつのテーマを決めて、それぞれの思いや経験を語りながら、一つの記事を一緒に作ってみようという企画です。
とても面白い試みだと思い、私はすぐに「ぜひやりましょう」とお返事しました。
では、テーマは何にするか。
少し考えて、私はこんな提案をしました。
AIを活用した創作活動について話してみませんか?
私はAIを使って画像やイラストを作っています。
一方でジャリバん先生は、AIを使って音楽制作をされています。
同じ視覚障害の当事者でありながら、
AIというツールを使って、それぞれ違う形の表現を広げている。
そんな話をしてみたら、きっと面白い記事になるんじゃないかと思ったのです。
こうして今回の対談が始まりました。

🎨 AIで広がる表現
AIを使ってイラストを作る人がいる。
AIを使って音楽を作る人がいる。
奈津子さんは、AIを活用してイラストや画像を制作している。
ジャリバん先生は、AIを使って楽曲制作を行っている。
二人に共通しているのは、視覚障害の当事者であること。
そして、アクセシビリティとAIを使いながら、自分の表現を広げていることだ。
見えないから、できない。
そう思われることは、まだ多い。
けれど二人の話を聞いていると、その考えは少し違って見えてくる。
🖼️ AIで画像を作り始めたきっかけ
奈津子さんがAIを使い始めたきっかけは、意外なものだった。
noteの記事のサムネイル画像を作りたかったのだ。
記事を書くようになって、サムネイルの大切さを知った。
けれど、視覚障害があると画像制作は簡単ではない。
最初は写真をそのまま使っていた。
でもAIを使えば、写真を加工したり、文字を入れたり、イラストを作ることもできる。
そこから少しずつ挑戦が始まった。
写真を元に画像を作ることもあれば、
コラージュを作ることもある。
文章からイラストを生成することもある。
作りたいイメージによって方法を使い分けている。
奈津子さんの作品によく登場するのは、盲導犬の「お嬢」。
黒いラブラドールレトリバー。
茶色い瞳。
赤い首輪。
肉球マークの鈴。
AIで同じキャラクターを作るため、奈津子さんは細かい設定を文章として用意している。
「毎回ちゃんと説明しないと、お嬢が人間の女の子になったりするんです」
AIと付き合うには、そんな工夫も必要になる。
🔍 見えないからこその制作方法
奈津子さんは、完成した画像を必ず確認する。
ChatGPTの共有機能などから
Be My AIに画像を送って説明してもらう。
画像の内容が、自分のイメージと合っているかを確認するためだ。
特に注意しているのは文字。
以前は「盲導犬」と書いたつもりが違う文字になっていたり、
文字化けしたままnoteのサムネイルとして公開していたこともあった。
また、お嬢のイラストのつもりが
白い犬になっていたり、
人間の女の子になっていたり。
そういうことに気づかないまま公開していたこともある。
「私はわりと大雑把なので、気づかないままアップしていることもあります」
奈津子さんは笑いながらそう話す。
それでも今は、画像解析という方法を使いながら
自分なりの制作方法を作っている。

🎧 音で表現するという選択
一方、ジャリバん先生は音楽の世界に可能性を見出した。
見えなくなったことで、
「見る楽しみ」は失われた。
その代わりに見つけたのが、音の世界だった。
DJを始めたのもその頃だ。
音ならば、視覚に頼らず表現できる。
見える人と同じように作品を作れるかもしれない。
そう感じたという。
しかし時代が進むと、DJの世界には
映像と音楽を組み合わせるシステムが増えていった。
視覚的な要素が強くなり、
先生は一度、音楽から離れることになる。
転機になったのはAIだった。
文章から楽曲を生成できるAI。
「これは目から鱗でした」
スタイル、雰囲気、歌詞。
それらを入力すると、AIが楽曲を作る。
もちろん最初からうまくいったわけではない。
初期のAIはガチャのようなものだった。
何百回、何千回と試す。
歌詞の発音がおかしければ、
カタカナやアルファベットに変える。
そうして自分のイメージに近い曲が生まれたとき、
大きな達成感があったという。
🎛️ 見えない中での音楽制作の工夫
AIで音楽を作ると言っても、実際の制作にはさまざまな工夫や試行錯誤がある。
まず難しいのは、AIの操作画面そのものだ。
音声だけでは画面の構造がとても把握しにくい。
そのため、まずホームページ全体を
Windowsの Ctrl + A で全選択し、
Ctrl + C でコピーする。
そしてその内容をメモ帳(Notepad)に貼り付け、
画面全体の構成をテキストとして把握する。
その情報をもとに、スクリーンリーダーで読み上げながら
AIの画面構造を頭の中でイメージして操作していく。
スタイルを入力し、
モデルを選択し、
歌詞を入力し、
最後に生成ボタンへとたどり着く。
また、Windowsのショートカットキーや
スクリーンリーダー固有の操作も活用している。
入力フォームへ移動するときのキー、
表形式の場所に移動するキー、
ボタン要素へジャンプするキー。
そうした操作を組み合わせながら、制作を進めている。
最近のAIサービスは機能が増え、操作画面も複雑になってきている。
そのため、初期のシンプルな操作性を知らない人が使うと、
かえって不便に感じることもあるのではないかという。
最初の段階で触れたシンプルな環境こそが、
むしろ大きな利点だったのかもしれない。
もちろん、楽曲制作そのものも最初からうまくいくわけではなかった。
今でこそ、楽曲の雰囲気や歌詞を入力すれば
かなり高い確率で完成度の高い曲が生成される。
しかし始めた頃は、いわばガチャのような要素が強かった。
楽曲の雰囲気、スタイル、プロンプトの組み合わせを何度も変える。
歌詞の構成もイントロからエンディングまで調整する。
日本語の発音が不自然になる部分があれば、
カタカナやひらがな、あるいはアルファベット表記に変えて調整する。
そうした試行錯誤に加えて、AI生成自体のランダム性もあったため、
何百回、何千回、時には何万回と生成を繰り返すこともあった。
そうして自分の思い描いた曲が完成したときの達成感は、
とても爽快なものだったという。
出来上がった楽曲については、目ではなく耳で確認できるため、
そこには特別な工夫は必要ない。
ただ、制作の途中では思わぬ失敗もある。
例えば、歌詞を作っているときの漢字変換。
音声入力やタイピングで変換した言葉が、自分の意図と違う意味になっていることがある。
「未来」という言葉を使ったつもりが、公開された歌詞では
将来を意味する未来ではなく、「味を感じる未来」という別の漢字で表示されていた。
気づかないままそのまま公開されてしまい、
後で気づいて恥ずかしい思いをしたこともあったという。
こうした変換ミスは、視覚障害者にはよくある経験でもある。
それでも、こうした工夫や試行錯誤を重ねながら、
AIを使った音楽制作は続いている。

🧠 AIとアクセシビリティ
こうして話を聞いていると、
ナツコさんにとっても、ジャリバん先生にとっても、
AIは創作の可能性を広げてくれる存在になっていることがわかる。
イラストを作る。
音楽を作る。
見えないから難しいと思われがちな創作も、
AIを活用することで楽しめるようになってきた。
しかし、そうした創作活動を続ける中で、
ジャリバん先生はもう一つ感じるようになったことがあるという。
それが、AIとアクセシビリティの関係だ。
ジャリバん先生は、AIをめぐる今の議論に
少し違和感があるという。
見える人がAIを使う。
見えない人がAIを使う。
そこには前提の違いがある。
見える人にとってAIは、便利なツールかもしれない。
しかし視覚障害者にとってAIは、目を補う技術でもある。
画像を説明する。
画面を理解する。
操作を助ける。
つまりAIは、
生活や表現を成立させるための
アクセシビリティ技術でもある。
だからこそAIの議論の中で、
視覚障害者の使い方もきちんと考えてほしい。
ジャリバん先生はそう語る。

🌧️ 絶望から始まることもある
今でこそ、AIを活用しながら
創作を楽しむことができている。
けれど、最初からそうだったわけではない。
視覚を失う、あるいは見えにくくなるという経験は、
生活のすべてを大きく揺さぶる。
ナツコさんも最初は、強い絶望の中にいたという。
「無理」「できない」
それが口癖だった。
料理も怖かった。
包丁を持つのも、火を使うのも怖い。
やる前から「できない」と思ってしまっていた。
ジャリバん先生も同じように語る。
人が得る情報の多くは視覚から入る。
その視覚を失うことは、想像以上に大きな衝撃だという。
「できていたことができなくなる。それを受け入れるには時間がかかるんです」
最初は周囲の言葉も入ってこない。
自分のことで精一杯だからだ。
🤝 「ひとりじゃない」と知ること
そんな中で、少しずつ外の世界につながるきっかけも生まれていく。
ナツコさんにとって、その一つがSNSだった。
視覚障害の人が多くいると聞き、Xを始めた。
当時、同じ障害を持つ知り合いはほとんどいなかった。
だから、まずは生活のことを知りたかったという。
そこで出会ったのが、同じ当事者たちだった。
会ったことはなくても、
日々の工夫や気持ちを共有できる仲間がいる。
そのことが、大きな支えになった。
「ひとりじゃないと思えたことがすごく大きかったです」
ジャリバん先生もまた、
同じように見えない人と関わることが
前に進む一歩になったと話す。
ある人から言われた言葉も、先生の中に残っている。
「目しか悪くない」
手はある。
足もある。
口もある。
その言葉は、少しだけ見方を変えてくれた。
💡 「できないなら、できる方法を考えればいい」
ナツコさんの中で、大きな転機になった言葉がある。
リハビリの中で言われた言葉だ。
「できないなら、できる方法を考えればいい」
見えなくなって、できないことだらけになった。
そして、いつの間にか「できないこと」ばかりにとらわれていた。
でも、見えなくても、やり方を工夫すればできることはまだまだある。
それを教えてくれたのが、この言葉だった。
例えば、ご飯を炊くこと。
水の量が見えないからできないと思っていた。
でも「お米の計量カップ一杯が一合の水量の目安になる」と教えてもらった。
それならできる。
その経験からナツコさんの中に、
一つの合言葉のような考え方が生まれた。
できないなら、できる方法を探せばいい。
その考え方は今も、
生活の中でも、
支援の仕事の中でも、
大切にしている姿勢だという。

🌱 私たちの「できる」を信じてほしい
ナツコさんは、こう話す。
視覚障害=何もできない。
そんなふうに思われることは、まだ多い。
でもそれは、知らないことから生まれる誤解でもある。
できないことがあっても、
できる方法を見つければいい。
そうやって工夫を重ねていけば、
できることは少しずつ増えていく。
AIも、その一つの可能性だ。
イラストを作る。
音楽を作る。
文章を書く。
見えないから終わりではない。
できないなら、できる方法を考える。
AIとアクセシビリティは、
その可能性を広げてくれる新しい道具になっている。
そして何より、
一人ではないということ。
そこからまた、次の一歩が始まる。

🌈 見えないから終わりではない
見えないから、できない。
そう思われることは、まだ多い。
でも、本当にそうだろうか。
見えなくても、やり方を工夫すればできることはある。
そして、AIのような新しい技術は、その可能性をさらに広げてくれている。
イラストを作る人がいる。
音楽を作る人がいる。
アクセシビリティを活用しながら、
自分なりの方法で表現を続けている人たちがいる。
見えないから終わりではない。
できないなら、できる方法を考える。
AIとアクセシビリティは、
その可能性を広げてくれる新しい道具になっている。
そして何より、
一人ではないということ。
そこからまた、次の一歩が始まる。

🪶 最後まで読んでくださってありがとうございます
今回は、はじめての対談形式での記事でしたが、いかがでしたか?
視覚障害の当事者という共通点を持つ二人で、
視覚障害とAI、そしてアクセシビリティについて、それぞれの思いを綴ってきました。
私自身、とても良い体験ができたなぁと思っています。
こうして離れた場所にいる人同士でも、
対話をしながら一つの記事を作ることができる。
こんなことまでできてしまうなんて、
やっぱりChatGPTってすごいですね。
ということで、次回の記事では
このChatGPTを活用した対談を、どのように進めてきたのか
その舞台裏について書いていこうと思っています。
明日公開する予定なので、
よかったらそちらの記事もぜひ読んでくださいね。
見えなくても、できることはたくさんある。
そんなことを、この記事から少しでも感じてもらえていたら嬉しいです。

📚 今日のおすすめ記事
今日のおすすめ記事は、今回対談してくださった
ジャリバン先生の記事をご紹介します。
🎵 作者絶賛「合理的配慮の唄」
AI音楽生成サービス Suno AI を使って制作された楽曲で、
合理的配慮とは何かというテーマが歌詞として表現されています。
合理的配慮に対する考え方が、私自身の考え方ともとても似ているなぁと思って興味を持ったのと、
単純に、とても素敵な曲なんです。
「合理的配慮は優遇や特別扱いではなく、
同じスタートに立ち、同じフィールドで生きるための調整」
そんなメッセージが、とても印象的でした。
ぜひ皆さんにも記事を読んでいただきたいですし、
この先生の作られた名曲を聴いていただけたら嬉しいなと思って、
今回ご紹介させていただきました。
🐕 もう一つお知らせ
そしてそして、もう一つ宣伝です。
昨日、我が家のかわいい盲導犬のお嬢が、なんとアイドルデビューを果たしました。
しかも、あのnote界で有名な
タカーズ事務所からのデビューです。
デビュー曲の
「今日もハッピー」
お嬢ライフをテーマにした、とても可愛くて素敵な曲になっています。
よかったら、こちらもぜひ見ていただけると嬉しいです。
そして、応援していただけたらさらに嬉しいです。
お嬢は、みんなからの**ファンレター(コメント)**を首を長くして待っています。
コメントを読んであげると、しっぽブンブンで喜んでいます。
ぜひ応援よろしくお願いします🐾
追記
この記事でご紹介した、ChatGPTを活用してグループチャットで対談をすると言うやり方について2本目の記事で書いていますので、よかったらこちらも読んでくださいね。
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