夏休み、1日2万歩で足を壊さないために。街歩き旅のスニーカー選びと、理学療法士に聞いた旅先フットケア#PR

夏休みの旅は、思いのほか歩きます。慣れない街の石畳、坂の多い旧市街、開園から閉園まで歩き回るテーマパーク。気づけば一日に二万歩を超えていた、という日は珍しくありません。若い頃なら翌朝には回復していたものが、我々40代にとっては、足の疲れや痛みが二日、三日と尾を引く。せっかくの旅が、足元の不調で半減してしまうのは、あまりにもったいない話です。
以前、弊サイトでは旅行に1足だけ持つなら?図鑑で、「どの靴をスーツケースに詰めるか」というパッキングの視点を語りました。今回はその続きとして、「持っていったその靴で、歩き倒す一日をどう乗り切るか」という、現地・体験の側に振ってみたいと思います。靴選びそのものの詳細は先の図鑑に譲りますので、本記事は「長く歩ける足元の見極め方」と、「旅先での足の手入れ」の二本立てでお届けします。
そして後半では、いつもの理学療法士の友人に、旅先で実践できるフットケアを尋ねてきました。臨床で多くの人の足と歩き方を見てきた彼に、「旅行で歩き倒す日、足を壊さないコツって、ぶっちゃけ何?」と単刀直入に聞いてみたのです。なお、これは医学的な診断や処方ではなく、あくまで一般的な心がけとして読んでください。痛みや腫れが続くときは自己判断せず専門家へ、というのは、彼自身が何より強く念を押していた点でもあります。
長く歩ける一足は、四つの視点で見極める
まず、歩き倒す旅にふさわしいスニーカーとは、どんな足元かを整理しておきます。友人いわく、長時間歩行で見るべき要点は、クッション・屈曲・軽さ・前足部の余裕の四つ。順に、具体的な銘柄を名指ししながら見ていきましょう。

1つ目はクッションです。硬いアスファルトや石畳を一日中歩く旅では、着地のたびに足裏へ届く衝撃が積み重なります。「厚めのクッションは、その衝撃をやわらげる助けになりやすい。長く・硬い地面を歩く日ほど恩恵が出やすいとされる」と友人。厚底クッションの代表格であるHOKA クリフトンは、見た目の分厚さのわりに軽く、長い一日でも足裏の負担を受け止めてくれます。スイス発のOn クラウドも、穴あきソールの軽快なクッションで、街歩きの足取りを軽く保ってくれる一足。安定感を重んじるなら、アシックス GT-2160のような、横ぶれを抑える作りの安定系ランニング由来のレトロも候補になります。ただし、クッションの効き方には個人差があります、というのが友人の口ぐせでした。

2つ目は屈曲、つまり靴の曲がりやすさです。「歩くとき、つま先の付け根で靴が自然に曲がってくれると、足が前へ送り出されやすい。逆に底がガチガチに硬いと、足の方が無理に蹴り出すことになって、疲れやすい人もいる」。素朴な帆布スニーカーであるムーンスター 810sは、柔らかなソールで足の動きに素直に追従してくれます。同じく、スロバキア製の天然ゴム底が持ち味のノヴェスタ スターマスターのような一足も、しなやかな屈曲で歩きを助けてくれる。購入前に、つま先側を手で軽く曲げて、付け根あたりで自然に折れるかを確かめておくとよい、と友人は言い添えました。

3つ目は軽さです。「片足の数十グラムでも、二万歩ぶん積み重なれば、ばかにならない。重い靴は、それだけで脚を消耗させることがある」。先に挙げたOn クラウドやHOKA クリフトンは、クッションを備えながら軽いのが美点。もうひとつ、トレイルランニング由来のサロモン XT-6も、メッシュ主体の軽い作りと、紐を一気に締めるクイックレース(コードを引くだけで締まる仕組み)で、坂道の多い街歩きを軽快にこなします。軽さとは、旅においては最大の贅沢のひとつです。

4つ目が、前足部の余裕です。これを友人は特に強く勧めました。「長く歩くと、足はむくんで少し大きくなる。夕方には朝よりサイズが上がる人もいるくらい。だから、つま先まわりに少し余裕のある靴を選んでおくと、夕方の靴擦れやしびれを防ぎやすいとされる」。ゆったりした木型の帆布スニーカーであるムーンスター 810sや、肉厚なY2Kテックの定番ニューバランス2002Rのような、甲まわりにゆとりのある一足は、この点で旅向きです。「ジャストサイズで攻めるより、夕方のむくみを見越して半歩ぶん余裕を見ておくくらいが、旅ではちょうどいい」と彼は笑いました。
ちなみに、ここで挙げた銘柄も含め、旅の一足をどう選び抜くかは旅行に1足だけ持つなら?図鑑に詳しくまとめています。夏の通気まで踏み込みたい方は夏に蒸れない図鑑も併せてご覧ください。
理学療法士に聞いた、旅先フットケアの心得

さて、ここからが本題です。どんなに足に合う一足を選んでも、二万歩を無策で歩けば、足は悲鳴を上げます。友人が教えてくれた、旅先で実践できる手入れの数々を、順にご紹介します。繰り返しになりますが、これらは一般的な心がけであって、効果には個人差があります。
靴擦れは、起きる前に手を打つ
「靴擦れは、できてしまってからより、できる前に手を打つほうがずっと楽だよ」。友人がまず挙げたのが、予防の発想でした。新しい靴をおろしたての旅、長く歩く一日には、擦れやすいかかとや小指のあたりに、あらかじめ保護テープや絆創膏を貼っておくとよいとされます。「靴下の素材を、薄くて滑りのいいものに替えるだけでも、摩擦が減って楽になる人がいる」とも。靴擦れや雨の応急処置については、以前まとめた旅の5分レスキューキットに道具立てを書いていますので、出発前の備えに併せてどうぞ。
まめ・水ぶくれは、つぶさず守るのが基本
それでも擦れてまめ(水ぶくれ)ができてしまったら。友人は、慌ててつぶさないよう念を押しました。「水ぶくれの中の液は、傷を守る役目がある。無理につぶすと、かえって治りが遅れたり、ばい菌が入ったりすることがある」。基本は、患部を清潔にして、上から保護パッドや絆創膏でそっと覆い、摩擦から守ること。「大きいものや、痛みが強いもの、化膿してきたものは、現地でも薬局や医療機関に相談してほしい。我慢して悪化させるのが、旅でいちばんもったいない」というのが、彼の強い助言でした。
夕方のむくみには、着圧と「足上げ」
長く歩いた日の夕方、靴がきつく感じる、ふくらはぎがだるい——これはむくみのサインです。「歩き疲れた脚は、血や水分が下にたまりやすい。寝る前にひと手間かけるだけで、翌朝の軽さが違う、という人は多いよ」。彼が勧めたのは、二つ。ひとつは、移動の多い日に着圧ソックス(段階的に圧をかけて血行を助けるとされる靴下)を履いておくこと。もうひとつが、ホテルで横になったとき、クッションや丸めた荷物の上にふくらはぎを乗せ、足を心臓より少し高くする「足上げ」です。「寝る前に十分ほど足を上げておくだけ。道具もいらないし、これがいちばん手軽でいい」。ただし効き方には個人差があり、しびれや強い腫れが続くなら別の原因も疑って専門家へ、と但し書きも忘れませんでした。
靴を「前夜にローテーション」させる
意外だったのが、靴のローテーションの話です。「もし旅に二足持っていけるなら、毎日同じ靴を続けて履かないほうがいい」。一日歩いた靴は汗を吸って湿っており、中のクッションも沈んだままになりがち。「一晩しっかり乾かして、クッションを休ませた靴のほうが、翌日また気持ちよく働いてくれる」というわけです。一足しか持たない旅でも、夜のうちに中敷きを取り出して陰干しし、靴の中に丸めた新聞紙を入れて湿気を抜いておくだけで、翌朝の履き心地は変わってくるとされます。脱ぎ履きの軽い二足目を空港やホテル周りの足として足すなら、弊サイトの本丸PRO-Keds のロイヤルローファーのような、スニーカーと革靴の中間に立つ一足も便利です。紐を結ばずさっと足を入れられて、夕食に出るくらいの品も保てる。脱ぎ履きを軸にした二足目の考え方は、脱ぎ履きラク スリッポン&ベルクロ図鑑(空港編)に詳しくまとめています。
インソールという、もうひとつの足場
「合うインソール(中敷き)を一枚入れるだけで、長く歩く日の足の感じが変わる人もいる」。友人は、靴そのものを買い替えなくても、中敷きで底上げできる場合があると教えてくれました。クッション性の高いものや、土踏まずを支える形状のものなど、種類はさまざま。「ただし、これも合う合わないが大きい。痛みの原因が足の形や歩き方にあるなら、市販品より、専門家に相談して自分の足に合わせたほうが確実なこともある」。万能の正解はない、というのが、ここでも彼の姿勢でした。
休憩では、思い切って靴を脱ぐ
最後に、彼が「いちばん簡単で、いちばん効く」と笑って勧めたのが、休憩時に靴を脱ぐことでした。「カフェで一服するとき、公園のベンチに座ったとき。靴を脱いで、足の指をグーパーしたり、足首をまわしたりするだけで、こもった熱と疲れが抜ける」。一日歩きづめにするより、二、三時間に一度、十分でも足を解放してやる。「足にも、休憩時間が要るんだよ」。観光に夢中だとつい忘れがちな、けれど確かに効く心得です。
不安なときは、旅先でも我慢しない
ひととおり聞き終えたあと、友人が最後に、声の調子を変えて念を押したことを書いておきます。「ここまで話したのは、あくまで一般的な予防やセルフケアの話。痛みが強い、腫れがひかない、しびれる、足が地面につけないほど痛む——そういうときは、旅先でも我慢せずに医療機関にかかってほしい」。
旅先で病院へ、というのは確かにおっくうです。けれど、と彼は言います。「無理して歩き続けて骨や腱を痛めたら、その先の旅も台無しになる。四十代の身体は、若い頃みたいには無理がきかないからね」。専門家である彼自身の言葉だけに、この一言には実感がこもっていました。海外なら、旅行保険の連絡先を出発前に控えておくと安心です、とも添えてくれました。
結び——40代の男が、旅先で足をいたわるとき
40代の男が、旅先で足をいたわるとき。それは、若い頃のように足を消耗品のように使い倒す旅から卒業し、自分の身体と相談しながら旅を続ける術を覚えた、ということなのかもしれません。
歩き倒す一日を支えてくれるのは、足元の道具立てだけではありません。靴擦れを起こす前に手を打ち、夜に足を上げ、休憩で靴を脱ぐ。そんな小さな手入れの積み重ねが、二万歩の一日を、足の痛みではなく、街の記憶で満たしてくれます。
弊サイトが愛してやまないPRO-Keds ロイヤルアメリカ(Royal America)のような、薄く軽いキャンバススニーカーで、見知らぬ街を端から端まで歩く——そんな旅も、足をいたわる術を知っていればこそ、心ゆくまで楽しめるというものです。足を壊さずに歩き通したその夜、靴を脱いでベッドに足を投げ出すとき。さらりとした足の裏には、一日ぶんの旅の手応えと、自分の身体とうまく付き合えた、ささやかな満足が宿っているはずです。
