コミュニケーションが苦手なPTが8年生き残れた理由【後編】
今回のテーマは「患者さんとのコミュニケーション」です。
こんにちは、プロPTです。今回もAIと一緒に自分の考えを整理しながら書いています。
前回の記事では、PTにとってコミュニケーションが情報収集の手段であること、そして①挨拶・接遇、②自己開示について紹介しました。
まだ読んでいない方はぜひ前編からどうぞ。
今回はその続きです。
苦手な自分が心がけてきた5つのこと【後編】
③とにかく患者さんに喋らせる——「ど」から始まる質問
患者さんに話してもらうためには、質問の仕方が重要です。
コミュニケーションには「オープンクエスチョン」と「クローズドクエスチョン」という概念があります。クローズドクエスチョンは「はい」「いいえ」で答えられる質問。オープンクエスチョンは、相手が自由に答えられる質問です。情報収集という目的においては、オープンクエスチョンを意識することが大切です。
私が学生時代に教わったのが「ど」から始まる質問をするといいというものでした。「どうやって」「どこで」「どうして」「どんな時に」「どんなふうに」——「ど」から始まる言葉で質問するだけで自然とオープンクエスチョンになります。英語でいう5W1Hに近い感覚です。
例えばこんな使い方です。
・「どうやって買い物に行っていますか?」
・「どこで転んだんですか?」
・「どんな時に痛みが出ますか?」
・「どんなふうに階段を上っていますか?」
「ど」を意識するだけで患者さんが自然と話してくれることが増えました。あくまで私の主観ですが、この小さな言葉の工夫が情報収集の量を大きく変えると感じています。
④なんでもデカく——うなずきも声も
「デカく反応する」。これも私がコミュニケーションで意識することの一つです。特に声とうなずきに関しては人よりデカい自覚があります。
声に関しては、気づけば患者さんに「声がでかい先生」として覚えてもらえることが多くなりました。補聴器をつけている方に「うるさい」と言われたこともありますが、他のセラピストから「次のリハビリの先生はあそこにいる声がでかい先生です」と紹介してもらえるほどです。人に覚えてもらえるというのは、信頼関係の構築の入口です。それは臨床現場だけでなくビジネスでも同じことが言えると思います。
また、運動中に「1・2」と声を出して数を数えるだけで、患者さんが明らかにやる気になることがあります。研究でも応援や声援には自己肯定感を高め、パフォーマンスを向上させる効果があることが示されています。リハビリ中の声かけも、同じ効果があると感じています。
うなずきも同様です。私が小さくうなずいても、目が悪い患者さんには見えていないことがあります。「ちゃんとあなたの話を聞いています」と伝えるためには、大きく、はっきりと反応することが大切です。言葉がなくても、うなずきひとつで「この人は自分のことを見ていてくれる」と感じてもらえます。
声も、うなずきも、リアクションも——デカくやって損はありません。明日からでもできるものです。
⑤喋らないことも大事
コミュニケーションが苦手な人ほど「何か言わなければ」というプレッシャーを感じやすいものです。でもそのプレッシャーこそが、思わずクローズドクエスチョンを連発してしまう原因になっていると感じています。
患者さんが感情を整理しているとき、言葉を探しているとき、その沈黙を埋めようとしなくていいです。その間を大切に待つことが、信頼につながることがあります。
そして患者さんも私も、しゃべりたくない日があります。そういうときは「今は休憩の時間」と割り切っていいと思います。無理に会話を作ろうとするより、ただそこにいることの方が、むしろ患者さんに安心感を与えることもあると思います。
私が目指すのは、患者さんを前から引っ張る存在でも、後ろから押す存在でもありません。患者さんの隣に立ち、一緒に同じ方向に歩いていくパートナーでありたいと思っています。沈黙もその歩みのひとつです。
「何も言わない」という選択肢を持つだけで、コミュニケーションが少し楽になります。
まとめ
前編・後編にわたって、PTとしてのコミュニケーションについて紹介してきました。前編ではコミュニケーションが情報収集の手段であること、①挨拶・接遇、②自己開示を紹介しました。後編の今回は③「ど」から始まる質問、④デカく反応する、⑤喋らないことの大切さを紹介しました。
コミュニケーションが苦手な私が8年間リハビリ職として働き続けてこられたのは、この5つのことを意識してきたからだと思っています。
どれも特別なスキルではありません。挨拶をする、自分のことを話す、「ど」から始まる質問をする、デカく反応する、沈黙を恐れない——明日からでも意識できることばかりです。
患者さんとの会話に困っているPT、情報収集がうまくいかないと感じているPT、そんな方のヒントに少しでもなれば嬉しいです。
コミュニケーションが得意じゃなくても、大丈夫です。私がそうでした。
最後まで読んでいただきありがとうございます。他の記事でもPTとしての現場のリアルやAI活用について書いていますので、ぜひそちらもご覧いただけると嬉しいです。
