ベトナム初上陸!🍚老舗とんかつ「和幸」がホーチミンに持ってきた、成長市場への“戦略的本気度”
📣この記事の要約
この記事は、日系飲食チェーンのベトナム進出ラッシュのなか、老舗とんかつ専門店「とんかつ和幸」がホーチミンに初出店した戦略を紹介しています。和幸が「日本と変わらぬ味と心のおもてなし」を掲げ、あえてローカライズせず、日本品質にこだわる「非妥協の品質戦略」が、成長著しいベトナム市場でどのような意味を持つのか、他社との比較やデータに基づき、その戦略的意義と今後の展望をご紹介します。
I. はじめに:進出ラッシュの中で老舗が選んだ「ベトナム」
2024年から2025年にかけて、ベトナムの飲食市場は、まさに「日系チェーンの進出ラッシュ」の真っただ中にあります。牛丼チェーンの松屋フーズや、ファミリーレストランのサイゼリヤ、ロイヤルホールディングス(天丼てんや)など、日本を代表する外食企業が次々とベトナム市場に進出しており、これはベトナム市場が戦略的な「成長投資」の対象として捉えられていることの現れです。
この活発な流れを受け、1958年の創業から65年以上続く老舗とんかつ専門店「とんかつ和幸」が、海外出店の3ヶ国目としてベトナムへの初出店を果たしました。

2025年11月10日(月)に「和幸サイゴンセンター店」としてニューオープンした第1号店は、ホーチミン市内の人気ショッピングセンター内に位置しています。
和幸は、ベトナムでの展開にあたり、「日本と変わらない『味と心のおもてなし』と笑顔の接客」を提供すると明確に掲げています。本記事では、この老舗の「変わらぬ味」への徹底的なこだわりが、急速に成長するベトナム市場において、どのような戦略的意味を持つのかを、他社の動向データと比較しながら深く分析していきます。
II. 徹底レポート:ホーチミンで体験する「日本以上のこだわり」
和幸のベトナム第1号店は、ホーチミン市内の人気スポット「サイゴンセンター」内にあります。ここは観光名所のベンタイン市場からも近く、髙島屋をはじめとする専門店やレストランが入居しており、ショッピングやグルメが一度に楽しめる最高のロケーションです。
落ち着いた和の空間と輸入食品サンプル
店内は「和が感じられる落ち着いた雰囲気」で、内装にも随所にこだわりが感じられます。特筆すべきは、店頭に飾られている食品サンプルです。日本ではお馴染みですが、海外では珍しいこれらは、日本から輸入されたものだといいます。お客様を笑顔で迎える店員さんの姿と相まって、日本にいるような安心感を演出しています。
メニュー構成は、ロースかつ御飯やひれかつ御飯、盛合せなど、日本でもお馴染みの定番が並び、おもちゃ付きのお子様メニューも用意されています。
🍚釜炊き御飯に込められた「非妥協の品質」
今回は定番の「ロースかつ御飯」(238,000 VND)を堪能しました。

自家挽きした特製生パン粉が使われており、期待を裏切らない「柔らか・サクサク・ジューシーな美味しさ」でした。
一緒にいったスタッフはロースかつ鍋を注文しました。
こちらは、和幸のタイの店舗でも人気メニューでベトナム人にもウケるのではないかとベトナム拠点の責任者の方もおっしゃっていたとおり、
まさにドンピシャで当社のベトナム人スタッフにも大変好評でした。

しかし、和幸の真髄は、定食に付く御飯の提供方法にあります。御飯は「釜炊き」で提供されるのです。米粒が立ち、ふっくらと炊きあがった艶感があり、噛むとうまみが口の中に広がり、お米だけでも美味しくいただけます。
さらに注目すべきは、このお米が日本から輸入されているという点です。注文を受けてから一つ一つ釜炊きして提供されており、釜炊き御飯を提供している店舗は、日本でも店舗数が少ないため、ベトナムでの提供は十分贅沢に感じられます。

また、1960年に始まった伝統的なサービスであるご飯とキャベツのおかわり自由サービスもベトナムで提供されています。しかも、お替わりのご飯も、手間を惜しまず一人前ずつ釜炊きで提供されるという徹底ぶりです。
III. データから読む:和幸が挑むベトナム市場の今
和幸のこの「非妥協の品質」へのこだわりは、ベトナム飲食市場の活況を読み解くと、非常に戦略的であることが見えてきます。
チェーン優位の市場で求められる「安定した品質」
以前、noteで紹介したジェトロのデータによれば、2024年のベトナムの飲食市場全体の規模は前年比16.6%増と予測されており、その中でチェーン店の売上は前年比21.5%増と、独立型の飲食店(同16.2%増)を大きく上回るペースで成長しています。
これは、ベトナムの消費者が都市部を中心に、安定した品質(クオリティ)やブランド体験を求める層が増えており、標準化されたサービスや味を提供できるチェーンモデルが、より魅力的な選択肢になっていることを意味します。日系チェーンは、この「安定性」を提供する上で優位性を持っています。
「ローカライズ」か、「非妥協」か:戦略の分岐点
先行して進出を果たした日系チェーンの多くは、ベトナムの食文化や嗜好に合わせた柔軟なローカライズ戦略を採用しています。
例えば、サイゼリヤは日本の定番メニューを維持しつつも、現地でお馴染みのドラゴンフルーツやマンゴーを使った「フルーツサラダ」といったローカル向けメニューを提供しています。また、松屋も、調味料のセルフコーナーにライムや唐辛子などベトナムならではの選択肢を用意し、現地の習慣にうまく調和させようとしています。
これに対し、とんかつ和幸の戦略は対照的です。日本から輸入した米を使用し、日本でも希少な釜炊き、そして高コストな伝統のおかわりサービスを維持しています。これは、単に現地の嗜好に合わせるのではなく、高水準な「日本品質」をそのまま持ち込むという、あえてコストをかける「非妥協の品質戦略」を取っていると解釈できます。
和幸は、価格競争力よりも、「日本にいるようなほっとするひととき」を提供する高いブランド体験、そして「老舗の変わらぬ味とこだわり」を求める層(ベトナムの富裕層や購買力の高い層)にターゲティングしていると考えられます。
IV. 今後の展望:和幸の戦略が切り拓く新たな成長曲線
和幸のこの「非妥協」の戦略は、ベトナム市場での今後の店舗展開の強固な基盤となるでしょう。しかし、日系チェーンが進出の最前線で直面する実務的な課題も同時に存在します。
日系チェーンが現在直面している論点としては、為替変動を踏まえた価格戦略の検討、日本のサービス業に求められる接客意識を共有するためのローカル人材の採用と育成、そしてサプライチェーンの整備といった点が挙げられています。特に和幸の場合、お米を日本から輸入し、一人前ずつ釜炊きするという高水準な調理プロセスを維持するためには、安定的なサプライチェーンの構築と、サービスレベルを維持するための人材トレーニングが、今後の成功の大きなカギとなります。
和幸のベトナム進出は、単なる店舗拡大ではなく、ベトナム市場の成熟度を見越した、戦略的なチャレンジです。高いブランド体験と品質を維持するという和幸の挑戦は、これから本格化する日系チェーン“第2波”の成功モデルとして、ビジネスとしてのヒントや示唆を多く含んでいると言えるでしょう。
V. まとめとメッセージ:ベトナムで出会う「日本の心」
ホーチミン「サイゴンセンター」で味わう「とんかつ和幸」は、老舗の「柔らか・サクサク・ジューシー」なとんかつと、こだわりの「釜炊き」御飯、そして心からの「おもてなし」が融合した、日本にいるような至福のひとときを提供してくれます。
お子様メニューもあるため、ご家族揃って楽しむことも可能です。ベトナムにいながらにして、日本の高い「こだわり」を体験できるこの貴重な機会を、ぜひ逃さずに体験してみてください。
🐧海外事業部

