第7話 スゴロクの「1回休み」
前回は、
Aさんが保健室登校を続ける中で、友達との何気ないやり取りや支えによって少しずつ安心感と勇気を取り戻し、校外学習の班決めでは迷っていたものの、友達の一言で心が軽くなり、前に進むことができました。
第7話 スゴロクの「1回休み」
〜前に進むには、時に立ち止まることも必要〜
Aさんが少しずつ学校に関わり始めてから、変化が見えました。
音楽の授業に参加できるようになり、保健室登校も少しずつ日常の一部になっていきます。
ちょっとした喜びと不安
母親は「このまま教室に戻れるかもしれない」と期待を膨らませていました。
しかし、次の日、Aさんは学校にも保健室にも行けませんでした。
「最近調子が良かったのに、音楽の授業を受けたら振り出しに戻った」
母親のLINEには、不安と落胆の気持ちがにじんでいました。
後退ではなく、1回休み
不登校の道のりでは、“揺れ戻り”はつきものです。
でも、それは「後退」ではなく、スゴロクでいうところの“1回休み”。
「昨日、頑張りすぎただけ。今日は休んでも大丈夫。明日も行けるかどうかはわからないけど、無理はしなくていいよ」
私は母親にそう伝えました。
Aさんを責めるのではなく、努力した証として受け止めることが大切です。
友達の支えでまた前へ
その夕方、Yさんが学校のプリントを届けに来てくれました。
「私が授業に誘ったから…」と、申し訳なさそうに差し出す姿に、母親は微笑みます。
「ありがとう。誘ってくれたおかげだよ。進んだからこそ休んだんだと思う」
友達のさりげない行動が、Aさんの心をそっと支えます。
前に進むには、時に立ち止まり、心を休めることも必要なのです。
小さな一歩の尊さ
その日の夜、Aさんが母親に言いました。
「今日は疲れちゃって行けなかったけど、明日は行けるかも…」
母親のEさんも、胸の奥に温かい希望の灯を感じました。
休むことは決して後退ではなく、ゆっくりと前に進むための準備なのです。
次回11/4・火
第8話「音楽から美術へ、少しずつ日常が戻る」
Aさんは、少しずつ教室にいる時間を増やしていきます。友達や先生の支えとともに、新しい一歩を踏み出す瞬間をお伝えします。
