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第3話 少しずつ戻る、学校への一歩

季節は少しずつ変わり、Aさんの心にも穏やかな風が吹き始めていました。
前回は、Aさんが、「好きなことを通して心の安心を取り戻した」お話でした。

ピアノを弾く時間は、Aさんにとってただの趣味ではなく、心を支える大切な居場所。
その小さな安心が、学校に戻るための第一歩になっていました。

そして今回は――

いよいよ「行こう」と思ったAさんの新たな挑戦です。
行けなかった日も、ちゃんと前に進んでいたAさんの姿をお届けします。


〜行けなくても「行こうとした自分」を認める〜


ある朝、友達のEさんからLINEが届きました。


「明日は娘(Aさん)が行くって言ったのに、やっぱりだめだった…」


Eさんは不安そうに、私に相談してきました。
Aさんは少しずつ笑顔を取り戻していたものの、学校に戻ることへの不安はまだ大きいのです。

ここで大切なのは、結果ではなく「行こうとした気持ち」に注目すること。Aさんは、行く準備をしていたのです。
それだけで十分、褒めてあげる価値があります。


小さな成功体験の大切さ

不登校の子にとって、一度に大きな前進はできません。小さな一歩一歩が自信につながるのです。

Eさんにはこう伝えました。

 「学校に行けなくても、行こうとした気持ちを認めてあげて。大切なのはその努力だから」

その言葉で、Eさんも少し安心した様子でした。
Aさんもまた、自分の気持ちを責めずに受け入れられるようになります。


信頼できる存在の力


この時期、Aさんにとって大きな支えになったのは、兄のTくんでした。
TくんはAさんと同じ感覚を持っているため、相談するだけで心が整理できます。

さらに、母親のEさんがそばで見守ることで、Aさんは自分のペースで進める安心感を得られました。

・不登校は「戻れない日」が問題ではない

・行こうとした気持ちを認めることが自信につながる

・信頼できる人(兄・友達・相談相手)がそばにいるだけで、前に進む勇気が湧く

小さな一歩一歩が積み重なり、やがて大きな前進になります。
そして、学校に戻ることだけが「正解」ではありません。

Aさんのように、自分のペースで心を回復させ、自分の道を歩み始めること――それも立派な成長の形です。

安心できる時間と、努力を認めてもらえる環境。
それが、どんな進路を選ぶにしても、子どもにとっての“前に進む力”になります。


次回(10/10・金)
第4話「小さな一歩でも、前に進む」

担任の先生に会いに行くことから始まったAさんの再登校。怖さと不安を抱える中、母親と相談しながら小さな前進を描きます。


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