第4話 小さな一歩でも、前に進む
季節が少しずつ深まり、Aさんの表情にもまた柔らかな光が戻ってきました。
前回は、学校に行こうと決意したAさんが、不安と向き合いながらも「行こうとした自分」を認められるようになったお話でした。
そして今回は――
担任の先生に会いに行くことから始まる、Aさんの新たな一歩です。
〜先生に会いに行くことから始まった再登校〜
Aさんは少しずつ笑顔を取り戻しつつありましたが、学校に戻るのはまだ怖い日々。
朝起きてきたAさんに
「今日は学校に行けそうかな…?」
Aさんの気持ちはまだ揺れています。でも、母親のEさんはこうアドバイスしました。
「まずは大きな授業に戻ることじゃなく、先生に会いに行くことから始めよう」
不登校の子にとって、大きな進歩よりも小さな成功体験が自信を生むのです。
小さな一歩の始まり
Aさんの通う中学校では、部活後や放課後に先生と会うだけでも出席日数に反映されます。
Aさんと相談して少しだけ行ってみることになりました。
その日の夕方、Aさんは制服に着替え、ドキドキしながら学校に向かいました。校門の前で立ち止まるAさんを迎えたのは、担任の先生。
「顔が見れてうれしいよ」
その言葉に、Aさんはうっすら涙を浮かべました。話せなくても、先生に会えたことが何よりの一歩です。
以前なら母親も焦り、苛立ちを見せていたかもしれません。でも今は違います。小さな一歩を一緒に喜ぶことが、Aさんの前進を支えます。
支え合う家族と友達
この時期、Aさんを支えてくれたのは兄のTくんでした。TくんはAさんと同じ感覚を持つため、困ったときの相談相手になり、安心感を与えてくれます。
ちょっとした声かけでAさんの勇気を後押ししていました。「行けるかも」という小さな気持ちを、そっと見守ることが大切です。
・不登校の子には、大きな前進より小さな一歩が重要
・「会うだけ」「挨拶だけ」でも十分な成功体験になる
・信頼できる家族や友達の存在が、安心感と勇気を生む
Aさんはこの日、学校に行くこと自体が難しい中で、勇気を振り絞って先生に会うことができました。
それは「再登校」という形にこだわらずとも、Aさんにとって確かな一歩。
小さくても、自分の力で踏み出したその一歩は、心の中で大きな意味を持つものでした。
そしてその経験が、次の前進へとつながっていきます。
次回(10/14・火)
第5話「友達との再会」
保健室で少しずつ過ごす中、仲の良い友達と再会したAさん。小さな交流が、学校生活への自信を育てます。
