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やさしいコミュニケーション連載 ~第二章 「話せる人=コミュニケーション上手」ではない

 よく話せる人を見ると、

「会話が上手でいいな」
「自分も、あれくらいすらすら話せたらいいのに」

 と思うことはありませんか?

 話題が次々に出てきて、沈黙になることもない。

 人前でも緊張せず、自信を持って話している。

 そんな姿を見ると、コミュニケーションが得意な人に見えるかもしれません。

 けれど、たくさん話せることと、コミュニケーションが上手なことは、必ずしも同じではありません。

 コミュニケーションは、自分の話を相手に聞かせることだけではないからです。

 相手が何を感じているのか。

 どんなことを話したいと思っているのか。

 自分の言葉が、相手にどのように届いているのか。

 そうしたことを確かめながら、言葉を受け渡していく。

 それが、コミュニケーションの大切な部分です。





こんなこと、ありませんか?

 人と話しているとき、沈黙になるのが怖くて、つい自分から話し続けてしまう。

相手が何かを話し始めても、

「それ、知ってる」
「自分にも似た経験があるよ」

 と、すぐに自分の話へ切り替えてしまう。

 相手の話を聞いているうちに、次に自分が何を言うかばかり考えてしまう。

 会話が終わったあとで、

「たくさん話せたから、今日はうまくいった」

 と思ったのに、相手のことをほとんど知らないままだった。

 もし心当たりがあっても、自分を責めなくて大丈夫です。

 沈黙を避けたい気持ちや、会話を盛り上げたい気持ちから、一生懸命に話していたのかもしれません。

 ただ、少しだけ視点を変えてみると、今より楽に会話ができるようになることがあります。



4コマ漫画 「たくさん話せたのに」




帆乃香のひとこと

 たくさん話せることは、悪いことではないよ。

 楽しい話題を持っていたり、自分の気持ちを言葉にできたりするのは、すてきな力だからね。

 でも、会話は一人だけでは完成しないんだ。

 自分が話したら、少し待ってみる。

 相手が話し始めたら、最後まで聞いてみる。

 相手の言葉に一つ返してから、次の話をする。

 それだけで、一方通行だった会話が、少しずつキャッチボールに変わっていくよ。

 話す量を急に減らそうとしなくても大丈夫。

 まずは、相手が話せる小さな隙間を一つ作ってみようね。

 大丈夫。一歩ずつで変われるよ♪



会話は「発表」ではなく「キャッチボール」

 自分の考えや出来事を相手に話すことは、コミュニケーションの一部です。

 けれど、それだけでは会話とは言い切れません。

 たとえば、誰かが一人で長く話し続け、もう一人がほとんど言葉を挟めない状態は、会話というよりも、発表や説明に近くなります。


 会話には、言葉の往復があります。

 自分が話す。

 相手が受け取る。

 相手が感じたことを返す。

 自分がそれを受け取る。


 この小さな往復があることで、

「自分の話を聞いてもらえた」
「相手のことを少し知ることができた」

 という感覚が生まれます。

 大切なのは、話した時間を同じにすることではありません。

 話すのが好きな人と、静かに聞くのが好きな人では、会話の量に差があることもあります。

 それでも、お互いが無理をせず、

「自分もこの場に参加できている」

と 感じられるなら、その会話にはきちんと往復があります。



話し上手より「話しやすくしてくれる人」

 本当にコミュニケーションが上手な人は、必ずしも面白い話をたくさんする人ではありません。

 相手が言葉を探しているときに、急かさず待てる人。

 相手の話に、

「それから、どうなったの?」

 と興味を向けられる人。

 話の内容だけでなく、

「うれしかったんだね」
「それは大変だったね」

 と、相手の気持ちも受け取れる人。

 自分の意見を言いながらも、

「あなたはどう思う?」

 と、相手に言葉を返せる人。


 そんな人と話すと、自分も自然に言葉が出てくることがあります。

 つまり、コミュニケーション上手とは、

 自分が上手に話せる人というより、相手も話しやすい場を作れる人

 とも言えるのです。



話しすぎてしまうのには理由がある

 話しすぎてしまう人の中には、自分ばかり目立ちたいと思っているわけではない人もたくさんいます。

 沈黙になると、相手に退屈だと思われそうで不安になる。

 何か話さなければ、嫌われてしまう気がする。

 自分のことを分かってもらいたくて、つい説明が長くなる。

 緊張していると、頭に浮かんだことを止められなくなる。

 こうした不安から、話す量が増えてしまうことがあります。

 そのため、

「話しすぎる自分はダメだ」

 と強く責めても、かえって緊張が大きくなり、さらに話し続けてしまうことがあります。

 大切なのは、自分を黙らせることではありません。

「今、沈黙が怖くなっているかもしれない」
「相手に分かってもらいたくて、説明が長くなっているな」

 と、自分の状態に気づくことです。

 気づくことができれば、ほんの少し間を取ったり、相手に質問を返したりする余裕が生まれます。



こんなふうに話してみよう

 たとえば、自分の趣味について話している場面を考えてみましょう。

💫一方通行になりやすい話し方

自分:
「最近、写真を始めたんだ。カメラも買って、先週は公園に行って、それから撮影方法も勉強していてね。レンズにもいろいろ種類があって――」

相手:
「そうなんだ」

自分:
「それで今度は夜景も撮りたくて、三脚も買おうと思ってるんだ」

 自分の話が悪いわけではありません。

 ただ、このままでは相手が参加するきっかけが少なくなります。

💫キャッチボールを意識した話し方

自分:
「最近、写真を始めたんだ。先週、公園で花を撮ってみたら、思った以上に楽しくて」

相手:
「へえ、いいね」

自分:
「ありがとう。〇〇さんは、写真を撮ることってある?」

相手:
「旅行に行ったときは撮るよ」

自分:
「旅行の写真、あとで見返すのも楽しいよね。最近どこかへ行った?」


 このように、自分の話を短く区切り、相手に質問を返すと、会話に往復が生まれます。

 質問が思いつかないときは、

「〇〇さんはどう?」
「似たことってある?」
「最近はどうしてる?」

 という短い言葉でも大丈夫です。



相手が話し始めたら、すぐ自分の話に戻さない

 相手が話し始めたとき、

「あ、それ自分も知ってる」
「自分の場合はね」

 と、すぐに自分の話へ戻りたくなることがあります。

 似た経験を伝えれば、共感になると思うからです。

 けれど、相手の話を受け取る前に自分の経験を出すと、話題を奪われたように感じさせてしまうことがあります。

 そんなときは、まず一つだけ、相手の話に返してみましょう。

相手:
「旅行先で大雨に降られて大変だったんだ」

 すぐに自分の話をするなら、

「自分も前に大雨で大変だったよ」

 となります。

 その前に、

「それは大変だったね。予定は大丈夫だった?」

 と相手へ返す。

 相手が話し終えたあとで、

「実は自分も、似たことがあってね」

 と続ければ、自分の経験も自然に共有できます。

 相手の話を受け取ってから、自分の話を渡す。

 これを意識するだけでも、会話の印象は大きく変わります。



会話の割合を気にしすぎなくてもいい

「相手と自分が半分ずつ話さなければいけない」

 と思うと、かえって会話が不自然になることがあります。

 相手が話したい日もあれば、自分が話したい日もあります。

 相談を受けているときは、相手が長く話すこともあるでしょう。

 大切なのは、正確な割合ではありません。

 ときどき、次のことを確かめてみましょう。

  • 相手が話そうとしたとき、遮っていなかったか

  • 自分の話に対して、相手は無理なく反応できていたか

  • 相手について、何か一つ知ることができたか

  • 相手の表情や反応を見ながら話せていたか

  • 自分も我慢しすぎずに話せていたか

 すべてできなくても大丈夫です。

 一つでも気づけたら、そこから会話は少しずつ変わっていきます。



今日の小さな実践ミッション

 今日、誰かと話す機会があったら、自分が一つ話したあとに、相手へ一つ返してみましょう。

 たとえば、

「あなたはどう?」
「最近はどうしてる?」
「それって、どんな感じだった?」
「もう少し聞いてもいい?」

 という短い質問で十分です。

 質問が難しい場合は、相手が話し終わるまで三秒だけ待ってみるのも立派な実践です。

 沈黙をすぐに埋めようとせず、

「まだ話したいことがあるかもしれない」

と少し待ってみましょう。



振り返ってみよう

 会話が終わったあとに、次のことを考えてみてください。

1.今日は、自分と相手の間に言葉の往復がありましたか?
2.相手について、何か新しく知ったことはありましたか?
3.相手が話している間、自分は何を考えていましたか?
4.自分の話を短く区切ることはできましたか?
5.次は、どんな一言を相手に返してみたいですか?

 うまくできなかったとしても、失敗ではありません。

「今日は自分の話が多かったかもしれない」

 と気づけたことが、次の会話につながります。

 話さないように我慢するのではなく、相手の言葉が入る小さな余白を作る。

 その繰り返しで、会話は一人で頑張るものではなくなっていきます。



次回予告

 次回は、

「自分のコミュニケーションの癖を知ろう」

というテーマを扱います。

緊張して話せなくなる人。

沈黙が怖くて、つい話し続けてしまう人。

相手の話を自分の話に変えてしまう人。

聞き役になりすぎて、あとから疲れてしまう人。

同じ「会話が苦手」という悩みでも、困り方は人によって違います。

次回は、自分を責めたり、一つのタイプに決めつけたりするのではなく、

「自分はどんな場面で、どんな反応をしやすいんだろう?」

という視点から、コミュニケーションの癖を帆乃香と一緒に見つけていきましょう。



 最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。

 ご意見、ご感想、フィードバックなどをコメントいただけると嬉しいです(*´ω`*)




あとがき

ここは、
「迷いの中にいるあなたが、安心して戻ってこられる場所」
としてつくりました。

焦らなくていい。
比べなくていい。
あなたのペースで、大丈夫です。

心が整えば、人生はまた動き出します。

その一歩に、静かに寄り添えたら嬉しいです。


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最後までお読みくださりありがとうございました(´ω`)

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