やさしいコミュニケーション連載 ~第三章 自分のコミュニケーションの癖を知ろう
人と話していて、うまくいかなかったと感じたとき、
「自分はコミュ障だから」
「やっぱり会話が苦手なんだ」
と、ひとまとめにしてしまうことがあります。
けれど、コミュニケーションで困る理由は、人によって同じではありません。
緊張して言葉が出なくなる人もいれば、沈黙が怖くて話し続けてしまう人もいます。
相手に嫌われたくなくて、自分の意見を言えなくなる人もいます。
一生懸命に共感しようとして、相手の話を自分の話に変えてしまう人もいるでしょう。
大切なのは、
「自分はコミュニケーションが苦手だ」
と決めつけることではありません。
自分は、どんな場面で、どんな反応をしやすいのか。
それを少しずつ知っていくことです。
こんなこと、ありませんか?
人と話す前から、
「何を話せばいいんだろう」
「変なことを言ったらどうしよう」
と考えすぎてしまう。
相手が話している間も、内容より、
「次は何を言えばいい?」
「ちゃんと返事をしなきゃ」
と、自分の返答ばかり考えてしまう。
沈黙になると落ち着かず、とにかく何か話そうとしてしまう。
自分の経験と似た話が出ると、
「自分の場合はね」
と、すぐに話題を引き取ってしまう。
相手の考えに納得できなくても、嫌われるのが怖くて、
「分かる」
「そうだよね」
と合わせてしまう。
家に帰ってから、
「あんなことを言わなければよかった」
「もっと違う言い方があったかもしれない」
と、会話を何度も思い返してしまう。
どれか一つでも当てはまったからといって、悪いわけではありません。
どの反応にも、その人なりの理由があります。
まずは、自分を責めずに、
「自分には、こんな傾向があるのかもしれない」
と見てみましょう。
4コマ漫画 「同じ『会話が苦手』でも」

帆乃香のひとこと
「コミュニケーションが苦手」と言っても、みんなが同じことで困っているわけではないんだ。
話せなくなる人もいれば、反対に話しすぎてしまう人もいる。
相手に合わせすぎる人もいれば、自分の話に夢中になってしまう人もいるよ。
だから、誰かに効果があった方法が、そのまま自分にも合うとは限らないんだ。
まずは、自分がどんなときに困りやすいのかを見つけてみよう。
原因が分かれば、自分に合った小さな工夫も見つけやすくなるからね。
大丈夫。一歩ずつで変われるよ♪
コミュニケーションの癖は、性格のすべてではない
ここで紹介するタイプは、人を分類して決めつけるためのものではありません。
「あなたはこのタイプだから、ずっと変わらない」
という話でもありません。
人は、相手や場所によって、話し方が変わります。
家族とは自然に話せるのに、職場では緊張する人。
一対一なら話せるのに、大人数では黙ってしまう人。
普段は聞き役なのに、好きな話題になると止まらなくなる人。
疲れている日だけ、相手の話を最後まで聞けなくなる人。
そのため、一つのタイプだけに当てはまるとは限りません。
場面によって、いくつかの傾向が現れることもあります。
タイプを知る目的は、
「自分はこういう人間だ」
と決めることではなく、
「こういう場面では、この反応が出やすいんだな」
と気づくことです。
あなたはどの傾向に近い?
ここから、よくあるコミュニケーションの傾向を紹介します。
自分に近いものがあるか、考えながら読んでみてください。
1.緊張して話せなくなるタイプ
初対面の人や、あまり親しくない人の前で、言葉が出なくなります。
頭の中ではいろいろ考えているのに、実際には、
「はい」
「そうですね」
と、短い返事だけになってしまうことがあります。
会話が終わったあとに、
「あれを話せばよかった」
と思うことも多いでしょう。
このタイプの人は、話題がないのではなく、失敗しないよう慎重になりすぎていることがあります。
ちなみに私はこのタイプで、話したいことがあっても、肝心の言葉や単語がその場で出てこないことが多いです。
2.考えすぎて言葉が出なくなるタイプ
相手の質問に対して、
「どう答えれば正解なんだろう」
「この言い方では誤解されるかもしれない」
と考えすぎてしまいます。
丁寧に答えようとするほど、返事が遅れたり、何も言えなくなったりすることがあります。
真面目で、相手を不快にさせたくない気持ちが強い人にも見られる傾向です。
私も以前は相手の言葉や質問に対し、思いついた言葉や回答があっても、
「これって今の話題に沿ってるだろうか?」
「相手が求めている答えになっているだろうか」
と考えすぎてしまい、自分の考えを話せませんでした。
3.沈黙が怖くて話し続けるタイプ
会話が止まると、
「つまらない人だと思われそう」
「気まずくなったらどうしよう」
と不安になります。
そのため、相手が話す前に次の話題を出したり、説明を長く続けたりしま す。
本人は会話を盛り上げようとしているのですが、相手には話す隙がないこともあります。
4.相手の話を自分の話に変えてしまうタイプ
相手が経験を話すと、
「それ、自分もある」
「自分の場合はもっと大変だった」
と、すぐに自分の話を始めます。
共感や親しみを伝えたい気持ちから出ることもあります。
けれど、相手の話を十分に受け取る前に切り替えると、
「話を奪われた」
と感じさせてしまうことがあります。
話題が変わる前に自分の経験を話したい気持ちはわかりますが、
まずは相手の話を最後まで聴きましょう。
5.つい比較したり、張り合ったりするタイプ
相手が何かを話すと、
「自分のほうが大変だった」
「それくらいなら、まだいいよ」
「自分はもっとできる」
と返してしまいます。
本人にはマウントを取る意識がなくても、会話が苦労比べや優劣の競争になってしまうことがあります。
自分のことも認めてほしい気持ちや、自信のなさが隠れている場合もあります。
6.聞き役になりすぎるタイプ
相手の話は丁寧に聞けますが、自分のことをほとんど話しません。
相談されることが多く、
「聞いてあげなければ」
「途中で断ったら悪い」
と思って、長時間付き合ってしまうこともあります。
相手には信頼されやすい一方で、
自分だけが疲れてしまうことがあります。
7.相手の顔色を読みすぎるタイプ
相手が少し黙ったり、表情が変わったりすると、
「何か悪いことを言った?」
「嫌われたかもしれない」
と不安になります。
本当は違う意見を持っていても
相手に合わせてしまいます。
人間関係を大切にする力がある一方で
自分の気持ちを後回しにしやすいタイプです。
複数の傾向があっても大丈夫
読んでいるうちに、
「どれも少しずつ当てはまる」
と思った人もいるかもしれません。
それは、おかしなことではありません。
たとえば、初対面では緊張して話せないのに、
慣れてくると話しすぎる人もいます。
(私はこのタイプです)
職場では相手に合わせすぎるのに、
家族には自分の話を続けてしまうこともあります。
コミュニケーションの癖は、固定されたものではありません。
相手との関係、場所、疲れ、心の余裕によって変わります。
大切なのは、一つのタイプに自分を押し込めることではなく、
「この場面では、この傾向が出やすい」
と気づくことです。
ここから先について
ここまでは、自分のコミュニケーションの傾向に気づくための内容を紹介しました。
ここからは、それぞれのタイプについて、
どうして、その反応が起こるのか
どんな小さな工夫ができるのか
実際の会話で使える言葉
タイプ別の実践ミッション
を、もう少し詳しく見ていきます。
自分に近いタイプだけを読むのでも大丈夫です。
また、身近な人との関わりを考えるときに、
ほかのタイプを読んでみてもいいでしょう。
相手を決めつけるためではなく、
自分や相手の反応を少しやさしく理解するために使ってくださいね。
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