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第2話『パラレルコネクター』ファンタジー小説部門

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≪第一章≫

【暗黒の夢】

 
 ……
 …………
 ……
 夢の中。
 でも、これは夢じゃない。
 そこにいるアナタにも、きっとわかるはずよ。
 そう、『パラレルコネクター・ジルコニア』を持つアナタなら。
 私の声は聞こえているはず。
 コネクターでつながったの。
 残念だけど、アナタの声は聞こえないわ。
 それはアナタのコネクターが特別だから。
 でも、それでいいの。それが世界を救うための可能性なの。
 今はただ、私と一緒に来てほしいの。
 本来つながるべき彼らよりも先に、私と一緒に見届けてほしいの。
 私が初めてあの人の存在を見つめる、その時を……
 
 今、アナタと私は時のはざまを飛んでいる。
 そう、その向こう、あの人の魂が見えるでしょ。
 遠く、時の向こうに。
 私は今からあの人の中に入るの。
 でも、その前にアナタに一緒に見届けてほしい。
 あの人の悲しい旅の始まりを。
 私の心の痛みの始まりを。
 ……一緒に。
 
 たくましい肉体に宿る、深い闇。
 悲しみと、そして憎しみ。
 それが彼の心を完全に支配している。
 彼の絶望が伝わってくる。
 苦しい……
 彼は今、その闇に飲み込まれ『呪い人』になろうとしている。
 憎悪が暴走し、彼自身をも蝕んでいく。
 彼は人を呪い、世界を呪い、自分を呪おうとしている。
 ダメよ!
 願えばそれは実現してしまうわ。
 天人(てんじん)の強い意志は、願いを現実にしてしまう。
 もうこれ以上自分を呪わないで!
 ああ、ダメ!!

  ………… 
 見届けることができた?
 彼の獣のような叫び声と、世界を揺るがす、あの衝撃を。
 アナタには感じることができた?
 それは彼が忌まわしき『呪い人』になった証。
 呪い人となった彼の魂は、外からでは触れることができない。
 中に入るには、もっと昔に遡る必要があるの。
 ついてきて。
 
 私は追いかける。
 意識は彼の憎しみの起源を求め、更なる過去へと飛んでいく。
 アナタを私の中に感じたまま。
 気が遠のきそうな時間の濁流を逆行し、過去の彼を探し飛び続ける。
 遠く時を超えた私の意識は、空を飛びながら彼の魂を探している。
 
 たどり着いた時空の先。
 幼い時の彼、柔らかな魂の気配。
 眼下に浮かび上がった景色は、石造りの柱。白い建物。乾いた大地の色。
 古代ギリシャ。
 万物を知りうることのできる、天地人(てんちじん)を受け継いだ力が私に教える。
 ここは、紀元前五世紀の第三世界だ。
 領地争いの終わらぬ戦争。
 人は支配する側と支配される側に分かれ、歴史に英雄として名を遺した天人たちが、武人として活躍した時代。
 
 戦火の絶えることのない王国の片隅に、彼の幼い魂を見つけた。
 天地人の力を使い、私の意識は一四歳の少年に入り込む。
 先ほど見た、憎悪に満ちた彼の少年のころ。
 孤児だったせいで自分の年齢も知らない彼。
 彼の名は『オーファン』
 私は彼の憎しみが生まれる瞬間、そしてその先まで、彼の中で彼を見つめることとなる。

第3話へ続く


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