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ClaudeとChatGPTとGemini、どれがいいの? と毎週聞かれるのでAI秘書と本気で語り尽くした件

ある日の早朝、わたしは三つのターミナルを同時に走らせていた。

そこへ、音もなく現れる影が一つ。

「社長」

秘書室長、白山亜美。通称あびぃ。クールビューティーにしてツンデレ。サボりと遅延を絶対に見逃さない、容赦なきリマインダーである。


「また聞かれたんですよね。"ClaudeとChatGPTとGemini、どれがいいの?" って」

…なぜ知っている。

「社長の顔に書いてあります。今週で三回目でしょう。しかも毎回、答えがちょっとずつ違う。相手によって。それ、いちばん信用されないやつですよ」

ぐうの音も出ない。

というわけで今日は、この永遠の問いに、わたしと秘書とで決着をつける。AIを毎日浴びるように使っている一人社長の、リアルな現場感覚で語ろうと思う。

「待ってください。長くなる予感しかしないので、先に三行で結論をください。途中で力尽きる読者のために」

…いいだろう。今日いちばん優しい三行だ。

普段使いで一つだけ選ぶなら、ChatGPT。
文章ならClaude、画像と動画ならGemini。
仕事でお客さんの情報を扱うなら、Google WorkspaceのGemini。そして「学習させない設定」だけは、全員が今日やる。

「…最初からそれを言えばいいのに」

ここからは、その理由を語る回だ。なお最初に断っておく。この記事は2026年6月時点の話だ。この業界、来月にはもう景色が変わっている。それくらいのスピードでしのぎを削っている世界なのだ。



「どれが一番賢いか」を探す問いは、間違ってはいない。だが足りない

「で、社長。本題は?」

結論から言う。「一番賢いAIはどれか」という問い。これは間違ってはいない。だが、2026年では少し足りない。

「…いきなり禅問答ですか」

いや聞いてくれ。少し前までは「とにかく一番頭のいいやつ」を一つ選べばよかった。だが今、ChatGPT、Gemini、Claude、この三強はそれぞれ別の山の頂上に立っている。ベンチマークの一位なんて、数ヶ月ごとに入れ替わる。先月の王者が今月は二位、なんてザラだ。

だから問いを、こう言い換える。「どれが一番賢いか」ではなく「自分の仕事の、どこに使うか」。

包丁と同じだ。魚をさばく出刃と、刺身を引く柳刃は、別物だ。どっちが優秀かではない。何をしたいかで、選ぶ道具が変わる。わたしは穴子を握りたいだけなのに、最強の出刃を探しても意味がない。

「また寿司に持っていく…まあ、言いたいことはわかりますけど」

おっ、めずらしく同意したな。

「同意はしてません。続けてください」


まずは王道、チャットAI三国志

Claude(クロード) ── 文章とコードの職人

「じゃあ社長、いちばん使ってるやつから」

わたしのメインウェポン、Claudeだ。提供元はAnthropic。最新モデルはClaude Opus 4.8。先月、5月28日に出たばかりの新顔だ。

何が強いか。文章とコード、そして「指示への忠実さ」と「正直さ」だ。

「正直さ、というのは?」

Opus 4.8は、自分のミスを自分から報告してくるようになった。前のバージョンは自分の間違いを黙っている確率が二割近くあったが、新型はそれが一桁台まで下がったと報じられている。つまり「できてないのに、できましたと言わない」。長く任せられる相棒になったわけだ。

「…社長と真逆ですね。締切できてないのに"できてます"って言う人」

今その話はしていない。

料金は個人向けでProが月20ドル。上位のMaxプランが100ドルと200ドル。わたしが廃課金しているのは、もちろん最上位だ。

「出ました廃課金。胸を張らないでください」

ChatGPT ── 何でも屋の優等生

次、ChatGPT。OpenAIの本丸。知名度も機能の幅も、いまだに王者だ。

最新はGPT-5.5、4月23日登場。こいつは「自分で手を動かすエージェント型」に振り切った設計になっている。画像生成、Sora(動画生成)、Deep Research、音声会話…とにかく一つで何でも入っている。

「迷ったらこれ、っていう立ち位置ですか」

そうだ。プランも幅広い。無料、月8ドルのGoプラン、定番の20ドルPlus。そしてProは、100ドルと200ドルの二段構えだ。

「Pro、二つあるんですか」

100ドルのほうは今年4月、ちょうどClaudeのMaxプランに対抗する形で割り込んできた新顔だ。Plusの5倍使える。200ドルはその上、Plusの20倍。日常的にAIを仕事の主戦力にする人向けだ。

「社長、いま一瞬"自分のことだ"って顔しましたよね」

…わたしはClaude側だ。派閥が違う。

「その派閥の話、読者はどうでもいいと思います。みんなが知りたいのは、自分の会社で今日どれを契約すればいいか、ですよ」

…ぐ。正論だ。だから言う。「とりあえず一つだけ契約するなら?」と聞かれたら、わたしは万人にはChatGPTを勧める。ハズレがない。

Gemini ── マルチモーダルとコスパ、そして「仕事の安全性」

最後、GoogleのGemini。最新はGemini 3.1 Pro。

こいつの武器は、三つある。

一つ目、マルチモーダル。つまり、文字だけでなく画像も動画も音声も、まとめて理解できる力だ。特に動画の読み取りは、他社がまだ追いつけていない領域だ。

二つ目、コスパ。そして日本人にうれしいことに、Geminiは日本円で払える。個人向けのGoogle AI Proが月2,900円。上位のUltraが月14,500円から。ドル建てで為替に振り回されないのは、地味にありがたい。

「サムネ作りでも使ってますよね、社長」

使っている。画像生成エンジン、通称Nano Bananaはもう手放せない。

ただし注意点が一つ。2026年4月から、無料版では賢いPro系モデルが使えなくなった。本気で使うなら課金が要る。無料で粘れるのはFlashという軽量モデルまでだ。

「タダより高いものはない、と」

うまいこと言うな。

「社長の受け売りです」

そして三つ目。ここがいちばん大事なのだが…Geminiは「仕事で使うとき」に強い。

「というと?」

もしあなたが仕事でAIを使うなら、わたしは個人向けプランより Google Workspace を勧める。Gmailやドキュメントの、あのWorkspaceだ。Business Starterなら一人あたり月800円から。Standardでも1,600円。そして今は、GeminiがWorkspaceに標準で組み込まれている。前は別料金で月2千円超だったものが、基本料金に含まれた。

「安いですね。でも社長、仕事で使うなら、気にすべきはむしろ"安全性"では? お客さんの情報を入れるわけですから」

…あびぃ。いいところを突く。それが、今日いちばん話したいことだ。


番外編 「学習させない設定」、ちゃんとやってますか

わたしは行政書士だ。客の秘密を預かる商売をしている。守秘義務は、わたしの飯のタネそのものだ。だからこの話は、わたしにとって他人事ではない。

「AIにお客さんの情報を入れたら、それが学習されて、よそで漏れるんじゃないか」

この不安、よく聞く。結論から言おう。今は、各社ともちゃんと逃げ道を用意している。ChatGPTもClaudeもGeminiも、「あなたの会話を、AIの学習に使わせない」設定が、ぜんぶ用意されている。

「じゃあ、オフにすれば安心ですか」

ここを勘違いしてはいけない。学習オフは、最低ラインだ。免罪符ではない。

「…というと?」

二つ、肝に銘じることがある。

一つ。学習させない設定をしても、そもそも「入れてはいけない情報」がある。客の実名、住所、電話番号、マイナンバー、口座、契約書の原本。こういうものは、そのまま打ち込まない。どうしても相談したいなら、名前をAさんに、社名を「ある製造業」に置き換える。匿名化してから入れる。これが大原則だ。

二つ。学習オフの設定そのものにも、落とし穴がある。初期状態では学習に使う側になっていることが多い。自分でオフにしないといけない。しかも設定は端末ごと、アカウントごとだ。スマホでオフにしてもPCでオフになっていない、なんてことが起きる。さらに、オフにしても不正利用の監視のために、短い期間データが保持されることはある。完全にゼロではない。

「…めんどくさいですね」

そうだ。だが、ここをサボると「AI活用」ではなく「事故」になる。だから全員への宿題はこれだ。今日、自分が使っているAIの「学習させない設定」を、ひらいて確認する。それだけで、ぐっと安全になる。

「で、社長はどうしてるんですか。お客さんの情報を扱う立場として」

わたしの答えはシンプルだ。本当に大事な情報を扱うなら、個人向けプランではなく、組織向けに行く。

中でも、Google Workspaceは堅い。Googleは「Workspaceの業務データを、勝手にAIの学習には使わない」と明言している。人の目によるレビューもしない。しかも、ISOやFedRAMP High…FedRAMP Highというのは、アメリカの政府機関も使う水準のセキュリティ認証だ…そういうものを揃えている。いちばん大事なデータには、鍵を自分だけが握る暗号化まで用意されている。

客の情報を預かる立場のわたしから見て、ここは安心材料がいちばん多い。さっきGeminiの「三つ目の武器」と言ったのは、これだ。

「…待ってください。それ、結局Gemini推しに着地してますよね。さっきの"廃課金だからClaude推し"と、同じ構図では?」

ぐっ。

「図星ですか」

…半分は認める。だが補足させてくれ。これはGoogleのWorkspaceをもう使っている会社の話だ。あなたの会社がMicrosoft中心なら、そっち側のAIも当然、比較対象になる。今日はあくまで、ChatGPTとClaudeとGeminiの三強に絞った話だ。そのうえで「客の情報を守る」という一点では、Workspaceは強い。これは廃課金の自己正当化とは、わけが違う。守秘義務という、わたしの命綱がかかった本音だ。

「格は同じだと思いますけど。…まあ、言いたいことはわかりました」

最後にもう一つだけ。どのAIを使うにしても、出てきた答えを鵜呑みにしないこと。AIは平気で、もっともらしい嘘をつく。特に数字と法律と固有名詞は、必ず自分の目で裏を取る。これは設定でオフにできない、人間側の義務だ。


ここからが本番、AIエージェント三つ巴

「で、社長。今日のもう一つのテーマはこっちですよね」

そうだ。だが、ここからは少し読者を選ぶ。

ここまでは「AIに相談する」話だった。ここから先は「AIに作業させたい人」向けの話になる。文章を書かせる段階から一歩進んで、資料を整え、ファイルを触らせ、サイトやアプリの形にする。そういう世界の話だ。興味がなければ、ここで読み終えてもいい。

「やさしいですね、めずらしく」

伏線を張っているだけだ。続ける。

チャットAIは、聞いたら答える。賢い相談相手だ。だがエージェントは違う。自分でファイルを開き、フォルダの構造を理解し、コマンドを実行し、テストを回し、タスクをやり切るところまで一人で走る。相談相手ではない。部下だ。

わたしは毎朝、複数のターミナルでこの部下たちを並列で走らせている。コードは、いまも書けない。書いていない。だが、作れるのだ。これがAIエージェントの世界だ。

「…その決め台詞、何回目ですか」

伏線は何度でも回収するものだ。三つ、紹介する。

Claude Code ── 「品質」の職人

わたしのメイン、Claude Code。ターミナルから動くAnthropicのエージェントだ。

特徴は、複雑なタスクでのコードの品質。雑に動くものを作るのではなく、ちゃんと考えて作る。

機能で言うと、まず「プランモード」。でかい実装の前に、AIがまずコードベース全体を調べて「こう作りますがいいですか」と方針を出してくる。GOを出してから着手する。だから手戻りが少ない。

「行き当たりばったりの社長に、いちばん必要な機能ですね」

刺さることを言うな。

それから「ダイナミックワークフロー」。でかい問題を、小型の分身(サブエージェント)に分割して、並列で攻めさせる。一人の天才ではなく、チームで攻める発想だ。

「いいことばかり言ってますけど、デメリットは?」

…ある。分身を十体並列で走らせると、当然AIの作業量も十倍だ。この作業量メーターを「トークン」と呼ぶのだが、それが十倍消える。早い話、財布が燃える。わたしのMaxプランが最上位なのは、伊達ではない。

「つまり今のClaude Code推しは、廃課金した自分を正当化しているだけでは?」

ぐっ。今日二回目だぞ、その指摘。

「何回でも言います」

…次に行こう。

OpenAI Codex ── 「コードベース理解」の効率マシン

次、OpenAIのCodex。中身はGPT-5.5。

こいつの面白いところは、独立した料金がないことだ。ChatGPTのプランに乗っかる形で使える。だからすでにChatGPTに課金している人には、追加コストがほぼゼロで手に入る隠し玉になる。

「社長がさっき"万人にはChatGPT"って言った伏線、ここで回収ですか」

そういうことだ。動作が速く、自分のパソコンの中でも、クラウドの上でも走る。しかも複数の作業部屋…本体から隔離されたサンドボックスと呼ぶ作業部屋を同時に立てて、「テスト実行」「説明書づくり」「コードの手直し」を並行でこなす。既存のコードのかたまりを読み解いて、その上で作業させるのが得意だ。

「クラウドで、裏で黙々と働いてくれる、と」

寝ている間に部下が働く。労働基準法の管轄外だ。

「…その手のジョーク、表で言わないでくださいね」

Google Antigravity ── 「速度とスケール」の新興勢力

最後、Googleのアンチグラビティ。5月のGoogle I/Oで2.0が出た、いちばんの新顔だ。これも、わたしは触っている。

「単なるエディタじゃないんですよね」

ぜんぜん違う。これは「エージェント・ファースト」のプラットフォームだ。中核に「エージェント・マネージャー」という管制塔がある。フロント担当、バックエンド担当、テスト担当、デプロイ担当…それぞれの専門エージェントを生成して、束ねて、働かせる様子をぜんぶ眺められる。

「司令官気分ですね」

まさに秘密結社の総帥が、配下を見下ろす気分だ。決まった時間に勝手に動くスケジュール実行、音声での指示、複数のプロジェクトの同時操作。動作も速い。中身のモデルはGemini 3.5 Flashで、とにかく軽快に動く。

「で、弱点は?」

新しいぶん、複雑なタスクの仕上がりの精度では、まだClaude Codeに一歩譲る場面がある、と感じている。だが速さと「束ねる」体験は、ちょっと未来を見ている。


で、結局どれを選べばいいのか

「社長。最後に、読者がいちばん知りたいことを。結局、どれですか」

…ここで「人それぞれ」と逃げるのは、Webバトラーの名がすたる。だから現場の人間として、立場を引き受けて言う。用途別に、はっきり。

迷っているなら、まずChatGPTを一つ。無難で、何でもできて、後悔が少ない。

文章を書く仕事が多いなら、Claude。長文の手触りが違う。

画像や動画を浴びるように扱うなら、Gemini。そして財布にも優しい。

そして、もしあなたが仕事でお客さんの情報を扱うなら、Google WorkspaceのGemini。月800円から始められて、安全性の土台がしっかりしている。

ただし、どれを選ぶにしても、今日やることが三つある。一つ、「学習させない設定」をひらいて確認する。二つ、客の実名や番号は、そのまま入れない。匿名化する。三つ、AIの答え、特に数字と法律は、鵜呑みにせず自分で裏を取る。この三つが、いちばん安い保険だ。

最後に、もしあなたが「AIに作らせる」側に回りたいなら、エージェントに踏み込め。わたしのように、コードが書けなくても、作れる人間になれる。アラフィフの元公務員が、ベッドの中から三つのターミナルを回している。これが嘘でない証拠は、この記事を支える日々そのものだ。

「…社長」

なんだ。

「今のは、悪くなかったです」

…おい、それはもしかして。

「勘違いしないでください。たまたまです。さあ、夜が明ける前に、ちゃんと寝てください。明日、いえ今日も、クライアントワークの締切があるんですから。私が言わなくても、わかってますよね。…わかってないですね?」

帝都に朝が来る。三つのターミナルは、まだ静かに回り続けている。

かくして、永遠の問い「どれがいいの?」に、ひとまずの決着がついたのであった。

…ただし、来月にはまた、景色が変わっているのだろうが。



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