野生生物の宝庫マダガスカルを巡る旅 ⑥
2025/Aug./9 SAT.
一昨日来た道をひたすら戻る
遠近から様々な音が聞こえる夜。そして、私が寝ている地点の半径10m以内にニワトリがいるらしく、こいつがコケコッコーとやりだしたら、起きるしかない。まだ、アラームが鳴る前の5:00だ。外のトイレに行く。上空を見上げると、目の悪い私が眼鏡を掛けていなくても見える程、無数の星空が広がっている。そして、真っ暗な部屋に戻り、荷物の整理をし、出掛ける準備をする。
今日は3日間のツアーの最終日で、基本、モロンダバまで来た道を戻る日。 このベコパカの村にはまだ来たばかりという感じだが、もうここを離れなければならない。

ようやく東の空が白み始めた6:00に村のメインストリートに出てみる。しばらくするとドライバーのBertinさんが私を呼びに来た。そして、反対側の敷地の中に停まっていた見覚えのある4WD車に荷物を載せて乗り込み、いざ出発。この時間に出発しないと3日目のプランに支障をきたすらしい。いや、マダガスカル人の朝は早い。
外がまだ暗い中を進む。ベコパカ村のすぐ横を流れる川渡りから始まる本日の移動。ただ、まだ15分も走っていないのに、渡河地点でBertinさんのコーヒーブレイクとなった。そこで、私はカメラを持って車を降りる。ちょうど朝靄が出ており、川岸は幻想的な雰囲気で、ちょうど日の出の時間とも重なって美しい。

車に戻るとBertinさんが"ここからシスターを乗せて行っていいか?"とこの車の借主である私に聞いてきた。"どうせ後部座席は空いているのでどうぞ"。3人を乗せた車はそのままイカダとゆうべきフェリーに乗り込む。このマナンブル川は相変わらず濁っており、アフリカ感が凄い。そして、ここを手作り感溢れるいかだフェリーで渡ると更にアフリカ感が増す。一昨日と同じくなぜだかエンジンを使わずにこのフェリーは竹竿を使って手漕ぎで動かす。そして、うちの車1台のみを載せたフェリーはたった5分程でこの朝霧漂う河を渡り終えた。
渡り終えて私の定位置となった車の助手席に乗り込むと、後部座席にもう1人若い女性が増え2名になっている。まぁ、気にしないで行こう。ここから始まるのはおなじみのオフロードドライブ。本当に来た道をそのまんま戻るので特に新鮮な発見は無い訳だが、車窓からこのマダガスカルの乾いた大地を見るのは悪くはない。
この道中はデジタル・デトックスタイム。携帯電話の電波が全く届かないからスマホも触れない。仮に電波があったとしても、相変わらず道はガタガタ、車はグワングワン揺れるので、小さい画面なんて見ていられない。また、今日も早起きだったので眠いのだが、この車内では寝たくても寝れない。いかんせんマダガスカルの道路は酷い。ほんと、ボッコボッコの酷い道である。当然、スピードは出せない…
一方、後部座席に若い女性達が増えたから、車内はマダガスカル・ミュージックで盛り上がる。カーAVシステムに接続したUSBメモリー内に音楽、ミュージックビデオがたっぷり入っている様で、これがこの車内の最大の娯楽。ドライバーのBertinさんもカラオケ状態で歌っている。

9:00前、行きにも寄った場所でコーヒーブレイク。このスポットにはたくさんの他の車も止まっており、どうやらこの街道のサービスエリアと言うべき存在であろう。ただ、ここを含めこの道中にトイレなんて設備はないので、この移動中のトイレは野でする事になる。ここでも、いわゆる青空トイレ。
10分程の休憩の後、再出発。朝は少し涼しいかなぁという感じだったが、太陽が昇ると気温がグングン上昇。暑いので窓を開けたいのだが、特に今日は後部座席に乗客がいるので、酷い土埃を考えると開けられない。
相変わらずの悪路で車は前後左右に揺れながら進む。この土砂でできた道をよく見ていると、意外な事に、いわゆる暗渠部分には立派なコンクリート製の小橋が架けられている。乾季の今はそこにほとんど水がないのだが、雨季はこれらがないと通れなくなるのだろう。ただ、これらがある場所ではスピードを落とさねばならない。橋はコンクリート製なので削られないが、車が同じ所ばかりを通るのでその前後の土の部分は削れて大きな段差ができてしまい、止まるぐらいまでスピードを落とさねばならないのだ。そんな場所を乗り越える際も、ドライバーはタイヤの位置を気にしながら、なるべくショックを最小限にする様、運転していく。

ただ、この車は他の車に比べて遅い。Bertinさんは慎重なタイプの様で、後続の車に抜かれる事が多い。そして、前に車が出ると凄い砂埃が舞う。このため、昨夕、私がプチ・ツインギーに行っている間に洗車したばかりの車が、またまた砂まみれになっていく。
南下して行くと、チラホラバオバブの木が見え始め、それが増えていく。やはり、この乾いた荒野にまるで異世界から来た怪物の様に生えるこの木はインパクトがある。ついつい、車窓越しだが、カメラのシャッターを切ってしまう。

ベロ村と渡河
そして、ようやく、10:50過ぎに多くの人の営みがあるベロ村に差し掛かった。行きと同じ様にここでランチタイムを取ってくれるのかと思いきや"Ten minutes"と言われる。たった10分??さすがにそれだとローカル・レストランに入って食べている時間がない。行きに昼をスキップしたから、私はお昼を食べない人間だと思われているのだろうか?いや、今日は朝食も食べてないから、お腹がすいているのだけど。ただ、Bertinさんとは簡単な英単語でのコミュニケーションのみなので、複雑な会話をする事はできない。
仕方なく、この村の通りを歩み出す。するとこの土埃の舞う通りには食べ物を売っている露店が並んでいる。気になるので覗いてみる。油物が多そうだが、どれも食欲をそそる物ばかり。やっぱりなんだか屋台飯って惹かれるもんである。一応、衛生には気を使ってあり、ハエが飛び交う場所なので、蝿帳の中に入っている物を見せてもらうと、芋揚げである。アフリカの芋と言えばキャッサバ。タピオカの原料として知られているキャッサバだが、それをスライスした物を横で揚げている。値段を聞くとなんと500アリアリ(約17円)。一枚、もらって食べる。熱々でうまい。味はシンプルで、サツマイモの味を薄くしたような感じ。揚げたてということもあるのか、想像以上に美味しい。

ただ、一枚では物足りない。そこで隣の露店を覗いてみる。そこには透明な保温ケースがあり、中には数種類の料理が並んでいる。こういう場所には喜んで来る私だが、どうしても食に関してはつくづく保守的な私。そのため、この中でも一番無難そうな物を選ぶ。地元ではどう呼ばれているかは知らないが、見た目はどうみてもサータアンダギー。これも400アリアリ(約13円)と激安だ。それを買って食べると想像通りの味。間違いない。更にまだなんか食べたい感じだが、もう絶対に10分は過ぎているので諦める。
車の所に戻ると、後部座席の女性達はもういなくなっている。このベロ村まで乗せてきただけなんだ。また、おじさん二人に戻った車内は静かになり、移動再開。少し進むと本日二度目の渡河地点に到着した。ここには時刻表などはなく、車が満杯になったら出発するシステム。正午近くのフェリー乗り場はこれからツィンギーに向かう車と帰る車で混み合っており、一気に5台集まり、ほぼ待ち時間なく、急坂道を下り、不安定な2本の鉄梯子を使ってイカダの上に移動する。何度、これを見てもハラハラするが、一台も落ちずに器用に乗っかっていく。

その作業を車の外から見守ってから、乗客の私は歩いてこのいかだの上に移り、風が渡るフェリーの上でのんびりだ。ポンポンポンと軽いエンジン音を響かせて船は出航し、風を受けて大海原ならぬ大川原を行くのは気持ち良い。この土色に濁っているツィリビヒナ川にはワニも生息しているらしいが、その姿は見えない。代わりに、この水で洗濯したり行水している地元民は見掛ける。ただ、河の上は多少風があるものの、遮る物がない船上は日差しが厳しい。
15分くらい掛け車は無事にこの茶色く濁った川を渡り終える。そこで、私は徒歩で先に降りて、また車が鉄梯子を通ってこのイカダを降りる作業を見守る。ちょうどうちの車が5台乗ったうちの一番端だったもんだから、真ん中に架けられた鉄梯子から降りるためには、何度も何度もこのイカダの上で切り返しを繰り返す必要があり、ホント大変そう。ただ、私はその様子を崖の上から見守っているだけだけど…
車のトラブルの連続
また、助手席に乗り込めば後はもうモロンダバまでひたすらオフロードの道を行くだけ。しばらくは河岸沿いの柔らかい砂地の細い道を砂塵を巻き上げながらゆっくり走る。こういう所はあまりスピードを緩めず一気に行っちゃった方が良いと思うのだが、うちのドライバーBertinさんはホント慎重派なので様子を見ながらゆっくり進む。と、その砂道で、エンストしちゃった。セルの回りが良くないがエンジンを掛け直して再出発。のはずが、タイヤが空転している。そこで、いったんバックに入れて下がってから出発を試みるが、これがダメ。ドライバーのBertinさんは後部からスコップを出してきて、砂地を整えたり、横に生えている葉っぱを切ってきて下に敷いたりしているが、これもダメ。四駆だから大したことないだろうと、助手席で見守っていた私だが、これはただ事ではないとわかり始め車外に降りる。暑い。そして、ここの砂はほんとサラッサラ。そして、左後輪を見ると、大きな4WDの車輪の半分くらいまで砂に埋まってしまっている。この場所でBertinさんはジャッキアップを試みる。だが、下地が柔らかい砂なんだから、うまくいくわけない。

スタックして止まってしまった所は、車一台分の轍がある箇所で、前後から車が来て渋滞となる。ただ、そのドライバーらは同業者としてみんなで助け合うのが当たり前の様で、道具を貸してくれたりする。で、その内の一台の車が牽引を申し出てくれた。そこで、ロープを前の車から延ばしフックにかけて双方のエンジンを吹かして脱出を試みるが、すぐにそのロープが切れてしまう。ダメだ。するとBertinさんは何を思ったのか、この車の後部座席のシートベルトを切り始める。このシートベルトの方が丈夫という判断らしい。が、どう見てもそれの長さが足りなくて、これもダメ。
すると、もう一台のNissan Patrolが牽引を申し出てくれた。しかも、専用の牽引ロープを保持しており、これを利用してくれるらしい。さすが立派な車と立派な牽引ロープだと、我が車はこのスタック現場から無事脱出できた。パチパチパチ。

ようやく、安心して車に乗り。再出発。私は何もできずに、見守るだけのダメな日本人だったのだが、一番大変だったのは暑い中、砂まみれになりながら悪戦苦闘したBertinさんだったろう。彼は売店を見付けると飲み物を買ってきてすぐに空にしていた。
そして、数km進んだ所でまた車はスローダウン。Bertinさんはダッシュボードのエンジンマークを指さし"プロブレム"と言う。あら、またトラブル…"ここで20分止まる"と言って木陰に車を停めた。茅葺きの屋根と木で作られた小屋が立ち並ぶ集落の日陰でオーバーヒートが収まるのを待つ必要がある。Bertinさんは、集まってきたここの集落の子供達に少しばかりのお金と空のペットボトルを渡して、どっからか水を汲んでもらうよう頼み、ボンネットを開けてそれを大量に注ぎ込んでいた。私はこの時間を利用して、ここの小さい子供達相手にペンをあげたり、折り紙を折ってあげたりする。ペンは喜んでくれたが、折り紙は相変わらず、貰ってはくれるが、すごい喜んでくれる訳ではない。

ホント20分程でダッシュボードのエンジンマークが消えた。再出発だ。また荒れた乾燥した道をドンドン進む。2回のトラブルでだいぶ時間をロスしたためか、気持ちBertinさんもスピードを上げたよう。激しく揺れる中で巧みなハンドルさばき、ペダルさばき、クラッチさばきで進んでいく。ただ、いくら4WD車とはいえホント乗り心地は悪い。よく運転できるものだ。そんな中ウトウトし、激しく揺さぶられ、目が覚めるというのを繰り返す。本もスマホも読めない。草むらの中にできた獣道と呼ぶべき道を行く。ちなみにすれ違う中にタクシー・ブルースやカミオンがあった。公共交通機関でベコパカ村には行けないと聞いていたが、実は方法はあるのかも。
14:45になったところで、街道沿いのとある集落で車が止まる。ここでランチブレイクとのこと。あ、ランチをこんな時間に摂るのか。けど、お腹が減っているのでちょうど良い。どうみても地元民が使う地元の食堂で、メニューもなさそうな店なのでBertinさんと同じ物で良いと頼んだらシンプルなチキンスープと白米が出てきた。それを大量のハエが飛び交う東屋で食べる。

チキンは3切れ入っているが骨があるので、それほど量は多くない。それに対して、出てきた白米は半端ない量で、茶碗大盛り3杯分はあった。みんな1回の食事にこんなに食べるのかと思ったが、同じテーブルにいた制服の警官も、そしてBertinさんもそのほとんどを残していた。もちろん私も。この3人の中では最も私が食べた方だ。ただ、改めて思うが、これだけ貧しい生活をしているのであれば、もっと食べ物を大切にしたらと思う。が、こういう残飯は家畜の餌になって世の中回っているのだろう。食後に、テーブル上に無料で供されていた茶色いホット・ライス・ウォーター(ranon'ampango)を飲んでみる。ご飯を炊いた後の米櫃にお湯を注いで作る物で、そのせいかやや焦げた臭いがするが、味はほぼ無い。ちなみにこの昼食代は13,000アリアリ(約433円)だった。
様々な形をしたバオバブとバオバブ並木の夕景
再び、車はモロンダバを目指して、バオバブがたくさんある地帯を通り抜ける。その脇を通り過ぎる度にカメラのシャッターを切っている私を見て、Bertinさんは私が相当なバオバブ好きだと思ったのだろう、ピッピタイムのついでに、雑木林の中からバオバブの実と花を拾ってきてくれた。

その実というのはうぶ毛で覆われた茶色いソフトボール大の物で、バオバブの木の上部にある枝の先端を見ると確かにわんさか付いている。そして花の方は毛で覆われており軽くフワフワだ。なんでも花は1年間のうちたった1ヶ月しか咲かない上に、1つの花は1日限りの命。種類によって咲く時期は異なるらしいが、このタイミングで見られたのはラッキー。
更にユニークなバオバブを見るために寄り道もしてくれた。それは"愛し合うバオバブ"。こちらは根本から二股に分かれており、それが成長の過程でねじれて絡み合い、2本の巨大なバオバブがまるで恋人同士が抱き合っている様に見えるため、その名が付いたんだとか。その発想はロマンチック。ただ、英語名は"Twisted baobab"と言い、"愛し合う"なんて意味はない。日本人が勝手に付けた名前なのだろうか?ただ、幸せをもたらすというジンクスがあるとの噂もあるそうだ。こちらも推定樹齢は600年と言われていて、若いカップルというよりはまるで長年連れ添った夫婦の様。これまで見慣れた真っ直ぐの力強いバオバブに比べると、不思議な気分になる。なんでもこちらはフニィという違う種類との事。

更にこの辺りには特異なバオバブがあるらしいのだが、残念ながら寄ってじっくり眺める事はできず、車窓からチラっと見るのみ。その一つが"双子のバオバブ"。愛し合うバオバブ同様、根本から二つに分かれているが、こちらはそれぞれまっすぐ空に向かって伸びている。形や高さも同じなので、そう呼ばれている。バオバブには年輪がないので樹齢が分かり辛いそうだが、この双子のバオバブも大体600年くらいだろう、とのこと。
もう一つ見たのは"バオバブ・エレファント"。一見、なんてことない普通のバオバブの木だが、上部の枝の部分が不思議にうねっており、その一部の枝ぶりが象の鼻に見えるということで、そう呼ばれている。だが"言われてみれば"という程度。この辺りには無数のバオバブが生えているので、その気になれば、いろいろなネーミングをして観光客を呼び寄せる事も簡単だろう。
そしてそして、南下して行くと、ついに長年の夢であったバオバブ並木道(Avenue of the Baobabs)に辿り着いた。行きは無情にも通過してしまったこの場所だが、今日はじっくり見学できる。しかも、現在の時刻は16:45であり、日の入りは17:40頃なのでベストタイミング。並木道の中程で車を下ろしてもらい、Bertinさんはこの先の駐車場で待っていてもらうことにして、陽が沈むまでこの並木道を堪能しよう。

南北へと伸びる未舗装の道路の両側にバオバブの木々が美しい並木を作っている。おお~~ついにココに来たって感じ。やはり絵になる。他の場所でもバオバブは散々見てきたが、やはりここは美しい。世界中には本当にたくさんの行ってみたい場所、見てみたい絶景があるが 、ここマダガスカルのバオバブ並木道はその1つだったので嬉しい。
ただ、その幹に近寄って見ると、いっぱい落書きが掘られていて、ちょっと悲しい気持ちになる。そう、ここはマダガスカルNo.1の人気観光スポット。この場所に来てとにかく驚いたのはその人の多さ。この砂埃舞う街道の上は内外からの観光客だらけ。長閑なバオバブ並木道を夢見ていたが、昨今、観光公害が問題になっている世界的な人気観光スポットでそれを望むのはもはや無理な話なのだろう。しかも、日が傾くにつれ、観光客の数も更に増えてきて、この素晴らしい絶景を写真に収めようにも、観光客がわんさか写り込むので、良い写真は撮れない。更に、バオバブ並木の横にまわりバオバブ越しに夕陽を眺めることができる池の畔はもうすっごい人。人垣からこの景色を眺める事になる。

ただ、日が徐々に傾いてきて、ここから眺めるバオバブ並木道もフォトジェニックになってきた。赤茶けた大地から茜色の空に聳えるバオバブの巨木。どんどんシルエットと化し、何事にも代えがたい幻想的な風景だ。特に夕日が沈んだ後、オレンジ色から紫色へと刻一刻と移り変わり、空に浮かび上がる様子は言葉にできないほど綺麗でホント美しい。いや、これはヤバい景色。一生忘れられないほど感慨深い光景だ。ここまで来た甲斐があった。
西の空にほぼ明るさがなくなるまでこの場所で粘ってからこの景色に別れを告げ、薄暗い駐車場に止めてあったBertinさんの車に戻る。そして、揺れる車内でこの絶景を思い出す。今日の午後はひたすらバオバブを見て過ごした。
モロンダバへ帰還、そして、またトラブル
1時間程走って辺りがすっかり暗くなった19:00 過ぎに車はモロンダバの街に戻ってきた。短い様で長かった2泊3日のツィンギーツアーがこれで終了だ。青空トイレ、土埃、凸凹道に悩まされながら長時間の車移動。 今考えるとよくも3日も掛けてよくあんな僻地まで行ってきたなという感じで、本当にすごい秘境への旅行だった。ただ、なんだかんだ、ツインギーそのものよりも、そこに行くまでに見た、マダガスカルの田舎の光景の方が頭の中に強烈に印象に残っている。移動日だけで2日も費やしてしまったが最高に刺激的なツアーだった。
Hotel Menabeまで送ってもらう前に、手持ちの現金が少なくなってきたので、銀行に寄ってもらう。ここにはATMが2台あるが、なんとなく一昨日使ったのと同じ奥の台を使う。そして、クレジットカードを差し込むといきなり、"ただ今の時間は扱えません"的なError表示。そして、初期画面になってしまった。あら、私のカードは?そこで、車で待っているBertinさんに助けを求め、確認してもらうが、やはり初期画面の"カードを入れてください"というマダガスカル語の表示らしい。いやいや、私のカードはこのマシンの中なんだけど…ATMにカードが吸い込まれて出てこないというプロブレムは海外あるあるで聞いたことあったが、まさか自分自身がそれに巻き込まれるとは。
Bertinさんがこの銀行のセキュリティの人を見付けてくれたので聞いてみたが、どうやら彼でもどうしようもできず、聞き取れた英語は"Monday"。おいおい、今日は土曜日なので明後日だぞ。しかも、その日は朝イチで移動する日だ。無理だ。ただ、このセキュリティの人にゴネても何もできなさそう。困った。(ちなみにクレジットカードの予備はあるので、最悪の全く金がなく、旅が続けられないという最悪の状態ではないが…)

とりあえず、何もできないので、すぐ近くにある本日からまた2泊するHotel Menabeへ行き、そのレセプションでBertinさんがこの話の顛末を説明してくれた。するとレセプションの人がすぐに何処かに電話をしてくれる。どうやら、あの銀行のディレクターとやらの連絡先を知っているらしい。そして、少し話した結果、"今晩何とかなりそう"と言う。ホント!神!!ただ、そのディレクターとやらが少し離れた場所にいるらしく、ちょっと時間がかかるみたいなので一旦、鍵をもらって部屋へと向かう事にする。
その前に、ドライバーのBertinさんとはここでお別れである。いろいろお互いトラブルに巻き込まれたツアーだったがこれで終わりだ。とりあえず、3日間にわたり悪路ドライブをしてくれ"ミソーチャ!" (マダガスカル語で"ありがとう"の意味) 。チップを渡してお別れする。
私は、アサインされた101号室に入りバックを下ろす。今回も広いテラスが付いている部屋を予約していたが、前とは違う部屋で、前回以上に広々としており特別室って感じ。喜ぶべき事だが、なんだか気分は晴れない。

とりあえず、荷物の整理をし、昨日できなかったカメラやスマホの充電などを仕掛ける。ただ、全然、いつまでたっても連絡が来ない。なんか部屋で待っていても落ち着かないので、ホテルのロビーに降りる。幸せなのが、ここのスタッフには英語が通じるので助かる。そこで、スタッフと少し話をして気を紛らわす。
結局、なんだかんだ2時間半以上待ち、果たして21:45に銀行のディレクターという人が、私のカードを持ってホテルまでやってきた。ハレルヤ!そこでノートに受け取りのサインをしてくれというのでサインをするが、リスト状になっているという事はこういう事が頻繁してるって事??そして、手渡されたのは間違いなく私の名前が刻まれたクレジットカード。ディレクター曰く"ちょうど瞬時停電した時だったから。問題なく君のカードは使えるよ"と言ってくれたが、本当か??
とにかく、解決してホッとする。そして、この件に協力してくれた、ホテルスタッフにチップ渡そうとしたが、なんと受け取ってもらえなかった。ホントにこのスタッフには助けられた。感謝しかない。

ホントだったら、夕食はまた外にシーフードを食べに行こうと思っていたのだが、銀行のディレクターがいつ来るかもわからなかったので、結局、外に食べに行っている時間がなかった。この時間でもまだギリギリホテルのレストランはやっている様なので、ここで夕食だ。頼んだのはシーフードミサウ。ミサウとは所謂焼きそばだが、その味・形は日清の焼きそばに似ている。ただ、相変わらず量が多く山盛り。そして上に載っているのはシーフードのはずだがエビが2つのみで、あとは野菜と肉。想像していたのとはだいぶ違った。ただ、なぜだか炭水化物の付け合わせにフランスパンが4切れ付いてきたので、間違いなくお腹は膨れた。ドリンクはカプリセ・ボンボン・アングレイズ(Caprice Bonbon Anglais)のオレンジ味。ここは、僻地価格でないのが助かる。
部屋に戻れば、やる事は沢山ある。水出し緑茶作って、カメラの掃除をして、充電する物を差し替えて。それよりもとりあえず、自分自身が砂まみれなのでシャワーを浴びたい。ただ残念ながらこのホテルは3日前と同じなので、満足なお湯は出ずほぼ水。ただ、今日は風邪をひこうとも浴びる。シャワーの形状をした水が出てくるだけでもありがたいではないか。
そして、手洗い洗濯。衣服に付着した砂汚れはキレイには落ちないだろうが、土埃だらけなので洗うしかかない。そして、全身着替えてサッパリ。
そして、ベッドに横になってWi-Fiに繋いだスマホを弄ってホッとする。この部屋はロビーに近い部屋のためか、ホテルのWi-Fiがギリギリ繋がる。前回、泊まった時はWi-Fiは繋がり辛いし、時々停電するしと低い評価だったが、今は、なんて便利なホテルなんだ、と思える。普通の事の様だがありがたい。また、ここには蚊帳はないが蚊取り線香がある。これもありがたいサービス。
いろいろあった3日間だった。この味わったことのない疲労を取るために、夜も遅いしさっさと寝よう。
