家族だからこそ、ASDの妹の世界に踏み込まない
家族だからといって、何でも分かっているわけではありません。
それでも、家族に障害があると、
「やってあげなきゃ」「把握しておかなければ」と、
自然と肩に力が入る場面が増えていきます。
障害児・障害者は周りからの援助が必要な存在です。
だからこそ、家族が一歩も二歩も前に出ようとしてしまうのは、ごく自然なことだと思います。
ただ、ASD(自閉スペクトラム症)の妹と長く暮らす中で、私は少しずつ気付くようになりました。
「家族だからこそ、踏み込まない方がいい領域もあるのかもしれない」と。
今回は、そんなわが家の選択について書いてみようと思います。
妹の前で「やらない」と決めていること
施設への不満
過去の記事にも書いたように、妹は発達特性上、言葉でのコミュニケーションが難しいです。
周りの人が言っていることをどこまで理解できているのか、不明瞭な部分も少なくありません。
それでも私たち家族は、妹の前で生活介護施設に対する不満を口にしないようにしています。
利用者が知らない、施設や職員さんの都合があることは重々承知しています。
かといって、提供してくださる福祉サービスの全てに対して、無条件で心からの感謝を示せるわけではないのです。
福祉に携わる私と母は、一般の利用者さんよりもサービス内容に敏感で、正直に言って不満を抱きやすい立場なのかもしれません。
ただ、妹の前で不満を吐き出してしまうと、妹が悲しい思いをするかもしれません。
だからこそ、妹のいない場所で、あまり大きな声にならないようにしながら、母と二人で思いや考えを伝え合っています。
根掘り葉掘り聞かない
妹が生活介護施設から帰宅した時、機嫌や体調を確認するために「今日は楽しかった?」と聞くことはままあります。
ただ、それ以上のことについては、妹の方から話し出さない限りあまり聞かないようにしています。
やっと家に帰って一息つけたところで、家族から施設の話をされ続けたら、きっと落ち着けないだろうと思うからです。
その日の様子について知りたければ、連絡ノートを確認すれば良いのです。
記載内容についてより詳しく知りたければ、後日職員さんに質問すれば良いのです。
これも、妹に対する家庭の役割の1つだと考えています。
迷いがないわけではない。それでも
踏み込まないラインを作ると、怖さを覚えることがあります。
それは、「妹が出しているサインを見落とすかもしれない」という不安です。
体調不良のサインだけではありません。
情緒の変化、施設への負の感情といった、内面のサインです。
もしこれを見落としてしまえば、施設に行きたくないのに無理して行かせてしまい、妹に大きなストレスをかけてしまうことになります。
妹を支える身として、あってはならないことです。
だからこそ、私の判断は常に揺れています。
揺れながらも、家族同士で話し合い、その都度考えを更新していきます。
今日において、妹はたまに「〇〇(施設名)、さようならよ」と言っています。
つまり、「行きたくない」という意思表示です。
このような発信をした時は時間をかけて話を聞き、職員さんとも密に連絡を取るようにしています。
それでも、楽しみにしている活動はあるようで、多くの場合は自分の意思で通所してくれています。
そういう時は、私たち家族は、妹が安心して帰って来られる家庭づくりに力を入れています。
そして、施設での生活についてはある程度職員さんに委ねるよう意識しています。
「家族がすべてを抱えなくて良いんだよ」
そんな風に、自分たちに言い聞かせながら。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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