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既読のあとで|ふたりの会話と短歌たち

はじめに


 この作品集は、ある恋人たちの「会話」から生まれました。
 相手を想いながら詠み合った短歌。
それを受け取って、笑ったり、照れたり、時には泣きそうになったりするふたり。
 そんな、小さなやり取りの積み重ねです。
 「会いたい」
 「待ってる」
 「帰り道、気をつけてね」
 言葉にしてしまえば、ありふれたものかもしれません。
 けれど、人はきっと、そういう何気ない言葉に救われながら、生きているのだと思います。
 この作品集では、短歌そのものだけではなく、その言葉を受け取った“温度”まで描けたらと思いました。
 どうかあなたにも、ふたりの時間の続きを、少しだけ覗いてもらえたなら嬉しいです。

第一章 はじまりの温度


 偶然のひとこと。たわいないやり取り。
 画面越しに交わされた言葉たちは、まだ名前のつかない距離感のまま、少しずつ心に触れていきました。
 気づけば、「おはよう」と「おやすみ」が、当たり前になっていました。
 これは、そんなふたりが出逢い、同じ時間を重ね始めた頃の記録です。


『元旦』


『おみくじ』


『数cmのズレ』


『きっと笑うよ』


『半分こ』


第二章 近づいていく鼓動


 会いたい。触れたい。隣にいたい。
 言葉にするたび、恋は少しずつ輪郭を持ちはじめます。
 嬉しくて、苦しくて、帰り道が少し寂しくなるほどに、君は日常の一部になっていきました。
 この章には、恋が“特別”から“必要”へ変わっていく、その途中の温度が残されています。


『素敵な時間泥棒』


『初恋』


『古いアルバム』


『君に会えず』


『溜息』


第三章 君がいる夜


 人はきっと、強い日ばかりでは生きていけません。
 何もしたくない夜。
 不安で眠れない夜。
 理由もなく心が沈む夜。
 そんな時、たったひとりの声に救われることがあります。
 「大丈夫」ではなく、ただそばにいてくれること。
 この章は、恋人というより、“居場所”になっていったふたりの記録です。


『待ちぼうけ』


『光の先に』


『風にのって』


『たいくつ』


『あと一歩』


第四章 それでも、会いに行く


 別れ際は、何度経験しても慣れませんでした。
 「またね」と言いながら、本当は帰したくなくて、
もう少しだけ時間が止まればいいと思っていました。
 それでもふたりは、何度でも会いに行きます。
 長い道も、遠い街も、待ち続ける時間さえ、いつしか愛になっていました。
 これは、終わらない恋の静かなエピローグです。


『大丈夫?』


『黄色いコスモス』


『帰り際』


『君の住む街』


『行かないで』


おわりに


 好きという気持ちは、案外、とても不器用です。
 うまく言葉にできなかったり、すれ違ったり、急に不安になったり。
 それでも人は、誰かに会いたくなってしまう。
 この作品集に並ぶ短歌たちは、そんな「誰かを想う時間」の欠片です。
 笑い合った日。
 待ちぼうけした夜。
 夕焼けを見つめた帰り道。
 「行かないで」と願った瞬間。
 どれも特別な出来事ではないのかもしれません。
 でも、振り返れば、人生はそういう小さな時間の積み重ねでできている気がします。
 もし読み終えたあと、あなたの中にも、思い出したくなる誰かが浮かんだなら――
 この作品集は、きっと完成です。

小森 信(こもりしん)


『観客席で君を待つ』












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