苦節40年、ついに突破口? 金属リチウム負極が切り開く次世代電池
電気自動車(EV)や蓄電池の性能を大きく向上させる切り札として期待されているのが「金属リチウム負極電池」です。長年の課題だったデンドライト(樹枝状結晶)の問題に解決の兆しが見え始めています。
現在のリチウムイオン電池は正極材料の改良が進み、性能向上の余地が徐々に小さくなっています。そのため、さらなる高エネルギー密度化には負極の進化が欠かせません。
次世代負極の有力候補は大きく2つあります。
・シリコン系負極
・金属リチウム負極
特に重量エネルギー密度500Wh/kgを超えるような電池を実現するには、金属リチウム負極がほぼ必須とされています。
しかし、金属リチウム負極には40年以上にわたって研究者を悩ませてきた問題がありました。それがデンドライトです。
充電時にリチウムが針状に成長し、
・内部短絡
・性能劣化
・発熱や発火
を引き起こす可能性がありました。
今回注目されているのは、このデンドライトの発生を大幅に抑制しながら、数千回レベルの充放電サイクルが見えてきたことです。
これが実用化されれば、
・EVの航続距離延長
・ドローンの飛行時間向上
・蓄電池の小型化・軽量化
など大きなメリットが期待できます。
また、全固体電池の本質的な価値も「固体電解質を使うこと」だけではありません。
最大の狙いは、金属リチウム負極を安全に利用できる環境を作ることです。
そのため今後の電池競争は、
・全固体電池
・半固体電池
・新型液系電解液
という形式の違いではなく、
「いかに金属リチウム負極を安定して使えるか」
が勝負のポイントになります。
実用化が進めば、EVのエネルギー密度は現在の250~350Wh/kgから500Wh/kg級へ向上し、航続距離1000kmクラスも現実味を帯びてきます。
これまで「夢の電池」と言われ続けてきた金属リチウム負極が、ようやく実用化へ向けて動き始めた――。
今回のニュースは、そんな電池業界の大きな転換点を示しているのかもしれません。
