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努力しても伸びない人は、効率化に逃げている

正直に言う。

努力がうまく回らない人ほど、効率化に惹かれる。

もっと早く。もっとラクに。もっと失敗せずに。もっと最短で。そういう言葉に、強く引っ張られる。

気持ちは分かる。

結果が出ていないとき、人は不安になる。不安になると、「正しい方向に進めているか」ではなく、「ムダを減らせているか」を見始める。ここで、努力はズレる。

私はこれを、かなり何度も見てきた。

若手だけではない。中堅でも、管理職でも、同じである。頑張っているのに手応えがない人ほど、効率化の情報を集め始める。テンプレ。時短術。ショートカット。最速で結果が出る方法。学びを圧縮する方法。失敗しない型。

もちろん、効率化そのものは悪くない。

問題は、方向が決まる前に効率化へ走ることである。

ここを間違えると、努力は積み上がらない。

たとえば、何を武器にするかが決まっていない。何にハマれるかも見えていない。どの領域で勝負するかも曖昧である。にもかかわらず、「最短で成果を出す方法」ばかり探す。

これは、一見すると賢く見える。

だが、実際にはかなり危ない。

なぜなら、方向がないまま速度だけ上げても、遠くへ間違うだけだからだ。

PMの仕事でも同じである。要件が曖昧なまま開発速度を上げると、壊れる。議論が浅いまま会議を短くしても、あとで炎上する。優先順位がズレたまま工数だけ削っても、成果は出ない。

個人の努力もまったく同じだ。

何を深めるべきかを決める前に効率化すると、表面だけをなぞる癖がつく。

理解した気になる。進んだ気になる。学んだ気になる。だが、実力にならない。

これが一番怖い。

なぜなら、本人は努力しているつもりだからだ。

動画を見ている。要約を読んでいる。ノウハウを集めている。ツールも使っている。だが、深くは入っていない。苦しい地点まで降りていない。自分の頭で考えるところまでいっていない。

これでは、いつまでたっても「分かった気がする人」で終わる。

では、なぜ人は効率化に逃げるのか。

理由はシンプルである。

本質に入るのが怖いからだ。

本当に向いているか分からない。深くやっても結果が出なかったら怖い。苦手だと認めるのも怖い。だから、その手前で止まる。方向を決める前に、やり方だけを磨く。没入する前に、型だけを集める。

効率化は、その不安を一時的に和らげてくれる。

自分はちゃんと進んでいる。学んでいる。工夫している。そう思えるからだ。

だが、その安心は長く続かない。

しばらくすると、また手応えがなくなる。そして次のノウハウを探す。次のテンプレを探す。次のショートカットを探す。この繰り返しになる。

これでは、自分の中に軸が育たない。

本当に伸びる人は、効率化を使わない人ではない。

順番を守る人である。

まず、どこに向かうかを決める。
次に、そこへ深く入る。
そのあとで、効率化する。

この順番である。

方向が決まり、没入が始まってからの効率化は強い。なぜなら、削っていいものと削ってはいけないものが見えるからだ。だが、方向も没入もない段階での効率化は、ただの逃避になりやすい。

ここはかなり大きな差になる。

たとえば、文章を書く人でもそうだ。

まだ自分のテーマも文体も定まっていないのに、「速く書く方法」ばかり探しても強くならない。だが、自分が何を書きたいかが見えていて、何度も書いていて、どこで詰まるかも分かっている人が効率化を使うと、一気に伸びる。

仕事も同じである。

会議の進め方、資料の作り方、AIの使い方、全部そうだ。方向が定まり、実際に深くやった人の効率化は武器になる。だが、まだ痛みも失敗も通っていない人の効率化は、薄いまま終わることが多い。

では、どうすればいいのか。

答えは単純である。

一度、効率化を後ろに置くことだ。

いま自分は、何を深めるべきなのか。何に没入すべきなのか。どこで勝ちたいのか。そこを先に決める。そのうえで、深くやる。ある程度やってから、効率化を使う。

この順番に戻すだけで、努力の手応えはかなり変わる。

正直に言う。

効率化は強い。だが、努力がズレている人にとっては、かなり危険な麻酔でもある。

痛みを消す。進んだ気にさせる。だが、治してはくれない。

必要なのは、もっとラクな方法ではない。どこに深く入るかを決めることである。

努力しても伸びない人は、怠けているのではない。真面目である。だが、その真面目さが不安と結びつくと、効率化に逃げやすくなる。

だからこそ、一度立ち止まった方がいい。

いま必要なのは、時短か。テンプレか。最短ルートか。
それとも、腹をくくって深く入ることか。

この問いを持てる人は強い。

努力は、効率化で救われるのではない。

方向を決め、没入したあとで、初めて効率化に救われる。

順番を間違えないこと。結局、それが一番効く。

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