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🌸経営未来手帳・第219号「なぜ、会話ではなく対話が重要なのか」―松下幸之助とソクラテスに学ぶ、関係の質を深める力

🌸経営未来手帳・第219号「なぜ、会話ではなく対話が重要なのか」―松下幸之助とソクラテスに学ぶ、関係の質を深める力


(執筆:安村明史/ビジネス能力開発株式会社)

今日は金曜日なので、歴史や文化のエピソードを通じて、週末に心に残るインスピレーションをお伝えします。


■はじめに

最近、「対話」という言葉をよく聞くようになりました。
1on1、心理的安全性、組織開発。
どの世界でも「もっと対話を」と言われます。
しかし、職場には毎日たくさんの会話があります。
「この資料、お願いします」
「会議は3時からです」
「売上はどうなっていますか」
それでも、なぜ「対話が足りない」と言われるのでしょうか。
私は、こう考えています。
会話は情報をつなぐ。対話は、人と人をつなぐ。
関係の質の深さの問題です。


■昔は、意図せず「対話」があった

かつての職場では、仕事の後に飲みに行ったり、雑談をしたりする機会が今より多くありました。
そこで、
「実は困っている」
「本当はこうしたい」
「最近、家のことで悩んでいて……」
そんな話が自然に出ていました。
もちろん、昔の働き方がすべて良かったわけではありません。
ただ、業務とは離れた場所に、人間同士として話す余白がありました。
現代は効率化されました。
オンライン会議が増え、必要な情報は瞬時に共有できます。
その一方で、用件が終われば会話も終わる。
会話は増えているのに、相手の内側を知る対話は減っている。
そんな逆説が起きているのかもしれません。


■家庭でも同じことが起きている

「今日どうだった?」
「普通」
「ご飯は?」
「食べる」
これも会話です。
しかし、これだけでは相手の心までは分かりません。
「最近、何を感じている?」
「何か気になっていることはある?」
「本当はどうしたい?」
そこまで踏み込んで、初めて相手の内側が見えてきます。
家庭でも職場でも、大切なのは話した量ではありません。
関係の質の深さを作ったかどうか=互いの内面に触れたかどうか。
そこに、会話と対話の違いがあります。


■松下幸之助は「相談するように」人を動かした

松下幸之助は、部下に一方的に命令するのではなく、
「君はどう思う?」
と問いかけることを大切にしていました。
松下は、こうした関わり方を「相談調」と表現しています。
「こうしなさい」と言えば、人は動きます。
しかし、
「君ならどうする?」
と問われれば、自分で考え始めます。
松下幸之助が育てようとしたのは、指示通りに動く人ではなく、自分で考える人だったのでしょう。


■2500年前のソクラテスも同じだった

古代ギリシャのソクラテスにも「産婆法」と呼ばれる考え方があります。
産婆は、赤ちゃんをつくる人ではありません。
すでに母親の中にある生命が、生まれてくるのを助ける人です。
ソクラテスも、答えを教えるのではなく、問いによって相手の中にある考えを引き出しました。
松下幸之助とソクラテス。
時代も国も違います。
しかし共通するのは、
「人の中には、まだ言葉になっていない考えがある」
という人間への信頼ではないでしょうか。


■対話とは「一緒に答えを探すこと」

対話は、難しい技術ではありません。
相手を説得することでも、正しい質問を次々に投げることでもありません。
「私はこう思う。あなたはどう思う?」
関係の深さが違う。
未来のこと。
組織のこと。
人のこと。
自分の事。
答えを与えるのではなく、一緒に考える。
対話とは、そのための時間なのだと思います。
AIがますます優秀な「答える存在」になる時代だからこそ、人間には、相手の心に問いを置き、関係の質を深める力が必要になるのではないでしょうか。


■編集後記

私の家庭にあてはめると、対話の重要性が分かります。
子供に対して「宿題終わったか」では、本当の姿は見えてこない。
「学校で何か気になることがあるか?」
この一言で関係の深さにおいて、全く違う風景が見えてきます。
仕事も一緒だと思います。


■今日の問いかけ

最近、あなたは部下や家族と、
「用件ではない話」を、ゆっくりしましたか?


■ネコのつぶやき

「用事がなくても隣にいる。それも立派な対話かもしれないにゃ」


■当記事について

本稿は、「会話」と「対話」の違いを、職場・家庭・松下幸之助・ソクラテスの視点から改めて整理した記事です。


🌸経営未来手帳「今、経営者が読むべき3選」

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必ずお返事いたします。


■次回8月15日予告

「日経記事より・三菱電機の挑戦―人と組織を同時に変えられるか」


■安村 明史

🌸経営未来手帳
組織・経営の相談役(静かに伴走する役割)
「疲れた経営者が、少し言葉を預けられる場所として。
―♯経営者の深夜食堂」


■付録

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