知るメモ|【香水】|男の香水はキショイ?~男女どちらにとっても、香りは自己主張じゃなくて「完成度」をあげるもの!
ちょっと偏見になりますが、外国人の方の横を通ると変わった匂いがする人がたまにいます。
臭いというタイプではないですが、何と言うか強い香り。
それは男女や年齢を問わず、ごく普通に「香水」を利用しても良いという文化の違いなのでしょう。
日本人にとって、特に男性であれば、香水にはちょっと抵抗がある人も多いとは思います。
なんというか、気取ってる感じがしてしまうというか、「自分にはまだ早いんじゃないか」みたいな謎の遠慮もある。
香水売り場の前を通るたびに、どこか別世界の棚を眺めているような感覚。
服装には気を使う。髪型にも気を使う。
でも「匂い」だけ完全に無防備になっているのではないのか。
無臭であることが自然なのかもしれないですが、考えてみればかなりアンバランスで、見た目をどれだけ整えても嗅覚の情報だけノーガードのまま、人と会っていたのではないのか。
香水は「見せるためのもの」じゃなかった。「整えるためのもの」?
今回は、香水に詳しくない人にも、すでに使っている人にも、何か一つ持ち帰れるものがあるように少し書いてみます。
◆香水って「主張するもの」じゃなくて「整えるもの」
ありがちな誤解から先に崩しておきましょう。
「香水=目立つもの」「強い香り=おしゃれ」というイメージ、実はかなり古いものです。
実際にかっこいい使い方をしている人をよく観察すると、ほぼ逆のことをしている。
むしろ気づかれないくらいがちょうどいい、と言っても過言ではない。
すれ違ったときにほんの一瞬だけ残るとか、距離が縮まったとき、隣に座ったとき、「あれ、なんかいい匂いする」と相手が思うくらい。
それ以上はやりすぎ。
なぜかというと、香りは視覚と違って逃げ場がないもの。
強すぎる香りは、相手の意思に関係なく鼻に入ってくる。
不快に感じても避けられないからこそ、強すぎる香りは一気にマイナスに振れ、せっかく整えたはずが逆効果になってしまう。
これは男女関係なく、香りの世界の基本原則でしょう。
◆なぜ今「香り」なのか
香りの世界はどれほど大きいのか?少し数字の話をしておきます。
世界の香水市場は約400〜600億ドル規模と推計されており、2030年代にかけてさらに拡大が続くと予測されています。
年率5〜6%で成長し続けているこの市場は、ファッションや食品と並ぶ巨大な産業です。
国別に見ると、ヨーロッパ(特にフランス)が香水生産・輸出の中心として圧倒的な存在感を持ち、市場シェアの約3割をヨーロッパが占める。
一方、消費量でいえばブラジルが世界最大級の市場として君臨しており、中東、アメリカ、中国も巨大な市場を形成している。
日本は?
残念ながら、世界市場における存在感はまだ小さいですが、近年は若い世代を中心に香りへの関心が急速に高まっており、変化の途中にあります。
各国がどんな「香り観」を持っているのかを知ると、自分の香り選びの視野が一気に広がるでしょう。
日本人の香水使用率はどのくらいか
調査では、日本人で日常的に香水を使っている人は約24〜25%程度。
つまり、4人に1人くらいです。
ただし男女差が大きく。
20代女性:約50%が使用
20代男性:日常的には20%程度、休日などはもう少し増える
日本は長い間、世界の香水業界から「攻略不可能な市場」と見られてきました。
理由はいくつかあって、
① 高温多湿の気候で香りが強く発散されやすいこと
② 電車など公共交通機関での密接な環境
③ 「香りは控えるもの」という文化的な感覚
②、③などは、場の空気を乱さないという日本的な価値観が、香水への自由な向き合い方を阻んできた面があるのでしょう。
ただ、2020年代に入って状況は変わってきています。
SNSやTikTokを通じて海外の香水カルチャーが流入し、若い世代を中心に「香りを楽しむ」という意識が芽生えている。
ニッチフレグランスへの関心も高まり、百貨店のフレグランス売り場は活況を呈しています。
日本の香水市場は今ゆっくりと、でも確実に変化の途中にあると言えるでしょう。
また、忘れてはならないのが日本固有の「香道」という文化。
室町時代から続くこの伝統では、香りを「聞く」と表現し、木の香りを静かに深く味わう。
派手さとは無縁の、極めて内省的な香りの哲学がここにある。
日本は「香り初心者の国」ではなく、実は独自の香り文化を長く持ってきた国なのです。
ちなみに男性は30代位をピークに上の世代では香水の使用率は減りますが、60代を超えるとまた増えるようです。
その世代は、頭髪に付けるヘアコロンを使っている人が多いようです。
フランス:香りはアイデンティティ
香水といえば、やはりフランス。
フランスにおける香水文化の歴史は深く、16世紀にはすでに香水店がパリに登場していたとされています。
ルイ14世は「香りの王」とも呼ばれ、宮廷では毎日異なる香りを使うことが美徳とされていた。
そして1921年、シャネルNo.5の誕生が香水の歴史を塗り替え、合成香料という概念を世に広めました。
現代のフランス人にとって、香水は「身だしなみ」の一部となっています。
感覚的には、歯を磨くのと同じレベル。
香水をつけるのは特別なことではなく当たり前のこととして捉えられている。
驚くのは、この香水文化が大人だけのものではないことです。
フランスでは小学生が香水をつけていることも珍しくなく、赤ちゃんが生まれたときに記念の香水を贈る習慣もある。
ブルガリやエルメス、プチバトーといったブランドがキッズ向けの香水ラインを展開しているのも、そういった文化的背景があるからです。
また、フランス人は「食の香り」よりも「自分の香り」を優先する傾向があります。
レストランでも香水を普通につけて訪れる。
日本のように「寿司屋に香水はマナー違反」という感覚は、フランス人からすれば少し不思議に映るかもしれません。
当然ですが強烈に匂うほどはつけません。あくまで他人の食事には影響がない程度です。
中東:香りは魂に触れるもの
フランスが「香りは文化」とするなら、中東は「香りは精神」です。
中東の香水文化の歴史は、フランスよりもはるかに古いです。
5000年以上前から、乳香(フランキンセンス)や没薬(ミルラ)といった樹脂が宗教儀式で焚かれてきた。
煙とともに立ち上る香りが神と人をつなぐものと信じられていたのだ。
イスラム教の誕生以降、香りは「清潔であること」とも結びついた。
お祈りの前に香水をつける習慣が広まり、良い香りで神の前に立つことへの意識が根付いています。
現代の中東(特に湾岸諸国)における香水の使い方は、日本から見ると異次元のレベルです。
平均的なヨーロッパ人が年間100ml程度の香水を消費するのに対して、中東では年間3リットルに達するという。
実に30倍。もやは「香りを浴びる」文化です。
中東の香りの中心にあるのが「ウード(沈香)」。
東南アジアの沈香の木が特定の菌に感染したとき、身を守るために樹脂を分泌し、それが固まったものが香料の原料です。
この樹脂が生成されるまでに50年以上かかることもあり、「香りのダイヤモンド」「液体の黄金」と呼ばれるほど希少で高価な素材。
そしてアルコールを含まない「アッター(香油)」も重要。
イスラム教ではアルコールの使用が禁じられているため、油性の香油ベースの香水が発展した。
これは肌に直接塗るタイプで、体温でゆっくりと発散し、長時間持続する。
さらに独特なのが「バフール」というお香の文化。
家の中でウードを焚き、その煙を衣類や髪に染み込ませる。
だから中東の人々は、香水とお香の香りが重なった、複雑で個性的な香りをまとっているのです。
これによって「同じ香りがする人が一人もいない」という状態が生まれるわけです。
これは香水を自己のアイデンティティとして捉える文化の極致とも言えるでしょう。
アメリカ:大胆で自由、香りも主張する
アメリカの香水文化は、フランスや中東とはまた少し違う色を持っています。
「香りで自己主張する」という点ではフランスと共通ですが、アメリカの場合はそれがより大胆で、より個人の自由意志に委ねられている印象があります。
TPOよりも「自分が好きな香りをつける」という発想が強く、オフィスでも強めの香水を普通につけてくる人が多い。
アメリカで特徴的なのは、香水とポップカルチャーの親密さです。
セレブリティが出すフレグランスブランドが市場に大きな影響を与えており、アリアナ・グランデの「Cloud」やリアーナの「Fenty」シリーズなどがSNSを通じて大ヒットしている。
また、トム・フォードのような「官能的で大胆」なアメリカ発の高級ブランドが世界的に支持されているのも、こうした文化的背景と無縁ではないでしょう。
男性が香水をつけることへの抵抗感が少ないのもアメリカの特徴で、メンズフレグランス市場も活発です。
ブラジル:実は世界最大の香水消費国
あまり知られていないですが、ブラジルは世界の香水市場において最大規模の消費国のひとつとして位置づけられています。
「なぜブラジル?」
と思うかもしれないが、これにはれっきとした文化的背景があります。
ブラジルでは身だしなみに対する意識が非常に高く、香水は清潔感の証として日常生活に深く根付いていて、それは1年を通じて気温が高く、汗をかきやすい環境でもあるため、「いい香りがする=清潔でいること」という価値観が強いからだそうです。
ブラジルの香水文化の面白いところは、高級香水から大衆向けまで非常に幅広い選択肢が日常的に使われていること。
デパートの高級ブランドも、ドラッグストアの手頃な一本も、どちらも同じように社会に受け入れられていることもあって地元ブランドも強く、Naturaなど自然素材を活かしたサスティナブルな香水ブランドが国民的な人気を誇っています。
中国・韓国:急成長するアジアの香水市場
アジアで今、最も勢いがある市場が中国と韓国です。
中国では特に若い世代を中心に「自己投資」としての香水が爆発的に普及している。
SNSでの影響力が大きく、インフルエンサーが紹介したブランドがあっという間にトレンドになる。
さらに「瓶のデザインがかわいい」「ブランドストーリーに共感できる」という軸でも選ばれており、香りそのものだけでなく、体験全体を購入している感覚です。
韓国はKビューティーブームと連動して香水市場も成長している。
清潔感・透明感を重視しながらも、トレンドに敏感でサイクルが速い。
「今季の香り」という概念がファッションと同様に存在し、シーズンごとに変えていく楽しみ方が広がっている。
両国に共通しているのは、「知っている香りを使う」から「自分だけの香りを探す」への意識の転換が起きていること。
ニッチブランドやインディーズフレグランスへの関心が急速に高まっています。
◆初心者がやりがちなミスと、失敗しない香りの選び方
香水を使ってみようと思う時に、ここを知っておくと確実に変わります。
① つけすぎ
男女共通で最も多いミス。
香水は時間が経つと鼻が慣れて、自分では感じにくくなります。
「もう少し強くしよう」と足してしまうのが罠です。
基本は1〜2プッシュ。それ以上は他人には強すぎることが多いです。
② モテそうで選ぶ
「人気ランキング1位」「異性ウケNo.1」みたいな売り文句で選ぶのはよくある失敗。
香水は自分の体温や皮脂と混ざって、最終的な香りが決まるものです。
同じ香水でも人によって違う香りになる。
つまり「自分に合うか」が最重要で、「人気があるか」は二の次で選ばないと失敗します。
③ 香りの系統を理解していない
ざっくりでもいいので、以下の3つは覚えておくと選びやすさが一気に上がります。
シトラス系:
柑橘の爽やかさ。清潔感が高く、使いやすい。夏向き。フローラル系:
花のような柔らかい香り。上品で華やか。ウッディ系:
木や土のような落ち着いた深み。大人っぽさが出る。
他にもムスク(肌なじみのよい温かみ)、アクア(海・水・清涼感)、オリエンタル(スパイシーで重厚)などがあります。
まず清潔感ベースから始める(石けん系・シトラス系・ウォーター系)。「いい香りがする」より「清潔な香りがする」を目指すと、最初は失敗が少ないと思います。
どんな相手にも不快感を与えにくく、TPOも選ばない。
慣れてきたら、ベースにウッディやムスクが入ったものを試してみる。
単純な石けん系に比べて、少し大人っぽい、奥行きのある印象になるでしょう。
また、仕事の場では控えめなもの、プライベートでは自分の好きな香りを楽しむ。
④ 季節を無視する
香水には季節によって良いものとイマイチなものがあります。
夏は揮発しやすい軽い香り(シトラス系)が適している。
逆に重めの香り(ウッディ・オリエンタル)を夏に使うと、温度で強く発散されすぎてしまう。
冬は重めの香りがむしろ心地よくなる。
⑤ つける場所を間違える
首元や顔の近くに直接つける人がいますが、ここは香りが強く出やすい場所です。
最初は手首や腰の内側(パルスポイントと呼ばれる部位)に軽くつけるのが正解。
体温で香りがじんわり広がる。
香水をつけた後は手首同士こすり合わせるのもNG(香りの分子が壊れる)ですが、つけた直後のトップノートと言われる段階の匂いが少し早く飛んでしまうぐらいで、そこまで影響しない場合が多いです。
ただ、中には明らかに匂いや持続時間が変わるタイプもあるので注意。
つけたらそのままで馴染ませるのが基本は良いです。
◆「間違いない香り」5選
普通に日常使いしているブランドを挙げてみます。
入門用としてもまず間違いはないのでおすすめ。
■ Diptyque(ディプティック)
パリ生まれのライフスタイルブランド。
「フィロシコス(いちじくの葉と実)」や「ドソン(チュベローズ)」が有名。
ナチュラルでやりすぎ感がなく、男女どちらでも違和感がゼロ。
「香水に詳しい人が好む香り」として知られていて、使っているだけで「センスがある」と思われやすい。
価格帯はやや高めですが、それに見合う満足感がある。
■ Jo Malone(ジョー マローン)
イギリス発。「イングリッシュペアー&フリージア」が特に人気。
とにかく清潔感が強い。
洗いたての肌のような、邪魔をしない香りが特徴。
「レイヤリング(重ね付け)」を推奨しているブランドで、複数の香りを組み合わせて自分だけのオリジナルを作れる。
女性人気が非常に高いが、男性が使っても違和感のない香りも多い。
■ Maison Margiela(メゾン マルジェラ)「レプリカ」シリーズ
「記憶の香り」をコンセプトにしたラインナップ。
「レイジーサンデーモーニング」「コーヒー・ブレイク」「ジャズクラブ」など、シーンや情景をテーマにした個性的なラインナップ。
特に「レイジーサンデーモーニング」は石けん系の完成形と言われ、クセがなく使いやすい。
清潔感と生活感がちょうどよく混ざった香りで、性別問わず評価が高い。
■ Le Labo(ル ラボ)
ニューヨーク発。「サンタル33」「ローズ31」などが代表作。
ウッディ・ムスク系で個性が強めで、少し上級者向け。
でも一度はまると抜け出せない中毒性がある。
「この香り何?」と聞かれることが多い、会話のきっかけになる香り。
都会的で洗練された印象を与えたい人に向いている。
■ SHIRO(シロ)
日本発のナチュラルコスメブランド。
「サボン」「ホワイトリリー」が特に人気。
価格が比較的手頃で、ナチュラル志向。
人工的な香料を極力使わない作りで、肌なじみがよく、つけすぎても不快になりにくい。
初めて香水を試す人に本当におすすめしたいブランドの一つ。
日本人の体臭や体温と相性がいい香りが多い、という声も多いです。
◆つけ方で、9割決まる
何を使うか、よりどう使うか。香水はこちらの方が大事だったりする。
基本のつけ方
腰の内側か手首に1〜2プッシュ
こすらず、そのまま馴染ませる
出かける15〜30分前につける(直前より、少し落ち着いてからの方が自然)
首や顔の近くにつけると、香りが強く出やすい。
特に夏は汗と混ざって予想外の強さになることがあります。
最初のうちは、離れた部位(腰・手首)から始めると失敗が少ないです。
服につける方も多いですが、素材によっては染みになることがあります。
また、肌の上で体温と反応することで完成する香りなので、服につけると本来の香りが楽しめないです。
保管場所に関して、香水は温度・光・湿度に弱いです。
窓際や浴室ではなく、冷暗所(引き出しの中など)に保管するのが基本。
そうすることで品質が長持ちします。
「やってる感」を出さないのが一番いい
香水で一番ダサいのは「頑張ってる感じ」が出てしまうことです。
「香水つけてます!」「気を遣ってます!」というオーラが前に出てしまうと痛いですので、何もしてないように思われる程度に抑える。
シンプルな服、過度じゃない髪型、そしてほんのり香る。
ブランドロゴを見せるより、さりげなくいいものを着ている方がかっこいい、という感覚は香りも同じです。
◆まとめ
男女どちらにとっても、香りは「自己主張」じゃなくて「完成度」。
鮮やかさや強さを出すためではなく、自分自身を整えるための道具として使うものだと思っています。
まずは軽い一本からでも、たぶん想像する以上に印象は変わる。
それが、香りの面白さです!
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次回は「GTCC」について少し書いていますので、お時間あれば読んでみてください。
日々の出来事から日記代わりにいろいろ書いています。
前回の記事も時間がありましたら読んでみてください。
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