筋肉が元は買い物かごだった/栫伸太郎 ほか1句

シリーズ・現代川柳と短文NEO/611

筋肉が元は買い物かごだった

 買い物かごは日常に属するものだが筋肉はボディビルの大会つまり非日常に属するものでいやそんなわけはなくてそれこそ買い物かごを持つのにだって筋肉は使われていて、つまり日常も非日常も問わず筋肉は存在し続ける。じつは買い物かごもそうで境界線はもともとない。だから、あとになって誰かが任意に引いたのだ。

草冠に想像される

 漢字の部首名でありながら草花で作られた冠の可能性も残すことができる勝手のいいフレーズである。むろん月桂冠も部首名ではないが月桂樹で作られた冠でありつつ酒造メーカーの可能性も残すフレーズだがいや可能性どころかかなり酒造メーカー寄りだからけっきょく月桂冠はフレーズとして勝手は悪い。と、ここでようやくWikipediaを参照すると「月桂樹やセロリなどで作られた葉冠」とあって驚く。香味野菜がまぎれこんでいるじゃないか。ときにたまにスーパー帰りでレジ袋からセロリを覗かせたまま電車に乗っているやつがいるが正直あれはかなりきつい。いや、わたしが苦手かどうかはべつの話として、香味野菜をむきだしで公共空間に持ちこむのはなしだろう。ポトフにも入っているがポトフなんていちばんの公共空間なわけでそんなところでなにをしてるんだ。最低限その場合は料理名を「セロリポトフ」にして周知をはかってほしい。でもそれだとまるで具がセロリだけのポトフじゃないですか、と笑う向きもあるだろうがじっさいにこっちは鍋ぜんぶにセロリの風味を感じているからその意味でもほんとうにセロリポトフなんだよ。馬鹿が。


【きょうの現代川柳】
筋肉が元は買い物かごだった
草冠に想像される
/栫伸太郎

【▼出典】


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