あの先生になりたくて#7入園前
ーー15年後ーー
あれからどんな道を歩いても、私の心の中にはいつもあの先生がいた。
夢は一度も揺らがなかった。
私は、あの先生のようになる――。
#7 入園準備
そして翌日から入園式に向けて、園では少しずつ準備が始まっていた。
子どもたちの用品に名前を書く作業をしていたときのこと。
先輩が、
「書き間違えたら、その分は買取になるから、お給料減らないように気をつけてね。」
そう言われて、手が少し震えた。
絶対に間違えないように…と、すごく緊張しながら名前を書いた。
書き終えると、
「これは全部ラミネートしてね。ラミネートは1枚〇〇円ね。」
その場でお金を支払った。
さらに、
「入園式までにラジカセもあった方がいいから買っておいてね。」
「先生たちでお揃いのTシャツとトレーナーを着るから、これもお願い。」
そう言って渡されたパンフレットを見ると、
Tシャツとトレーナーで約13,000円。
入園式用のスーツも買ったばかりだった私は、
「先生って、意外といろいろお金がかかるんだな…」
と、少し驚いた。
その後、お手紙作りの作業に。
「これ全部に自分の名前を書いてね。」
渡されたのは、30枚ほどの手紙。
ボールペンでひとつひとつ名前を書く。
しかも、それが数セット。
手がだんだん痛くなってきた頃、ふと隣を見ると
先輩たちは手書きではなく、自分の名前のハンコを押していた。
…..そうか。
でも、社会人1年目。
とにかく頑張らないといけない。
気持ちを切り替えて、次の仕事へ。
「壁面と窓面を飾っておいてね。」
事前に作っておいた壁面パーツをクラスに持っていき、
細かいパーツもすべて貼って、完成。
「よし、やっとできた。」
我ながら、素敵にできた気がする。
そう思って職員室に戻ると、先輩に呼ばれた。
クラスに行くと、
「今貼った壁面、全部剥がして下の位置にずらして。」
え…?
何か間違えたのかもしれない。
「ありがとうございます!分かりました!」
そう答えながら、思い切って聞いてみた。
「でも、どうして下なんですか?」
すると先輩は、少し不機嫌そうに
「いいから早くやって。」
理由がわからないままの作業は、少し気が重かった。
それでも、入園式の準備は少しずつ進んでいく。
あと少しで入園式。
可愛い子どもたちが待ってる!
いよいよ、先生デビューだ!頑張ろう!
