あの先生になりたくて#12 ポスター
ーー15年後ーー
あれからどんな道を歩いても、私の心の中にはいつもあの先生がいた。
夢は一度も揺らがなかった。
私は、あの先生のようになる――。
#12 ポスター
しばらく泣いて、少し気持ちを整理した。
不満を並べても仕方ない。
まだ1年目で、何もわかっていない自分が、どうこう言える立場ではない。
とにかく今は、仕事を覚えなくては。
もともと毎日日記を書く習慣があった私は、それを活かすように、園の保育日誌とは別に自分用の記録をつけ始めた。
話し合いの内容、その日の保育、保育後の細かい仕事まで、とにかく毎日細かく書き残した。
わからなくて困ったこと、気づいたこと、ちょっとした感情も、全部。
仕事を覚えなければ何も始まらない、そう思っていた。
そんなある日。
先輩に、紙を丸めた筒を渡されて「これを〇〇ちゃんのお母さんに渡して」と言われた。
「なんと言って渡せばいいですか?」と聞くと、
「いいから渡して」とだけ言われた。
その後わたしは言われた通りに、そのまま渡そうとすると、やはりお母さんに「これ、何ですか?」と聞かれる。
(やっぱりそうなりますよね……)と思いながら、
「確認してきます。すみません」と謝り、職員室に戻った。
けれど、「それくらい自分で考えて」と言われる。
紙を広げてみても、幼稚園にあまり関係なさそうなポスター。
考えてもわからない。
結局、別の先輩に教えてもらい、無事に伝えることはできたものの——
ここに就職してから、
「理由はいいからやって」
「いいからこうして」
そう言われることが何度もあった。
理由がわからないまま動くことは、少しずつ、確実に、私の心を疲れさせていった。
気づけば、だいぶ疲れが溜まっていた。
そんな中で迎えた夏休み。
毎日休みというわけではなかったけれど、
それでも十分に、心をリフレッシュする時間になった。
——よし。
気持ちを切り替えて、2学期も頑張るぞ〜!!
……と、この時の私は思っていた。
でも実際は、行事やイベント続きの2学期。
身も心もさらに追い込まれていくことになるのだった。
