あの先生になりたくて#30 ありがとう
ーー15年後ーー
あれからどんな道を歩いても、私の心の中にはいつもあの先生がいた。
夢は一度も揺らがなかった。
私は、あの先生のようになる――。
#30 2人目と「ありがとう」
そんな復帰2年目を過ごす中で、私は少しずつ、2人目のことを考えるようになっていた。
私は、子どもは2人ほしいと思っていた。
もちろん、授かれるかどうかは自分で決められることではない。
それでも、もしできるなら、4学年差くらいになれたらいいな。
そんな思いを、以前からどこかで持っていた。
もちろん、迷いはあった。
1人目のとき、たくさんの人に迷惑をかけた。
また妊娠して、産休に入るとなったら、どう思われるんだろう。
そんな気持ちがなかったと言えば、嘘になる。
それでも、家族を増やしたいという気持ちは消えなかった。
そして私は、もう一度、園長先生に伝えた。
「2人目を考えています」
申し訳ない気持ちを抱えながら伝えた私に、園長先生は嫌な顔ひとつせず、受け止めてくださった。
そして、翌年、私が希望していた、複数の先生で見る預かり保育の担当にしてくださった。
ありがたかった。
1人目のときとは、少しずつ何かが違っていた。
そして、時期を考えながら、2人目を妊娠した。
妊娠がわかったとき、もちろん不安もあった。
また周りに負担をかけてしまう……。
でも、1人目のときほど大きな騒ぎになることもなく、どこか受け入れてもらえているような空気の中で、産休までの日々を過ごすことができた。
体調が悪い日もあった。
そんなときには、
「このあと仕事替わるから、今日はもう帰りな」
と、優しく声をかけてもらうこともあった。
そんな言葉が、本当にありがたかった。
気遣ってもらえること。
助けてもらえること。
何気なくかけてもらう優しい言葉。
その一つひとつが、フルタイム、子育て、妊娠中と心も身体もギリギリで踏ん張っていた私にとっては、とても大きかった。
なぜ、こんなにも違ったのだろう。
振り返ってみると、1人目のときと2人目のときでは、職場の中にも少し違う空気が流れていたのだと思う。
1人目のときは、職場の中でも妊娠して産休に入る人が初めてだった。
私自身も初めての妊娠、初めての産休。
周りも、出産は未経験の先生。どうしたらいいのか、どこまで気を遣えばいいのか、きっと手探りだったのだと思う。
私も「迷惑をかけてしまう」という気持ちでいっぱいだった。
でも、2人目のときは、みんなにとっても「2回目」だった。
妊娠すると、体調が変わること。
急にお休みが必要になること。
産休に入ること。
そして、また戻ってくること。
みんなが一度経験しているからこそ、少しだけ気持ちにゆとりがあったのかもしれない。
2人目の妊娠中は、前よりも周りの優しさを感じることがとても多かった。
何気ない一言に、何度も救われた。
たくさんの「ありがとう」を感じた。
そして思った。
いつか私も、誰かが妊娠したとき、誰かが子育てをしながら働いているとき、困っているとき、
「大丈夫だよ」と、
今度は私が手を差し伸べられる人になりたい。
今回もらった優しさを私は絶対に忘れない。
そして、必ず次の誰かに渡していきたい。
自分がしてもらったように、誰かの不安を少しでも軽くできる人になりたい。
そんな気持ちを胸に、私は2度目の産休に入った。
これから始まる、もう一つの育児。
楽しみな気持ちと、少しの不安。
そして、たくさんの人からもらった「ありがとう」を胸に、私はまた、新しい生活へ進んでいった。
🌱1人目妊娠時の記事はこちら↓↓↓
