見出し画像

あの先生になりたくて#27復帰の日

ーー15年後ーー
あれからどんな道を歩いても、私の心の中にはいつもあの先生がいた。
夢は一度も揺らがなかった。
私は、あの先生のようになる――。

#27 復帰の日

産休に入ると、それまで慌ただしく過ぎていた毎日とは違い、穏やかな時間が流れるようになった。お腹の赤ちゃんと一緒に散歩をしたり、季節の移り変わりを感じたりしながら、出産の日を心待ちにしていた。幼稚園で働いていた頃は毎日子どもたちと過ごしていたが、自分が母になる日が来ることを不思議な気持ちで迎えていた。

そして、無事に我が子を出産した。園長先生へも出産の報告をし、そこから始まった一年間の育児休業。毎日少しずつ成長していく我が子を見守りながら過ごす時間は、本当にかけがえのないものだった。初めて笑った日、寝返りができた日、小さな成長一つひとつが嬉しく、幸せな時間はあっという間に過ぎていった。

そんな毎日の中でも、復帰の日は少しずつ近づいていた。仕事と育児を両立できるのだろうか。朝はどんな流れになるのだろう。子どもが体調を崩したらどうしよう。楽しみよりも、不安の方が大きかったように思う。

復帰前に園長先生と話をすると、退職した職員がいて人手が足りないため、複数人で担当する預かり保育ではなく一人担任をお願いしたいと言われた。正直、驚いた。実家は遠く、すぐに頼れる家族もいない。育児をしながら担任を務める生活が想像できず、不安でいっぱいだった。それでも、任せてもらえたことへの責任も感じ、「やるしかない」と気持ちを切り替え、できる限りの準備をして復帰の日を迎えた。

復帰後の毎日は想像以上に慌ただしかった。朝は子どもの支度をして保育園へ送り、そのまま幼稚園へ出勤する。仕事中は子どもたちと全力で向き合い、終業後は急いで保育園へ迎えに行く。家に帰れば夕食の準備をして、ご飯、お風呂、寝かしつけと休む間もなく一日が終わる。思い描いていたようにはいかないことも多く、時間にも心にも余裕はなかった。

それでも毎日を積み重ねるうちに、自分なりの生活の流れが少しずつ見えてきた。「大変だけれど、なんとかやっていけるかもしれない。」そんなふうに思い始めていた矢先、一本の電話が私の日常を大きく揺さぶることになる。

いいなと思ったら応援しよう!