あの先生になりたくて#10バス
ーー15年後ーー
あれからどんな道を歩いても、私の心の中にはいつもあの先生がいた。
夢は一度も揺らがなかった。
私は、あの先生のようになる――。
#10 あの子をバスに乗せられなかった日
あんなに慌ただしかった初日だったが、2日目、3日目と過ごしていくうちに、連絡帳の質問も少しずつ減っていった。クラスで子どもたちと過ごす時間にもわずかな余裕が生まれ、帰りの時間もお迎えに来るお母さんたちの顔を何人か覚え、引き渡しも少しずつスムーズにできるようになっていた。
そして、1週間目が終わる週末。
リーダーの先生から「今日、6時半から来週の話し合いするね!」と声をかけられた。
クタクタの週末。定時は8時から17時までと聞いていた。でも朝は余裕をもって来るように言われていたので、毎日7時すぎには出勤していた。
幼稚園は忙しいって聞くし、こんなものなのかな。そう思いながら迎えた夕方の話し合いは、気づけば夜8時まで続いていた。
あぁ、1週間。いろんなことがあって疲れたけど、子どもたちと過ごす時間は楽しかったなぁ。
まだ慣れていない週案づくりは、思っている以上に時間がかかる。
土日は、頑張って週案を書かなくちゃ。
そして翌週、私は大きな失敗をしてしまう。
連絡帳のやり取りでの私の勘違いから、本来バスに乗せて帰らせるべき子どもをバスに乗せなかったのだ。
すぐにお家の方へ連絡し、謝罪して、お迎えに来ていただいた。
お家の方にも、子どもにも、迷惑をかけてしまったことが、ただただ申し訳なくて、気持ちはどんどん沈んでいった。
さらにリーダーの先生からは、「あなたのミスは、親に謝って済むものじゃないから。職員会議で全員に謝りなさい」と言われた。
その日の帰りの職員会議。
私は職員全員の前で、頭を下げた。
静まりかえった職員室。凍りついたような空気。
その時間が、やけに長く、そしてひどく苦しく感じた。
もう、失敗したくない。間違えたくない。
自分に余裕がないせいで、本当に大事なところにしっかり気が向いていなかったのだと思う。
何を優先するべきなのか、もう一度きちんと考え直して、同じことを繰り返さないように——そう、自分に言い聞かせて、しっかりと気を引き締めた。
そうやって、気を引き締めたはずだった。
でも——
その後すぐに私はまた立ち止まることになる。
