あの先生になりたくて#29復帰2年目
ーー15年後ーー
あれからどんな道を歩いても、私の心の中にはいつもあの先生がいた。
夢は一度も揺らがなかった。
私は、あの先生のようになる――。
#29 復帰2年目
いよいよ、産休後復帰してからの2年目が始まった。
子育てをしながら仕事をすることにも、少しずつ慣れてきていた。
復帰1年目は、毎日が必死だった。
子どもの熱に怯え、急なお休みをいただくことに申し訳なさを感じ、職場に迷惑をかけないようにと、いつもどこかで気を張っていた。
だから2年目は、仕事も私生活も去年の反省を生かして働こうと決めていた。
子どもはいつ熱を出すかわからない。
急にお休みをいただくことだってある。
それを前提にして、できる仕事はできるだけ余裕を持って進めるようにした。
そして、自分が急に休んでも、誰がクラスに入っても困らないように、環境も少しずつ整えていった。
雑巾や机用の布巾、掃除用のスポンジ。
細かいものにも表示をつけて、どこに何があるのか、誰が見てもわかるようにした。
トイレの感覚が近い子、
食が細く給食があまり食べられない子、
トイレに一人で行けない子、など
クラスのこどもたちの特徴も1枚のメモにまとめて、こどもたちとクラスに入ってくれる先生が困らないように心掛けた。
「誰が入っても分かりやすい保育室」
そんな状態を少しずつ作っていった。
そうして働いているうちに、私の中でも少しずつ変化があった。
去年までは、子育てをしながら働くことに、罪悪感があった。
「子どもを預けてまで働いている」
「また休んだらどうしよう」
「迷惑をかけてしまったらどうしよう」
そんなことばかり考えていた。
でも、ふと思うようになった。
私は、自分でこの道を選んだんだ。
仕事を続けることも。
子どもを預けることも。
家族でこの生活をしていくことも。
だったら、自分で決めた選択を、私自身が信じてあげたい。
「こんな選択をして、ごめんなさい」
「子どもを預けてしまって、ごめんなさい」
そんな気持ちを抱えたまま、大切な我が子を預けたくないと思った。
そんな日々を、私は望んでいない。
だったら、自分で決めたこの生活を、ちゃんと楽しもう。
今この瞬間を、私も。
子どもも。
家族みんなで。
そう思うようになった。
不思議なことに、そう決めてから、仕事中の気持ちも少し明るくなった。
朝、子どもを送り出すときも、
「今日も楽しんできてね!」
と心から言えるようになった。
私自身も、
「よし、今日も仕事を楽しもう」
と思って出勤できる日が増えていった。
もちろん、毎日そう思えたわけではない。
子どもが熱を出せば焦るし、急なお休みをいただけば申し訳ない気持ちになる。
それでも、以前とは少し違った。
「私はこの選択をしてよかった」
そう思える自分がいた。
そして、仕事も子育ても、どちらかを諦めるのではなく、今の私にできることを精一杯やってみようと思えるようになった。
そんな復帰2年目を過ごす中で、私は少しずつ、あることを考えるようになっていた。
それは.....
また産休や育休をいただくことになる.....。
職場に迷惑をかけてしまうかもしれない.....。
それでも私は、2人目のことを考えはじめていた。
