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SS・煙草物語・3/7【Peace】(882字)

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高校生になった頃。当時は煙草もまだ200円台。「親に頼まれた」と書かれた印籠を出せば未成年でも簡単に煙草を入手できた、おおらかな時代。興味本位で初めて買ってみた煙草はPeaceだった。何故それを選んだのかは覚えていないが、鳥のマークのパッケージがかっこよかった、程度のものだろう。思春期の子どものやることなど、そんなものだ。初めて肺に侵入してきた煙はお世辞にも美味しいものではなく、ただひたすらむせた。正直、何が良いのか全く分からない。大人とは、苦い、辛い、苦しい、といった感覚を、さも・・平気な顔でやりすごすことなのだと悟った。安易な考え方ではあるが、今思えばあながち的外れではない所が皮肉な気もする。決してヤンキーや不良のようなタイプではなく、見た目は真面目そのもの。ひたすらギターに打ち込む少年だった為、喫煙のことで周囲の大人に咎められたことはなかった。いわゆる老け顔だったせいで、成人だと思われただけかもしれないのだが。

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アルバイトは学校で禁止されていたが、ギターの機材欲しさにこっそりとファストフード店で働き始めた僕は、同じくアルバイトとして働いている大学生の女性に恋をした。彼女もまた喫煙者。マールボロライトという名の、白地に金色の模様が入ったパッケージの煙草を吸っていた。今となっては彼女の名前も顔も思い出せないのに、煙草の銘柄は覚えているという不思議。特にPeaceに愛着があったわけでもないので、何とはなしに彼女と同じ銘柄に変えた。よくよく考えると気味の悪い話ではあるが、「好きな人と同じものを」という純粋さを、この頃の僕は持ち合わせていたようだ。とはいえそんなことが功を奏するわけでもなく、弱気な僕は特にアクションも起こせず、恋が成就することもなく、公園で一緒に手持ち花火をやったのが彼女との最大の思い出となってしまった。今思えば「煙草を吸う高校生」などダサいことこの上ないが、当時の僕にその感覚は欠落していたようだ。この先長く続く僕のマールボロ人生は、この頃スタートした。

Marlboro LIGHTS」に続く→

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