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冥竜探偵かく語りき~生体迷宮停滞事件~ 第ニ話 #DDDVM

「ななな、なんのことでしょーか。わたしはしがない一般学生でそんな竜の知り合いなんてとてもとても……」
「ほーんとーうかーい?陛下の見立てでは、君はかの竜と縁があると見て呼び出された訳なんだが……きみ、我々に隠し事かね?」
「めめめめっそうもありません!私はあくまで無害ないっぱんしょみんです!」

残念だが、腹芸ではとてもじゃないがあの海千山千の曲者大臣相手にワトリア君が私とのつながりを隠し通すのは、土台無理な話だろう。それどころか、女王陛下にはとっくのとうに私達の繋がりについては露呈している。彼女は元々、昔から聡い少女ではあったけれど、ここは私が一本取られたとして白旗をあげるしかなさそうだ。

「結構、降参しようかワトリア君。彼らにとって用があるのは私であって君を害そうというわけではなさそうだからね」
「先生……」
「ほう、ほう、何処からともなく声がするね。出どころは……その眼鏡かい、いーやはや竜の魔術というのは実に発達している。魔術士達が聞けば泣いて教えをこうだろうに」
「大臣殿、申し訳ないが私は教師には向かない質でね。それよりも、陛下のご依頼を伺おう」

私がそれとなく促すと、イルギス大臣はすんなり引き下がり、女王陛下が玉座より立ち上がってはワトリア君に……正確には彼女のかけている眼鏡に視線を向ける。私の記憶が正しければ、陛下の歳の頃はワトリア君とほぼ同世代だったはずだが、資質か、あるいは環境か、その振る舞いには大きな隔たりがあるといっていいだろう。

「王位継承の儀、以来ですね、シャール」
「その時お伝えしました通り、王家伝来の盟約があれど、私は王家に対して積極的に関わるつもりがありませんでしたので」
「忘れたわけではありません、ですが今回はそう、緊急事態なのです」
「ええ、陛下としても覚悟の上と存じております。お聞きしましょう」

私の言葉に、陛下は一拍おいた後に事の次第を語り始めた。

「まず、事実を申し上げましょう。我が王家にとって不朽の守り人、悠久の時を経し生ける迷宮……グラス・レオート公が崩御されました」
「え……っ⁉」
「む……」

ワトリア君は驚きの声をあげ、私もまた彼女の告げた事実に思わず人間で言う所の眉根を寄せた。もちろん、竜に眉はないのだがね?

それはさておき、これは大問題だ。女王陛下が呼びつけるとなれば大事だろうと腹はくくっていたものの、まさかかの大先輩たる生体迷宮殿が犠牲者とは。

「今、公の状態はいかがでしょう」
「完全に沈黙しており、迷宮内部の機巧に至るまで駆動を停止していることが確認出来ています。しかし……」
「彼が何故、死したのかについては一切手がかりがない、と」
「その通りです。この事態に対し、私達の中に解決出来る知恵者は……」

沈痛な面持ちで述べる陛下に対して、イルギス大臣は飄々とした口調で割って入る。

「俺も頭にはちっとばかし自信があるんだが……いかんせん、陛下の統治に微力ながらも粉骨砕身、勤めないといけないのでな?こういうのは得意な方におまかせするのが筋という、わ、け、さ」

なんとも、実に口の減らない人物である。聞きしに勝る、とはこのことか。だが一方でその統治能力は本物、アルトワイス王国の平穏にこの油断ならない男は少なからず寄与しているという。

【冥竜探偵かく語りき~生体迷宮停滞事件~ 第ニ話:終わり|第三話へと続く第一話リンクマガジンリンク

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