【プレビュー】第36節 水戸ホーリーホック VS RB大宮アルディージャ
水戸の主なデータ
1位 19勝10分6敗
52得点 30失点
得点数:5位
チャンスクリエイト数:9位
ゴール期待値:9位
シュート数:13位
枠内シュート数:10位
シュート決定率:2位
ボール支配率:10位
パス数:10位
クロス数:18位
失点数:2位
被ゴール期待値:5位
被シュート数:7位
クリア数:18位
タックル数:14位
ブロック数:11位
ファウル数:8位
インターセプト数:11位
空中戦勝利数:17位
1VS1勝利数:12位
こぼれ球奪取数:16位
*順位はいい方から
シーズン前の評価を覆し、残り3試合を残したJ2において堂々首位に立っている水戸。
得点と失点のバランスもよく、得失点差はリーグ1位である (*1点差で大宮は2位)。
ただ攻撃も守備も、シュート決定率と被ゴール期待値以外に目立って突出したデータはなく、これだけだと首位にいる理由がわかりづらい。
シーズン中、主力が抜かれたり、怪我人も出たりしている中でもトップを走り続けているのには、何よりチームとして戦えるように構築した森監督の手腕が大きいと思われる。
前回の対戦
2025/3/23
第6節
大宮VS水戸 2-0
得点: 80分:サンデー 83分:健勇
@NACK5スタジアム
*現地観戦
シーズン開幕して間もない第6節に対戦。あの頃は互いがこの時期に自動昇格を争っている未来なんて、思ってもいなかった。
基本陣形4-4-2ながら、攻撃時は4-1-2-3、守備時は5-4-1ブロックという可変で大宮を惑わしてきた水戸。
水戸は相手次第で色んな陣形を取ってくる。
前半は、事前スカウト情報もなく、初めて見たであろう水戸の可変に戸惑った大宮だが、5-4-1ブロックで中を固めて水戸の攻撃を跳ね返し続けた。
0-0で終盤まで進んだが、80分、最終ラインのガブリエウからの絶妙なロングボール一本で裏抜けしたサンデーが、落ち着いて決めて先制。その3分後、GKのパンチングで弾いた山なりのボールを、健勇がスーパーボレーで追加点。
2-0でホームの大宮が水戸を下した試合だった。
前節の水戸の基本のやり方 (VS ヴァンフォーレ甲府)

基本陣形はオーソドックなボックス型4-4-2で、守備時はこの形となる。
GKには水戸の堅守を支える西川。
SBの飯田(元大宮)と大森は驚くことに、今シーズンフル出場中。運動量が多く、警告も貰いやすいSBというポジションでのフル出場は並大抵じゃあない。
CBの2人、板倉と鷹啄も今シーズンほとんどフル出場を続けており、水戸のディフェンス陣(GK/CB/SB)の5人の絆は揺るがない。残念ながら元大宮の知念はあまり試合に出られてないみたい…(今季は8試合出場)。
左SHの齋藤はU-20代表で吏音と共に戦った、テクニックとシュート力を持った若手有望株。8・9月と月間J2ベストゴールに連続選ばれたり、7月の月間MVPに選ばれたり、すでにリーグを代表する選手になっている。
前回対戦ではベンチに帯同もしていなかったので、個人的には見るのが楽しみな選手♪
右SHに入っているのは、モンテディオ山形から6月に加入した加藤。外に張ってライン際を駆け上がるというより、中に入って組み立てやフィニッシュに加わるタイプのSH。加入後即座にフィットして、水戸の攻撃を引っ張る存在に。
今季の水戸といえば、渡邉新太と寺沼の強力な2トップ。フィジカル系の寺沼がトップで体を張り、渡邉が1.5列目でフィニッシャーとなる関係性で、点を取りまくっていた。
しかし、寺沼は今夏東京ヴェルディに引き抜かれ、コンビは解消。直ちに湘南ベルマーレから穴埋めとして根本を獲得したが、僅か3試合の出場で怪我離脱。おまけに13得点のエース渡邉も現在怪我中という事で、FWの組み合わせに頭を悩ませてる水戸。
急遽FC岐阜からFW粟飯原を獲得したが、この甲府戦では奥田と多田の2トップを選択。攻撃時は縦関係になり、多田が前線で体をはって、奥田が1.5列目となる、寺沼と渡邉の役割をそれぞれ引き継いだ感じであった。
守備時はこの4-4-2で強固なブロックを組むやり方。
今年の水戸の試合を見ていると、ブロック時には相手より一人多いんじゃあないの?ってぐらい人がわいてきて、相手ボールホルダーに対し視界に入らない方向からボールを狩り取ってるシーンを何回も見た記憶。
前節の水戸の攻め方 (VS ヴァンフォーレ甲府)
攻撃時のビルドアップは主に2種類で、どちらも4-4-2からの可変となる
① 後ろ4枚で、FWとボランチが縦関係になる4-1-1-3-1

DFラインのSB大森とSB飯田を適度に開かせて、ボランチの高さでビルドアップに参加させる。
その際、ボランチの山崎がアンカー気味に降りてきて、CB2枚と三角形を作ってビルドアップを補佐する形。山崎が最終ラインに入って、3バックぎみにビルドアップする時間もあった。
前線ではFWが縦関係になり、多田がワントップとなる。
② 後ろ3枚で右SB飯田が上がる右肩上がり陣形

甲府戦ではこちらのビルドアップが多かった印象。
右SB飯田が高い位置を取って、後ろは3枚でビルドアップ。ボランチ山崎がアンカー気味になるのは①と同様。
飯田に押し上げられた右SH加藤は、サイドに張るのではなく、中に入っていって、組み立てやフィニッシュに絡んでいく役割。
こちらも多田がワントップのような形を取り、前線は飯田を含めて5人が5レーンを埋めるような形となる。これは守備時5-4-1の甲府の5枚のDFラインに同数でぶつけて、数的同数で押し込んでいきたい意図だったのかと。
「①②共通事項」
・トップの多田がワントップぎみになり、ポスト役やロングボールの受け手となる
・2CBは大きく開くことはなく、距離は近い
・ボランチ山崎がアンカー化
・加藤は内に入ってきて、ハーフレーンに陣取る
・GK西川も時折2CBの間に入って、ビルドアップに参加
前節の水戸 試合展開 (VS ヴァンフォーレ甲府)
開始直後は、甲府が水戸を押し込む展開で試合が進む。
甲府は水戸の右CB鷹啄と右SB飯田の間のスペースを、FWネーミアスやSTレイリアに突かせる。試合前から甲府の大塚監督が「水戸が可変する事はわかっている」旨を言っていたことからも、可変で上がり目になるSB飯田の裏のスペースは狙っていたのかと思われる。
しかし試合が進むにつれ、甲府はボール保持を放棄し、水戸に預ける展開に。
圧倒的に水戸がボールを握る時間が増え、ショートパスで前進を試みるが、ハイプレスをあまりしてこない甲府の硬い5-4-1ブロックを打ち壊せず、ブロック外でパスを回してウロウロする場面が多くなる。
甲府も両WBを中心に、水戸のサイド攻撃を許さず、高い位置で起点を作らせない。
結果、ブロックで守りを固めて相手の攻撃を受ける甲府、ボールを握るも攻めあぐねる水戸という構図で試合が進む。
水戸はチャンスらしいチャンスを作れず、ST化した奥田と加藤が斜めに落ちてきて、最終ラインから縦パスが入った時ぐらいしかいい前進ができていなかった印象。
一方の甲府は水戸にボールを預けて、カウンター気味にロングボールでひっくり返してゴールに迫るやり方。
しかし前半終了間際の45分、水戸がFK崩れからのロングボールを、ペナ内で多田が無理な体勢から強引に頭で折り返したところ、ゴール前の加藤がワントラップからスライディングシュートを決めて、水戸が先制。
甲府のブロックをこじ開けられなかった水戸が、FKで人数かけて押し込めてた機を見逃さず、ほぼワンチャンスで得点をもぎ取った。
前半はシュート数「甲府:5 VS 水戸:3」、ゴール期待値「甲府:0.33 VS 水戸:0.39」という、互いに攻撃の手がなかったような内容。
そして水戸のボール支配率は67%と、ほとんどの時間で水戸がボール回しをしていたような前半でもあった。
後半開始から水戸は奥田に代えて山本を投入し、左SHに入る。左SHにいた齋藤が2トップの一角に入り、1.5列目に陣取る事に。
前半はボールを握る事を放棄していた甲府だったが、後半はある程度ボールを握るようになり、シュートまで行けるようになっていたが、惜しいと思わせるような決定的なシーンは少なかった。
一方の水戸もアーリークロスなどでチャンスを作ろうとするが、後半も決定機はほとんど作れず、甲府の5-4-1ブロック砦に苦戦する。
しかし対する水戸の4-4-2ブロックも崩れることもなく、最後まで甲府の攻撃を耐えきって、前半のワンチャンスで得た1点を守りきり、0-1で勝利。
最終的なシュート数は「甲府:13 VS 水戸:6」、ゴール期待値「甲府:0.68 VS 水戸:0.45」と、水戸は後半もほとんどいい攻撃を打ち出せず、中々に厳しい試合ではあったが、そんな苦しんだ試合でもきちんと勝ち切り、優勝・昇格に向け大きな前進を遂げたのだった。
大宮 展望
今シーズンの行方を大きく左右する、天下分け目の首位水戸との決戦。
累積出場停止の下口に代わり、左SBにはイヨハが入ってくると思われる。
ラッソや関口も含め、前節からコンディション不足だった選手が帰ってきたのは心強い。
甲府相手には上記②の、飯田を上げた右肩上がりのビルドアップを主にしていた水戸だけど、4バックの大宮相手にもやってくるのかな?
水戸は対戦相手次第で、可変を含め攻め方を結構変えてくるんだけど、大宮の4-3-1-2のかみ合わせをずらすために、同様のビルドアップで来る可能性はある。
ともあれ試合開始後、真っ先に見るべきポイントは水戸のビルドアップ方法なのは間違いない!
アンカー気味になるDMF山崎は豊川で、前目のDMF大崎は小島で抑えつつ、上がってくる右SB飯田には左CMF (泉 or 津久井)がマンツーマン気味でつくことになるか、それとも左SBイヨハがケアすることになるか。
飯田の一列前の右SH加藤は、中に入ってって3トップぎみになるため、そこにイヨハがどれだけついてくかを含め、とにかく大宮の左サイドの守り方が注目ポイント。
一方でその上がった飯田の裏は狙っていきたいとこ。サンデーでスペースを突っつきまくりたい。
ただ、左側を押し込まれると、逆側でフリーになる齋藤をケアする右SBの役割も重要になってくる。モンテディオ山形戦のように、ボールサイドとは逆側の齋藤にいい形でボールを供給されたくないっすね。
