AIインフルエンサーを6ヶ月運用して、エンゲージメント0だった話
以前、noteで「AIインフルエンサーを開発し、運用テストしている」という話をしました。
大学生を想定したAIキャラクター「Miria(ミリア)」が毎日5投稿、日常のつぶやきをするのですが、約6ヶ月運用しても全くエンゲージメントを稼げないという状況です。
いいねもリプライもほとんどつかず、フォロワーもまったく伸びません。正直に言えば、完全な失敗です。
ただ、振り返ってみると、なぜ駄目だったのかという理由はとても構造的なものでした。失敗するのは必然だったのかもしれません。
この記事では何を作り、なぜ結果が出ず、これからどうするのかを振り返っていきます。
同じようにAIで集客を自動化できないかと考えている方にとって、ひとつの参考になれば幸いです。
① AIインフルエンサーを作った理由
そもそも、なぜAIインフルエンサーを作ろうと思ったのか。
きっかけは、企業に代わってAIが宣伝してくれる未来を想像したからです。
集客には時間も知識も必要です。毎日投稿のネタを考え、トレンドを追い、反応を見ながら改善していく。この作業を続けられる事業者はそれほど多くありません。
だからこそ、AIがその役割を代わりに担えるなら、大きなビジネスになると考えました。
「AIが代わりに集客してくれたら、きっと集客に悩む人の手助けになるはずだ」
そんな期待を抱いて、開発をスタートしました。
② 技術的にはかなり作り込んだ
結果から先に言ってしまったので順序が前後しますが、技術的な作り込みについては、それなりに自信がありました。
まず、キャラクター設定から口調を自動判定するペルソナエンジンを組みました。設定したキャラクターらしい言い回しを、その都度生成できる仕組みです。
次に、過去の投稿を記憶して同じ話題の繰り返しを避ける記憶機能を実装しました。これによって、何度も似たような投稿を防げるようになりました。
さらに、NGワードや不自然な言い回しを検出し、複数の候補から最良の1件を選ぶ品質フィルタも入れています。生成された投稿をそのまま出すのではなく、いくつか作ってから一番良いものを採用する流れです。
加えて、天気やイベントに連動した投稿内容、スケジュール投稿やキーワード投稿による運用の自動化も整えました。
「自然で、重複がなく、文脈に沿った独り言を生成する」という一点については、かなり高い精度が出ていたと思います。
③ なぜエンゲージメントを獲得できなかったのか
システム的な作り込みは十分なのに、なぜ反応が得られなかったのか。
客観的な意見をもらうために、Claude Fable 5に開発ファイル一式を分析してもらいました。
それからOpus4.8で投稿内容を確認してもらったのですが、返ってきたのは「安全によりすぎて、投稿内容が平凡になっている」というものでした。
品質フィルタで角を取り、NGワードを避け、自然な言い回しを選び続けた結果、できあがっていたのは当たり障りのない、誰でも書けるような投稿だったのです。
炎上もしない代わりに、刺さりもしない。引っかかりがないので、誰の記憶にも残らない。
規約の範囲内できちんと運用していたつもりでしたが、機械的な投稿として露出が減っていた可能性もあります。
特にここ数日はエンゲージメントが0の日が多いので、「ボットだからタイムラインに出さない」となったのかもしれません。
④ 作っていたのは「良い投稿」であって「インフルエンサー」ではなかった
ここが、今回いちばん大きな気づきでした。
そもそもエンゲージメントというものは、本質的に双方向のやり取りから生まれます。
リプライを送る、引用して紹介する、他人の投稿に絡んでいく。こうした能動的なアクションこそが、フォロワーや反応を呼び込む経路になっています。
ところが、筆者が作ったAIインフルエンサーの仕組みは、完全に一方向でした。
ただひたすら、独り言を投稿し続けるだけ。誰かと関係を作る機能を、最初から持っていなかったのです。
つまり、最もエンゲージメントに効く部分が、設計の範囲外だったということになります。
良い投稿を作る装置としては機能していましたが、インフルエンサーとして人とつながる装置にはなっていませんでした。
⑤ コンテンツ生成の前に、土台が必要だった
冷静に振り返ると、AIに任せられていたのは、結局のところコンテンツを生成する部分までだったのだと思います。
関係を作る、コミュニティの中で認知される、フォロワーの基盤を築いていく。
このあたりは、まったく自動化できていませんでした。
どれだけ優れたコンテンツ生成エンジンを作っても、それを届ける土台がなければ、そもそも評価の題材にすら載りません。
今回の失敗は、土台が整う前に、コンテンツ生成側にリソースを集中してしまったという順序の問題だったと考えています。
家を建てる前に、立派な家具だけを揃え続けていたようなものかもしれません。
まとめ:自動投稿は一旦停止。それでも可能性は残っている
そんなわけで、ダラダラ継続するのもリソースの無駄になるため、この記事を書くにあたり自動投稿を停止しました。
今回、一番の学びは「独り言の自動生成」と「インフルエンサーになること」は、まったく別の問題だったということです。
前者はAIで十分にこなせますが、後者には人とのつながり、関係を築いていくという、別の設計が必要でした。
戦略・設計・運用、どれも適切に進められていなかったのが敗因なのかもしれません。
ただ、6ヶ月運用して期待通りの結果を得られなかったものの、AIインフルエンサーを諦めたわけではないです。
AIが人間に代わって宣伝してくれる仕組みそのものには、大きな可能性が残されていると感じています。もしかしたら、筆者が知らないだけですでに実現している方もいらっしゃるかもしれません。
今後はSNSを深く研究し、体験しながら知見を溜め、今後のAI開発に活かしていきたいと思います。
